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恋しく慕わしい 20
でも、そんなことお構いなしに和臣は俺の顔を覗き込んで笑いながら言うんだ。
「陽斗も自然だと思うように!」
なんだよ。その言い方。
思わず笑ってしまいそうになるし、おかしな言い方だって思うのに、さっきから和臣の仕草や言葉や行動の一つひとつにドキドキしてしょうがない。
俺も相当だな。
和臣の笑顔を見ていると自分の顔も綻んでくるのがわかり、そんな自分に呆れながらも、反論すら諦めた俺はそのまま和臣に寄りかかり体を預けた。
こいつにはかなわないと思う。多分、これからもずっと。
それは、ずっと知りたかったことを知ってしまったからだ。
想像でしかなかった熱を帯びる眼差しも、抱き寄せる腕の力も、重なる肌の感触も、体温も知ってしまったから。
手放せるとか手放せないとか以前に離れられないと思う。
そして、そのまま和臣の腕の中に納まりながら、ふとある言葉を思い出した。
『臨床検査技師は、医師の目となり手となるのだ』
それは技師学校の先生の言葉で、その先生はよくそう口にしていた。
人によって考え方は様々で他の先生は他の先生でみな色々と独自の考え方を持っていたけど、俺の中にすんなりと入った言葉はこの言葉だった。
少し顔を上げると和臣が優しく笑っていた。
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