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もの憂いげな純情 14
すると更に焦った顔をした和臣が俺の肩を掴んだ。
「付き合ってくれないのか!? もう嫌いになったか!?」
「付き合えるわけないだろ」
「まさか河北さんと付き合うことにしたのか!?」
「なんでそうなるんだよ」
否定すれば何故か和臣はホッとしたような表情を見せ胸を撫で下ろした。
なんでこうなっているのかはわからないまま、また暫く沈黙が続き、俺は静かに胸のうちを打ち明けた。
「和臣にとっては衝撃が強すぎて熱に浮かされてるようなもんだろ。落ち着いたらきっと忘れられる」
すると和臣が眉をひそめる。
「それは、どういう意味だ?」
「俺と和臣が付き合うとかありえないよ」
「なんでだよ」
「俺は元々ゲイだけど、和臣は違うだろ?」
「元々ゲイじゃなきゃいけないか? そんなの自覚したのが遅かっただけかもしれないじゃないか!?」
本当に、なんでこんな話になっているんだろう。
和臣はどこまで考えてこんなことを言っているのかわからないから、いつまでたっても話は平行線のままだ。
「付き合うって具体的に考えたのか?」
「それは少し調べたから大丈夫だ」
「調べたのかよ」
「そりゃ、わからないことは調べるよ」
まるで辞書でも引くかのように言う和臣に俺は不信感で一杯だった。
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