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純情オレンジ 3
陽斗は陸上部だったのだが、他の運動部員に比べて色が白かった。
室内で練習しているバスケ部の俺ですらそれなりに焼けているのに、なぜ焼けないんだと自分の腕と見比べてみたりしたっけ。
でも、もう一つ目を引いた訳があって。
あれから陽斗を何回か校内で見かけたが一度も笑っている顔を見たことがなかった。
いつ見てもどこか遠くを見ているような、ここに居てここに居ないような不思議な雰囲気があった。
陽斗は一人でいることも、クラスメイトといることもあったけど、どこか一線を引いたような近寄りがたいオーラがあり、その雰囲気はどこか儚く、でも大人っぽくも見えて、やっぱり素直に綺麗だなって興味を持ったんだ。
どうやったら友達になれるのかばかり考えて部活終わりに同じタイミングで部室の前ですれ違ってみたり、陽斗が水道で顔を洗っている横で水飲んだりしてたけど一向にだめだった。
でも俺は一度興味を持ったら後に引けない性格で、絶対に友達になりたいと思っていたある日の放課後。
陽斗が部活終わりに一人で水道近くにやってきた。
その日はたまたま周りに誰もいなくて、話しかけるチャンスだと思って俺も近づいた。
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