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純情オレンジ 2
ある日の部活の帰り、同じバスケ部の石田が誰かを見つけ指を差した。
「あ、3組の王子じゃん」
「3組の王子ってだれ?」
「え、千葉知らねぇの? 女子が騒いでるじゃん。3組の日笠 だよ!」
そういって指差した先には、女子かと見まがうほどの美少年という言葉がぴったりの人物が水道で水浴びをしていた。
今よりあどけなさも強く、夕焼けのオレンジ色の中に見た運動部なのに白い肌とやわらかそうで色素の少し薄いこげ茶色の髪。すっと通った鼻筋とアーモンド型の整った目。
素直に綺麗だと思った。
王子というあだ名も納得だ。
日笠 陽斗 、この名前は以前から知っていたけど、顔と名前が一致したのはそのときが初めてだった。
現在は両親の離婚に伴い母方の野村姓を名乗っているが、俺にとってはこっちのほうが馴染み深い。
最初見たとき、なんか太陽みたいな名前だなって思ったからだ。
通っていたのは中高一貫教育の進学校で、中間・期末だけに関わらずテストというテストで上位何名かはいつも貼り出しがあった。
いつも見かける日笠 陽斗という太陽みたいな名前の持ち主に少なからず興味があったので、あの日のことは今でもよく覚えている。
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