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恋しく慕わしい 8
すると、和臣は思い出したように俺の肩を掴んだ。
「そうだ! 携帯貸して! そんで河北さんに電話して!」
「え、なんでだよ。やだよ」
「陽斗は俺のだからってハッキリ言ってやるんだ」
「そんなんいいよ。放っとけよ」
「いや、だめだ。俺が言いたいの!」
何を言ってるのかと思ったけど、収まりそうにないので渋々スマホを渡す。
「着歴とかで適当にかけたらいいよ」
するとスマホを操作して履歴画面を出したであろう和臣は、少し膨れっ面になった。
「陽斗が電話かけてるの、俺より微妙に河北さんのが多い」
「なんだよ。電話するんじゃなかったのかよ」
「電話するよ! でも気になったんだ!」
ぶつぶつ言いながらまたスマホを操作して耳に当てた。
「あ、河北さん? 千葉ですけど。単刀直入に言いますが、陽斗はもう俺のなんで諦めてください!」
宣言通りにハッキリ言う和臣に驚きながら聞いていると、次第に言い合いになってるのか和臣の声が上ずっていく。
「はぁ!? そんなん言われなくてもわかりますし! なっ、なんでそんなことまで言われなきゃいけないんだ!! つか、それ以上思い出すな! 思い出すなって! もう忘れろ! 忘れてしまえ!」
そして散々何やら言い合ったあとに、きつい口調のまま「さようなら!」と挨拶だけはちゃんとして和臣は電話を切った。
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