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もの憂いげな純情 13

「違うよ! 最初に言っただろ。うまく言えないから怒るなって。陽斗とだったらうまくいくんじゃないかって思った! 陽斗がゲイだって知って、じゃあ俺が好きになるってこともあるのかなって考えたら一番しっくり来たんだ」 「なにが!?」 強い口調のまま睨み付けたら和臣は少しだけ視線を伏せた。 「陽斗って綺麗じゃん。ドキッとしたことが……あるんだ。何回も」 「は?」 「でも、この感情がよくわからなかった」 「勘違いだよ」 「違う! 陽斗はずっと特別だった!」 きっぱりと言い切る姿に、いきなり何を言い出しているのかと思う。 「自分が何言ってるかわかってるのか? お前は違うだろ! ノーマルだろ!?」 すると和臣は少しだけ俯きながら唇をかみしめた。 「やっとわかったんだ。俺に彼女が出来る度に無理やり笑うような顔していた理由も、俺が陽斗に彼女作れって言う度に切なそうな顔するのも……やっと意味がわかった。気付かなくてごめん」 和臣の気持ちに胸がつまり涙が浮かんでくる。それに嬉しさがないといえば嘘になるが、それ以上に沸き起こるのは大きな不安の方だ。 「俺は親友でいられればよかった。そんなことは最初から望んでいなかった」

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