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もの憂いげな純情 28
困惑している俺を見かね、和臣は観念したように軽く息をはいた。
「そりゃ、陽斗とキスしたから」
「お、俺で勃つの?」
驚いた声で返すと和臣は心なしか不機嫌そうに顔を歪めた。
「今さら何言ってんだよ? 今のこの状況わかってる? 好きな子と一緒にいて抱き締めたりキスしてたら勃つに決まってんじゃん」
当たり前のように言われてそれにもまた驚いた顔をすると、和臣はあからさまな不満を口にした。
「なんでそこで驚くんだよ。こっちは必死で我慢してるのに」
「だって……」
そう言いかけてやめた。
思ったことを口にする前に、疑惑を確かめたい衝動にかられたからだ。
……俺は結局のところ和臣が調べて理解したと言っていることが信じられていない。
途端に、自分の中のもう一人の自分が、浮かれた俺を嘲笑うように冷ややかに見ている気がした。
初めて欲しいものを手にして変われそうな気がしていたけど、やっぱり人はそうそう変われやしない。
こんな性格が嫌でたまらなくなる。
こんな事するべきでないのもわかっているのに。
疑うことや試すことでしか自分を守る術を知らない俺は哀れだ。
「和臣……」
「なに?」
「我慢しなくていいよ。してみる?」
「え? 何を」
和臣は首を傾げた。
これは俺にとって賭けなのか?
「何ってセックス。試してみる?」
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