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儚く溺れる 5

2人のやりとりを見て親しい間柄なのは感じ取れて、また胸が掴まれるように痛かった。 大人になったつもりだったけど、やっぱり目の前で見ると、辛いや……。 「やっぱり俺は帰るよ」 「あ、陽斗待って」 「データが飛んだら大変だ。見てあげなよ」 出来るだけ自然に筋肉を動かすことを意識しながら笑顔を作り和臣のアパートを後にした。 彼女も医学生なのだろうか? 今はたとえ付き合っていなかったとしても彼女の和臣への好意は明らかに見えたし、何よりお似合いだった。 きっと、いつかは付き合うようになるのだろう。 「カズ、か……そんな風に呼んでるやつ今までいなかったなぁ」 ひとりごちながら駅までの道を歩いていると、来るときにも見ていた公園が目に入った。 休日とあって、子供の遊ぶ声が響き家族連れが数組いる光景を眺め、心のどこかでやっぱり羨ましく感じる。 別に家族が欲しいわけじゃない。 ただ、俺はどうしても家族とは無縁なのだと感じるだけだ。

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