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純情オレンジ 11
そして週末。今日も俺は陽斗の部屋に来ている。
陽斗はもうすぐ超音波検査の学会で発表があるらしく、その抄録を作成していた。
そして俺も持参したノートパソコンを開いて来週の回診に必要な資料をまとめている。
いつもの光景だけど、本当は俺が邪魔だと陽斗は思っていたりするのだろうか。
でも、気を遣って離れるようなことはできないくらいに自分の中での陽斗の存在というのが前よりもっと大きくなっていて、我儘だとも思うが陽斗とは別れたくないと思う。
暫く作業をしていると、陽斗の方は終わったようでパソコンの電源を切っていた。
「風呂入ってくる。和臣は?」
「あとでシャワーだけ貸して」
「わかった」
陽斗は実際どう思っているんだろう。
後ろ姿を見送り、またパソコン画面に視線を落とした。
陽斗とのこれからの関係は大切だ。
でも俺は今、勉強を疎かにはできない。
医者になって一緒に病院を作ると約束したのだから、それだけは絶対にできないのだ。
そうしているうちに、陽斗が風呂からあがってきて、またいつものように床に布団を敷いていた。
「俺も終わったからシャワー浴びてくる」
そう言って戻ってきたころには、陽斗はまた鉄壁のオーラを身に纏い、俺は否応なく陽斗のベッドに座るしかなかった。
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