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純情オレンジ 8
「あ、わかったぞ。やりまくりで疲れてんだな」
「下品ですよ」
河北さんは、俺が冷めた口調で言い返しても物ともせず陽気に笑っている。
「あれ実行してんの? 陽斗のいいとこ教えてやっただろ?」
加えて、少し前に電話での会話を思い出させられて、俺は思わず眉をひそめた。
実行も何も、あれからそういった機会もないし……。
そう思うと余計に河北さんと陽斗の付き合いの長さに嫉妬に近い感情が芽生えてしまう。
淡白な陽斗のあられもない姿をそれだけ見られるだけ、長い付き合いだということだからだ。
なんか悔しいけど、そんなことはおくびにも出さずに冷静に返すしかない。
「そんなの河北さんに教えてもらわなくてもいいです」
すると、河北さんはまた楽しそうに笑いながら、今度は妙に納得したような顔をして言った。
「そうだよなー。俺に聞かなくても陽斗は自分からここが良いって言うタイプだしな」
え…───? 俺の思考がその言葉を理解する前に河北さんは続けて言った。
「顔に似合わず絶倫っていうの? 積極的だし、普段涼しい顔してるくせにもっともっとってギャップがやばいっつーか、なぁ!」
まるで同意を求めるような言い方にただ呆然としていると、それを俺が不快を露にしていると受け取ったらしく。
「あ、またこんな話して怒っちゃったか?」
河北さんはケラケラと笑いながら言うけれど、実のところその声はあまり耳に入ってこなかった。
……………………え? 陽斗が積極的?
それで頭が一杯だったから。
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