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もの憂いげな純情 16

「何を見て何想像したかは知らないけど。さっきも言ったけど、綺麗なことばかりじゃないし、それに付いてるもん付いてんだぞ、忘れんな」 「わかってる」 「嘘だ! 絶対にわかってない!」 俺が語気を強めると和臣が頭をかきむしるような仕草をしながら、さらに声を大きくした。 「あーもう! 陽斗は俺と付き合ってくれるのか、くれないのか!? どっちなんだよ!?」 いきなり発狂したように俺の肩を掴みかかる和臣に少しだけ怯んで身を引くけど、その瞳はまっすぐなままで俺の方が目をそらしてしまう。 「……付き合えるわけないって何回言ったらわかってくれるんだよ」 すると今度は切なげに眉を下げ、俺の顔を覗きこんだ。 「俺のこと嫌いなのか?」 何なんだよ。どうしたらいいんだよ……。 「好きとか嫌いの問題じゃない。もし試してみてうまくいかなかったら、友達にも戻れないじゃないか。今度こそ会えなくなる。一生だ。一生、会えないなんて……そんなのは嫌なんだ」 「でも、もう俺は陽斗を友達には思えないよ」 じりじりと追い詰められて、気付いたら和臣の顔が近くにあった。

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