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もの憂いげな純情 12
「……いや、気付かなかったと言うべきか」
付け加えるように和臣はボソッと呟いた。
「は? なに言ってんの」
“男とも付き合えるとか知らなかったんだ”って何?
どういう意味なんだろうって理解する前に和臣は話を進めていく。
「俺には男と付き合うって概念自体がなかったんだ」
「それは、当たり前のことだろ」
「でも、男とも付き合えるって知ったら……陽斗と付き合うってこともあるんじゃないかと思った」
真っ向から率直すぎる言葉にさらされて、でも言われていることは俺の理解の範疇を超えていて思考が追い付いていかない。
「興味本意なのか?」
「いや、違う」
その真っすぐすぎる瞳とストレートすぎる言葉に、浮かんできたのは言いようのない怒りだった。
「男とも付き合えるなら試してみたいって思ったの?」
気を付けようと思っていても言葉に刺がある言い方をしてしまう。
「怒るなよ」
「これが怒らずにいられるかよ。女と続かないから、男とも付き合えるなら試してみたいってことなんだろ? 俺は和臣が好きだからちょうどいいと思ったんだろ!?」
俺が声を荒らげれば途端に和臣は焦った表情になった。
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