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逃げたくなる気持ち 6
***
仕事終わりに拷問のような飲み会に参加している。
さっきから神崎と賢だけが喋っている状態だ。
すでに賢は神崎のことを下の名前で呼び始めているし、話だって盛り上がっているのだから、俺がここにいる必要ってあるのだろうか?
「朋ちゃん彼氏いないの? モテそうなのに意外だね」
「そんなことないですよ~。河北さんは彼女さんとかいるんですか?」
「どう思う?」
「え、素敵だからいるのかなって。いないなら立候補したいくらいですけど!!」
相変わらず、狩人の神崎はぐいぐい攻めていた。
けど賢はにっこり微笑むだけでするりとかわしていく。
「ありがと。でも僕ね、今狙ってる子がいるんだよ、戦況は芳しくないんだけどね。だから、今度同僚を紹介するね」
「本当ですか!? よろしくお願いします。でも、河北さんでも戦況が芳しくない状態ってあるんですか?」
「それがね、なかなか付き合ってくれないんだ~」
「どんな人なんですか?」
「すごく綺麗な子だよ。ね? 陽斗」
いきなり話を振られて少しむせると、神崎が身を乗り出して興味津々に聞いてくる。
「野村くん知ってるの?」
「しらねーよ! いきなり話を振るなよ」
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