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温もりが欲しいとか言えない 1

あの日以来、今までほとんど連絡なんて寄こさなかった賢からのメールや着信がウザイくらい来る。 神崎も近々合コンが本当に開催されるらしく連絡を取っているようだが、本当にウザイ!! そんな賢からのメールを無視しつつ日々の仕事に打ち込んで、今日は定期的に行っている同期飲み会の日だった。 いつものメンバーに同級生がポリクリで来ていることを話したら、ぜひ会ってみたいとのことだったので今日は和臣もこの会に参加している。 「この間はどうもお世話になりました」 そう言って和臣は上原に向かってお礼を言っていた。 ポリクリで生理機能検査室が終わると病理部の方でカリキュラムをこなしていたらしい。 すると藤森が仕事中の上原はどんな感じだったかを和臣に聞いていた。 「すごいキビキビ染色してた」 すると上原は藤森たちに臓器を切り出して、標本を作るまでの一連の作業を簡単に説明していた。 ホルマリンなどで固定した臓器は専用の機械で薄く削り、目的によって様々な染色をほどこし標本を作る。 上原は自他共に認める病理オタクで、特に染色作業が何よりも好きらしい。

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