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もの憂いげな純情 18
「女は対象じゃないけど。それと彼女のことは関係ないだろ?」
「あるよ。陽斗が女子も対象だったら俺のライバルは河北さんだけじゃなくなるからな」
「はぁ?」
話せば話すほどに謎は深まるばかりで、処理能力をオーバーした俺の頭は更に混乱した。
訳がわからずため息をつくと、どうしても澤村という彼女の話をしたくなさそうに振る舞っていた和臣が、観念したのかボソッと呟くように言った。
「…………陽斗は白馬の王子様なんだとよ」
それは全く理解できなかったけれど。
「なんだそれ」
「陽斗は澤村が思い描いてた理想の男性なんだそうだ」
「え? そんなわけないだろ、いつも睨まれてるだけだぞ」
「あれは見惚れてるんだ。陽斗みたいな綺麗な人は初めて見たって言ってたからな」
「…………」
突っ込みどころが多すぎて唖然としていると、和臣はぼそぼそと経緯を話し始めた。
「最初に寮で会っただろ。その時、わざわざ澤村が俺の部屋に入って行ったからおかしいと思ったんだ。いつもなら、俺の隣の部屋の大木ってやつに泣きつくんだ」
「いつも和臣の部屋に来てるんじゃなかったのか?」
「来てねぇよ。澤村が俺の部屋に入って行ったのは陽斗に会ったからだ。だから陽斗が帰ったってわかったら、なんか文句言いながらすぐに大木の部屋に行ったんだ」
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