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もの憂いげな純情 29

「な、な、な、なに言い出してんだよっ!」 和臣の慌てぶりなど気にすることなく起き上がり、自分のシャツのボタンを外していく。 「陽斗!」 俺はいつだって試すことばかりしている気がした。 いつでも裏切られることが怖くて最初から信じることが出来ず期待もしない。 疑うことでしか自分を保つことができない。 心のどこかで今駄目なら、まだ戻れるような気がしていた。 いや、違うな。自分の為だ。 今ならまだ間違いだったと言われても耐えられる。 けど、もっと心を開いてから、やっぱり男は抱けないと言われてしまったらもう粉々に壊れてしまうだろう。 きっと生きていけなくなる。 それは他の誰でもなく、和臣だから。 だから、同じ壊れるなら早い方がいい…───。 「付き合ってすぐなんだぞ」 和臣はまだ慌てふためいていた。 「俺は気にしない。俺からすれば、和臣が本当に男同士の付き合いを理解して、本当に俺に欲情するのか、そっちの方が大事だ」 「ま、待て待て」 制止するのも無視してシャツのボタンをすべて外し、脱いだシャツを床に落とせば、和臣はハッとして目をそらした。

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