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純情オレンジ 12

「たまには、陽斗がこっち使った方がいいんじゃないの? いつも俺がベッドだと悪いよ」 「いいんだよ。ベッドの方が疲れ取れるだろ」 「でも、明日は土曜なんだし疲れとか関係ないんだけど」 「それでも、お前は疲れてるんだからベッドだ」 陽斗はとりつく島もなく、部屋の電気を消されたので俺も渋々陽斗のベッドに入った。 暫くして暗闇に目が慣れてきた頃、寝返りを打ちベッドの上から陽斗を見下ろす。 陽斗は俺に背を向けるようにして寝ていた。 付き合うようになって3か月。 やはり陽斗でも3ヶ月以上は続かないのか? やっぱり最初のセックスが良くなかったからだろうか? 勝手がわからずガツガツしてしまったもんな……。 部屋の暗さも相まって、悪い方向にばかり考えてしまう。 でも、一人で考えていても仕方がない。 どんな結果であっても、はっきりと陽斗の口から聞きたいと思うし、できるなら話し合いたい。 そっとベッドから起き上がり、意を決して陽斗の布団に潜り込み、後ろから抱きしめた。 「え、かずおみ?!」 焦る陽斗を制止して、数ヶ月ぶりの陽斗の体温と匂いを感じながらそのまま抱きすくめて小声でつぶやくように聞く。 「……俺に愛想尽かした?」 「な、なに言ってんだよ」 「やっぱ3か月で陽斗にも捨てられるのかなって……」 すると陽斗が勢いよく体ごとこちらを向いた。 「捨てるって、そんなわけ……ないだろ」 目が合った途端、その言葉の勢いは失速して行ったけど。

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