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もの憂いげな純情 10
またしばらく沈黙が続くと、静かに和臣が言った。
「俺、ずっと考えてたんだ。河北さんに言われて、鈍いのかなって」
「……その話はもう忘れてくれよ」
「忘れられないよ」
顔を上げるとまっすぐに俺を見ている和臣がいて、この先に何を言われるか本当に怖い。
すると少し視線を伏せた和臣がゆっくり息を吐きながら呼吸を整えるような素振りして、また顔を上げた。
「ずっと考えて思ったことがあるんだ。でも、どう言葉で表現したらいいかわからないから、露骨な言い方しか出来ないかもしれない。それでも怒らないで聞いてほしいんだ」
今から何を言われるのかもわからず、恐怖もあったが俯く俺に和臣は聞いてきた。
「陽斗は…その……ゲイなの?」
今さら嘘をを言ってもしょうがないと思い、頷く。するとまた和臣は続けた。
「初恋の相手って俺なの?」
また頷けばさらに続けた。
「河北さんとは、その……本当に、付き合ってなかったの?」
頷くと和臣は何かを考えるかのようにまだ黙り、小さく息を吹き込むと顔を上げ俺の目をじっと見た。
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