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もの憂いげな純情 11
「俺、彼女といつも続かなかったじゃん。で、いつも陽斗が女だったら付き合ってるし長続きするはずだって言ってたじゃん」
「うん。……そんなことも言ってたな」
「俺、たぶん無意識にたくさん陽斗を傷付けたよね」
「……和臣は何も悪くないよ」
過去のことを言っても仕方がないんだ。
和臣は知らなかったわけだし、普通はそこまで考えない。だから気にしないでいいんだと穏やかに告げれば、和臣の表情がみるみるうちに硬く変化していった。
それはどことなく緊張した面持ちにも見え、俺が様子を伺っていると意を決したように顔を上げて言ったんだ。
「あのさ…陽斗。……俺と付き合ってくれないか?」
一瞬、何を言われているのか理解できなかった。
「………………は? なに言ってんの」
「だから、付き合って欲しいんだ」
「付き合うってなに?」
怪訝そうに眉をひそめると、和臣はそのままの意味だと言う。
「わかってると思うけど、俺は女じゃないよ」
「わかってるよ! 今まで女としか付き合ったことないし、性別とか意識するでもなく女と付き合うものだと思ってた」
「だったら……」と俺が答える前に強い口調の和臣の声が重なった。
「男とも付き合えるとか知らなかったんだ!!」
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