179 / 250

恋しく慕わしい 8

すると、和臣は思い出したように俺の肩を掴んだ。 「そうだ! 携帯貸して! そんで河北さんに電話して!」 「え、なんでだよ。やだよ」 「陽斗は俺のだからってハッキリ言ってやるんだ」 「そんなんいいよ。放っとけよ」 「いや、だめだ。俺が言いたいの!」 何を言ってるのかと思ったけど、収まりそうにないので渋々スマホを渡す。 「着歴とかで適当にかけたらいいよ」 するとスマホを操作して履歴画面を出したであろう和臣は、少し膨れっ面になった。 「陽斗が電話かけてるの、俺より微妙に河北さんのが多い」 「なんだよ。電話するんじゃなかったのかよ」 「電話するよ! でも気になったんだ!」 ぶつぶつ言いながらまたスマホを操作して耳に当てた。 「あ、河北さん? 千葉ですけど。単刀直入に言いますが、陽斗はもう俺のなんで諦めてください!」 宣言通りにハッキリ言う和臣に驚きながら聞いていると、次第に言い合いになってるのか和臣の声が上ずっていく。 「はぁ!? そんなん言われなくてもわかりますし! なっ、なんでそんなことまで言われなきゃいけないんだ!! つか、それ以上思い出すな! 思い出すなって! もう忘れろ! 忘れてしまえ!」 そして散々何やら言い合ったあとに、きつい口調のまま「さようなら!」と挨拶だけはちゃんとして和臣は電話を切った。

ともだちにシェアしよう!