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歯車は噛み合わない 9
それからは山田たちの馴れ初めを聞いたり、山田が彼女の家に挨拶に行ったときの話などを聞きながら一通り盛り上がると、次第に話は隣り合わせた少人数に移行していく。
「野村って大学病院だっけ?」
「そうだよ。お前もそうだったろ?」
「そうそう。毎日、頑張ってるよ」
たまたま隣になった伊藤も俺と同じように大学病院に就職していた。
同級生は7割くらいは病院やクリニックで、残りの2割くらいが検査センター、1割が検査機器会社などに就職していた。
「そういや、野村んとこの病院は検査のポリクリ始まった?」
「いや、検査部に来るのは来月みたいだ。放科には来たみたいだけど」
ポリクリというのは医学部5年生が行う病院での1年間の臨床実習のことなのだが、先日の同期会で藤森が放射線科にポリクリの学生が見学に来た話をしていた。
そして先日の朝礼では、検査部には来月来ると技師長が言っていたばかりだった。
「で、ポリクリがどうしたんだ?」
俺がたずねると何故か伊藤は苦そうな顔をしてみせた。
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