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純情オレンジ 5
─────…
「あれ? 今思えば、俺の初恋は陽斗なのか?」
ボソッと呟くと陽斗が「何か言ったか?」と聞いてきた。
「いや、独り言」
「レポート終わったのか?」
「まだだけど。あ、陽斗は調べもの終わった? 俺はもう少しかかるし寝てていいよ」
「わかった」
そう言って陽斗は自分のベッドではなく床に敷いた布団に入った。
なぜか陽斗は俺が来ると、いつも自分のベッドは俺に明け渡して床で寝る。
付き合ってるんだし同じベッドで寝たらいいじゃんと言ってみたこともあったけど。
『二人で寝るのは狭い』と一喝された。
でも、その狭さがいいじゃないかとも言ったんだけど……。
『平日はお前は実習があるし、俺も仕事がある。それに休日だってお前は勉強が忙しいだろ? 俺も学会発表資料作ったりするし寝る時間がバラバラなのに同じベッドだとどっちかが寝てたら起こすだろ。睡眠は大事だ』
と間髪入れずに言われてしまって、何も言えなかった。
所詮俺は学生だし、社会人の陽斗の言うことが一理あって。
でも、付き合ってるわけだからと推し進めようにも、そういうところが子供だとか言われたらショックだし。
そんなわけで、床の布団で寝る陽斗の鉄壁のオーラに手を出せずにいる。
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