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もの憂いげな純情 23

俺が突っ掛かるように言うと和臣は、少しバツが悪そうに笑った。 「言ってなかったけどさ。今までだって陽斗絡みで振られてきたんだ」 「はぁ? どういう意味だよ」 「誰と付き合うときも真剣だったけど、いつも最後は彼女に陽斗と自分どっちが大事なのかって詰め寄られてたんだよね。それも一度や二度の話じゃない」 和臣は決まりが悪そうに少し目を伏せた。 「な、なんだよ、それ」 「いつも放課後に本屋行ったり勉強したり一緒にしてただろ? 俺の優先順位はいつも陽斗が一番だったから、陽斗って答えたらいつも振られた」 「なんで彼女が大事だって言わないんだよ」 「だって嘘はつけないだろ?」 淡々と語る和臣に、そういう問題じゃないだろと思いつつも、なんとも言い難いくすぐったさのようなものも感じて、どんな顔をして聞いていたら良いのかわからない。 更に和臣は思い出したように、こうも言ったんだ。 「陽斗が転校していった後付き合った彼女も、無意識に陽斗と比べてしまっていたんだと思う」 「……何をだよ」 「忙しいときに陽斗だったらこういうこと言わないよな~とか、こんなことしないよな~とか」 なんだよ、その理由。 「そりゃ振られて当然だ」 「でも俺にしたら当然のことだから、価値観の違いだなって」 それが今まで言っていた価値観の違いだったのかって聞いて呆れてしまった。 そんなの価値観でも何でもないじゃないか。

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