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恋しく慕わしい 6
──────…
「もっと早くビシッと出来たら格好良かったんだけどさ。色々考えたんだよ。中途半端だとまた傷付けるだろ? その間に河北さんにかっさらわれたらどうしようとかも思ったけどな」
和臣の話を聞いて、この間の賢からの電話を思い出した。
「……だから賢は和臣から連絡があったか聞いたのか」
「え? 河北さんから連絡あったのか?」
「うん。先週くらい」
「危ないとこだった。もうすぐで陽斗持ってかれるとこじゃん!」
「持ってかれねーよ」
焦る仕草を見せる和臣を制止して、俺は少しため息をついた。
「俺はさ、和臣じゃなきゃ何だって一緒だよ。諦めてたけどさ、それはずっと変わらなかったと思う」
すると、和臣の目が細まり俺の頬を撫でた。
「俺、いっぱい考えたよ。考えてやっぱり陽斗はずっと特別だったことに気付いた。覚悟もついたから会いに来た。だから、信じて? 好きだから。陽斗が好きだよ」
必死に伝えようとしてくれる姿に胸がいっぱいになる。
うっかり気を抜いたら泣きそうになってしまうくらい。
まだ夢の中にいるみたいで、実感も何もなくて、どんどん大きくなっていく想いを胸に納めるだけで一苦労だ。
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