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恋しく慕わしい 3

「とりあえず顔洗ってくる。あと、シャワー借りていい?」 俺が頷くと和臣は浴室に向かった。 それから和臣がシャワーからあがってきてから2人で簡単な朝食をとり、片付けが終わっても、この状況に慣れないから落ち着かなくてそわそわしてしまう。 こんな状態で休日中を過ごすのは耐えられないかもしれない。 やっぱり帰ってもらおうか。 そんなことを思っていると、俺を見兼ねて和臣が手招きした。 「陽斗、座れば?」 「いや……」 「座って」 そう言われて渋々座ると、和臣も俺の方を向いて座り直した。 「1ヶ月も放っておいてごめんな」 「え、……なにが?」 俺が聞き返すと、和臣はなぜかばつが悪そうに頭を掻く。 「河北さんと言い合いになったあとから1ヶ月もかかってしまったから」 「あぁ……」 そうだったなと思いながら、俯くと和臣はまた話し始めた。 「陽斗が行ってしまった後に、河北さんに言われたんだ。覚悟がないなら身を引けって」 「話、したのか?賢と?」 「うん。お陰ではっきり自分の気持ちもわかったし」 俺があの場から逃げ出したあと、二人は険悪な空気のまま睨み合っていたらしい。 ─────… 最初にその沈黙を破ったのは賢の方だったそうだ。

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