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儚く溺れる 4

そして俺のことを招き入れようとドアを大きく開けた瞬間。 鉄で出来た外階段にカンカンカンと大きな足音が響きわたった。 上がってきた人物は和臣の顔を見るなり泣きつくように駆け寄る。 「カズ、助けて! パソコンが動かなくなっちゃった!!」 目の前をふわっとした甘い香りと共に横切るその人物は、以前に和臣と一緒にいるところを見かけた女性で、前に見た時と同じようにふわふわした長い髪を揺らしながら小柄な彼女は女性らしいかわいらしい服を身にまとい、ノートパソコンを抱えていた。 「おい、なんだよいきなり!」 「レポート書いてたらフリーズしちゃって。データ全部とんでたら死んじゃう」 「そんなの大木に頼めよ。俺は今忙しい……」 和臣が言いかけて、その女性は俺の存在に気付いたらしい。 そしてどういうわけか、じーっと穴が開くほど見られている。 俺が困惑しているとハッとしたような顔をしたかと思えば、今度はそのまま和臣の部屋に入っていってしまった。 「勝手に入るな」 「パソコンのバッテリーが切れたら困るもん」 そして、また何故か部屋の中からもさっきのようにじーっと見られていて……。 なぜ、睨まれないといけないのか。

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