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儚く溺れる 1

ある日。実家の方から、頼んでいた荷物が届いた。 しかし、届いたものは本3冊にしてはやけに大きな箱で、開けてみれば、中には食材やどこでも買えそうなレトルト食品にスナック菓子などが詰め込まれていた。 そして、目的の本はというとそれらの下に埋もれるように入っている始末。 この本を送ってくれるように頼んだのに、本よりもその他のものが多すぎだし。 「そうそう、これ」 目的の本を手にしながらひとりごちた。 数日前、電話でこれらの本を送ってほしいと母親に頼むと本棚から探してくれたのだが、同じような文字が羅列する本棚にいささかうんざりした声を上げていて、本当に目的の本が送られてくるのか少し心配だったからほっとする。 電話で簡単に母親に礼を告げると、そのまま和臣にメールした。 この本はもともと和臣に貸すために送ってもらったものだった。 心臓や血管の働きについて書かれた循環生理学関係の本が3冊。これはどれも技師用に書かれた本なのだが、基礎的なことからわかりやすく書かれており、その話をしたら和臣もぜひ貸してほしいと頼まれていた。

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