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儚く溺れる 2

すぐにスマホの着信音が聞こえ、和臣にしてはやけに早い返信だなと思って見てみると送り主は賢だった。 相変わらず賢からは定期的に連絡が来ていた。 マメだなと思いつつも、返事をしていない。 このままにしておくわけにいかないのもわかっていたけど、なんとなく踏ん切りもつかず曖昧にしたままだった。 俺は本当にずるいと思う。 心のどこかで賢との関係をはっきりさせたくないと思っているところがあって、ずるずると今に至るのだ。 だが、これだって長くは続かない。 きっと、呆れた賢が見切りをつけるだろう。 5年後、10年後、俺はどうなっているんだろう。 和臣がこの先誰かと結婚しても俺はそのままの自分で居れるのか。 高校のときは逃げてしまったけど、現実を見ても受け止めることができるのか……。 でも、いくら考えても、そんなことは本当にその場面に出くわせてみなければわからないのに、いつまで俺はこのままでいるんだろう……。 暫くすると和臣からメールの返事が返ってくる。 今日は提出期限が迫っているレポートを家でしているとのことだった。

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