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もの憂いげな純情 44
「あッ、なんで……いま、いった……んぁ…」
「だから、ごめん」
「まって……あっ、んぁ……ンッ……」
ごめんの意味が違うだろ。
一度熱を放ったはずの和臣のものはまた硬さを取り戻し、俺の中を貪るように腰を打ち付けてくる。
「な、ん……で……っ、んぁ……」
唇をキスで塞がれて上から突き刺すように体を揺さぶられる。
「ごめん。まだ足りない」
こんなに求められることが信じられない。
足りないと言われて喜んでいる自分もどうかしていると思う。
けど、和臣の背中をつかみ、中はぎゅうぎゅうと絡み付いた。
全身を震わせたまま、全てを和臣に支配されていく。
中では和臣が出したものが泡だてられて、また激しい水音をたてていた。
「あっ……ッ、かずおみ……ンッ……」
快楽で目を開けているのも困難だけど、それでも目を凝らしてみると、覗きこんでくる和臣の真剣な顔があった。
その顔をじっと見ながらこれを全て俺のにしていいのかと思ったら泣けてきた。
和臣はその涙を舐めると耳もとで吐息混じりの色っぽい声で囁く。
「すきだよ……」
もうそれだけで幸せだ。
他に何もいらないと思えるくらいに。
恋しくて恋しくてやまなかった和臣の腕の中にいるんだ。
そしてまた舌を絡ませながら腰を揺すり夢中になって快楽を追いかけ、ほぼ同時に達した絶頂の瞬間。
体を奥の奥まで叩きつけられながら、また和臣は中に欲望を吐き出した。
───…
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