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純情オレンジ 15

今回のこの件に関しても、きっと理由は一つではないと思う。 いろんなものが絡み合った結果で、陽斗が不安に思って居ることも間違いないだろう。 でも、どこか納得できなかった。 どこがと言われると説明するのが難しいけれど。本当の理由は他にあるような気がして。と、言うより、それが直接俺が触れてはいけない理由やセックスしない理由になるのだろうか? 「なぁ、陽斗。キスしていい?」 「……だめだ」 「どうして?」 「どうしても……」 かたくなに拒む理由はやっぱり陽斗が俺のことがもう好きじゃなくなったことしか思いつかない。 先日の河北さんとの会話を思い出し余計に苛々してくる。 どうして河北さんはよくて、俺は駄目なのか? やっぱり俺は期待外れだったのだろうか? ってそんなことばかり考えてしまって。 自分だけが見ることが出来ない陽斗がいることに、嫉妬心やら醜い感情が膨らんでいく。 冷静に話をしようと思っていたのに。 ここで喧嘩にでもなって悪い方向に行ってしまわないように、落ちついて話をしようって思っていたのに。 どうして他の人はあんなに陽斗に触れていたのに、俺は駄目なのかってそればかりが頭をぐるぐる回る。 煮詰まった思いは、思いのほか語気を強めてしまった。 「やっぱり、俺のこと嫌いになったのか」 「そんなわけないだろ」 やんわりと抑えるように陽斗が俺の方に体を向けた。 その目は不安に揺れているようにも見える。 こんな目をさせて、俺ってば最悪だ。 頭ではわかっているのに、どうしても心が納得できない。

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