219 / 250

純情オレンジ 6

毎日、本当に忙しい。オペ見学なんて何時間も立ちっぱなしとかざらだし、回診やカンファレンスに、提出すべき課題も多ければ、国家試験の準備も少しずつ進めたい。 時間なんていくらあっても足りない。 今日みたいに陽斗の方が先に寝てしまうことも多いのだけど、最初はそれも陽斗は躊躇している感じだった。 いつだったか、「陽斗が寝てる気配は妙に和むんだ」と伝えたら、真っ赤な顔して布団に潜り込んだりしてて。そういう反応は可愛いと思う。 付き合った当初、忙しいなら尚更家で休んだ方がいいんじゃないかと陽斗に言われたこともあるけど。 ここが落ち着くし捗るものだから、陽斗が「来るな」とは言わないのを良いことに週に何回も泊まりに来ていたりする。 陽斗を抱きしめて寝られたら疲れなんて吹き飛ぶような気がするのに。陽斗は難攻不落だ。 実のところ、一緒に眠ったのなんて付き合うことを了承してくれたあの週末だけだ。 あの日、『セックス好きだし』とか、涼しい顔してなんてエロいこと言うんだと思ったけど、あれからそういう雰囲気になったことはなく。 平日は鉄壁のオーラを振りまいて別の布団で寝ているし、休日は休日でそういう雰囲気になるのを避けているようにも感じるような。 陽斗はあまり、性的なことに興味が無さそうだ。 あれから男同士の恋愛についてもっと調べてインサートまでが全てではないことも理解したし、プラトニックという関係というのもあるわけだし、陽斗もそういうのが良いのかなって思っている。 今まで俺は何も考えずに陽斗に甘えてばかりいたわけだから、これからは陽斗の意思を尊重しようと思うからこそ、眠っている陽斗を起こさないように俺は書きかけのレポートに視線を戻した。

ともだちにシェアしよう!