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憂える胸を焦がす 6
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そして週末。俺たちは居酒屋にいた。
「陽斗! また、こうやって会えて嬉しいよ!」
屈託のない笑顔は高校時代と変わらない。
でも、その表情から高校のときには僅かに残っていたあどけなさは消え、大人の雰囲気を放っている。
サラサラとした真っすぐの黒髪は高校時代より長めに切りそろえられていて少しだけ目にかかっていたが、清潔感は保っていてより端整な顔立ちを際立てた。
「俺、ずっと和臣に謝らないといけないと思ってた。時間が経つほど連絡しにくくて」
「だから気にするなって。謝らなくていいって言っただろ?」
「でも……」
やはり引っ掛かっている胸の内を打ち明けるも、和臣は笑うだけだった。
「それより、またこうやって会えたことの方が嬉しいんだって。それに……」
そう言って和臣は嬉しそうに微笑みながら目を細め続けた。
「陽斗が臨床検査技師になってて本当に嬉しかった」
「え?」
「臨床検査技師になって、やりたいって言ってた生理検査に配属されててさ、俺も頑張ろうって改めて思ったんだ」
そして、和臣はもう一度乾杯しようと言ってビールジョッキを合わせてきた。
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