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残酷さえも手放せない 13
何気ない悪意のない言葉は凶器みたいなものだ。
気持ちの整理をつけようとしても、想いを引き戻されてしまう。
その繰り返しでも、和臣と俺の気持ちにはもちろん違いがあるから、俺がひとりで勝手に落ち込むだけなんだけど。
一体、俺は和臣にとって何なんだろう。
そんな言葉がうっかり頭に浮かんでしまい、とっさにかぶりを振る。
どうありたいと言うのか。
何であればよいのか。
そんなことを考えても意味なんてないのに馬鹿みたいだ。
その時、不意に賢の言葉を思い出した。
『何気ない言葉に一喜一憂したり、違うとわかってても思わせ振りに感じる言葉に振り回されたりするのは辛くないか?』
和臣に悪気はないのだから、この憤りをどう処理したら良いのかわからない。
かといって、どうしたら無関心になれるのかもわからない。
それでも好きなんだから、重症なんだ。
いっそ嫌いになれたら楽なのに。
いつまでも答えが出ないまま複雑な想いを抱え、和臣の寝息を感じながら夜は更けていった。
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