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純情オレンジ 18

「何言ってんの? 陽斗は綺麗だよ」 「綺麗なんかじゃない」 そう言うと、肩を掴まれたかと思えば視界が反転し、陽斗が俺に馬乗りになっていた。 「陽斗?」 カーテンの僅な隙間から月明かりが差し込み、陽斗が少し顔を赤らめて困惑した表情がなんとなくわかる。 そして、また俺のシャツの裾を掴み握りしめながら震えていた。 まるで、子猫が何かを怖がって震えているみたいだと思っていた矢先に、それは一変する。 伏せていた目を上げれば、息を飲むほどに妖艶な視線を俺に向けていたからだ。 思わず、ごくりと唾を飲み込んだ。 「俺、綺麗なんかじゃないよ」 陽斗はそう言いながら俺に跨ったまま腰をゆっくりと揺らし、股間を押し付ける。 そこはほんのりと反応を見せていて、陽斗のモノが勃っているんだとわかった。 「俺、やらしいんだ。和臣と、こういうことすることばっか考えてる」 「あ、きと?」 すると陽斗は悲しげに微笑んだ。 「幻滅するだろ? 俺だって和臣に触りたくてたまんない」 「じゃあ、どうして」 「和臣は今、大事な時だろ? 煩わせたくないし、キスされたり触れられたら俺、我慢できなくなる。本当の自分を知られたら幻滅されると思った」 陽斗に手を伸ばせば、その手をそっと捕まれる。 「知られるのも、幻滅されるのも怖いし、やっぱり男は抱けないって言われないかも怖い。和臣を失いたくないから」 そう言って陽斗は握った俺の手を自分の頬に触れさせた。

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