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恋しく慕わしい 7

「和臣が好きとか言ってくれるなんて思わなかったから……。なんか俺、こういうの慣れてないから、なんて言ったらいいかわからないんだ」 「好きって言ってくれたらいいだけなんじゃないの?」 和臣に満面の笑みで顔を覗き込まれて、目をそらす。 「そんな単純な話じゃないし」 そう言うと和臣が吹き出すように笑った。 「陽斗って結構うじうじと悩むタイプなんだな」 「なっ……!?」 そんなことを言われて少なからずショックを受けていると、和臣はクスクスと笑い続ける。 「ごめん。陽斗っていつでもスパスパッと何でも決めてて凄いなーって思ってたからさ、こうやってぐずってるの新鮮だと思って」 「なんだよ、悪いかよ。こんなんばっかりだよ」 「悪いどころか。なんか……かわいいな」 「はぁ!?」 「それって俺にしか見せないんだろ?」 「誰彼構わず見せるかよ」 すると和臣は俺を引き寄せ抱き締めた。 「じゃあ、いいじゃん。俺だけなんだし」 「ちょっ……和臣!」 「俺は陽斗の新たな一面が知れて嬉しいからさ、陽斗も俺の違う顔も知ってよ」 なんか言いくるめられた気もするけど、和臣の心臓の拍動が思いのほか速くて、いい年だというのに俺までまるで十代みたいにドキドキしてしまうんだ。

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