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逃げたくなる気持ち 7
むせる俺をみてクスクスと笑った賢は頬杖をついて、悩ましげに首を傾げた。
「陽斗みたいな感じのほうが女性にモテるのかな?」
「私は野村くんタイプは観賞用ですけど、病院でも野村くんは人気ですよ! 検査部のホープですし」
「検査部のホープ? それって何?」
賢が聞くと神崎はなぜか得意げに俺の話を披露していく。
「なんか、最初の新人研修のときに他の人が年単位で習得していくことを、ローテーションの数ヶ月でどんどんマスターしていったって言う伝説があるんです」
「へぇ~すごいじゃん。だったら凄くモテるんだろうね」
「あ、でもね、初恋をいつまでもこじらせてるから彼女いないんですよ」
「おい! 神崎!!」
黙って聞いていればそんな情報まで披露するものだから、機嫌がよくないことがもろわかりの声で名前を呼び制止するも。
神崎はまるで反省していない。
「あ、怒られちゃった」
「陽斗はいつも怒ってるよね」
「賢もだまれ!!」
賢まで便乗してくる始末で、ものすごく疲れる。
結局、喋り倒した二人に付き合わされて、大して喋りも飲んでもいないのに俺の疲労感は相当なものだった。
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