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偏愛ロジック 11
「俺には欠陥が多いって話したよな」
「うん」
「俺はずっと色のない世界で生きていた。人が感じる感情ってピンとこなくて、それが原因でよく衝突もした。河北だけなんだよ。こうやって俺のことを理解しようとしてくれたのって」
「オレそんな特別なことしてないけど」
「でも、恋しいって気持ちだけはわかった気がする」
今までに見た一番柔らかい笑顔に胸がドキンと跳ねた。
「……え、それって」
「ずっと世界は終わってると思ってた。色がないのは今も同じだけど。河北だけには色がある。暖かいと感じる色だ」
何も言えずに、ただぼーっと先輩を見つめているオレの唇に温かいものが触れた。
それが先輩の唇で、先輩にキスされたんだとわかったら一気に顔が沸騰したように熱くなった。
「ありがとう。感謝してる」
「な、なんだよ。改まって。オレがもっと先輩の世界に色つけてやるって」
一気に舞い上がってしまって顔が熱い。
きっと今、オレは耳まで真っ赤だと思うけど、真っ赤になってるなんて恥ずかしいから、それを隠すように先輩の手を掴んでブンブンと振り回した。
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