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もの憂いげな純情 20
そんな俺の行動は、少なからず和臣を傷付けたようで。
「そんなに嫌なのか?」
明らかにがっくりと肩を落とす姿に、こんなにショックを受けることなのかとまた混乱してしまう。
はぁ……っとため息までつかれると更に焦った俺はまた言わなくていいようなことまで口走ってしまった。
「ち、違う……キ、キス……したことないから、うまくできない」
混乱していた為だが、思わずにしては恥ずかし過ぎることを口走ったことに気付き、違うんだと訂正しようとした矢先。
ぽかーんとした顔の和臣が「キス、したことなかったの?」と呟くように言うと、俺の肩に額をのせて脱力した。
「か、和臣?」
その態度にもどうしたのかと、肩を揺するとゆっくり和臣が顔を上げた。
「なにそれ、かわいい」
「え?」
そして今度は優しそうに微笑み目を細め、柔らかく声を響かせる。
「なぁ、陽斗。うまく出来なくてもいいからキスしていい? 陽斗とキスしてみたいんだ」
だから、なぜそうなるのか。
キスしてみたいってなんだ。
興味本意が剥き出しになっているくせに、そんなキラキラした目で言わないでほしい。
俺は和臣が好きなんだから。
ずっとずっと好きだったんだから。
抗えるわけなんて無いのだから。
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