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純情オレンジ 35
たくさん貰った分を返していきたい。
そして新たに二人で作っていきたいな。
抱きしめてた陽斗の体を離すようにして、両肩をそっと掴んでまっすぐに目を合わせた。
「一緒に住んでほしい。……一緒に住んでくれる?」
どうしていいのかわからないといったような表情で、それでも嬉しそうに少しはにかみながら陽斗が頷いた。
その瞬間、俺の中の愛おしい気持ちが膨らんできて今にも爆発しそうな気分になった。
「ありがとう」
するとまた戸惑った顔をした陽斗が「俺の方が……ありがとうだし」そう言って顔を隠すように俺の胸に顔を伏せるからたまらなくなる。
やっぱり陽斗を抱き締めるとしっくり来るなぁ。やっぱり思った通り、これだけで癒される。
「ねぇ、陽斗も俺の腕の中に納まるの、自然だって思えるようになってきた?」
「……え。えっと……」
「自然だと思うようにって言っただろ」
「こ、これは癖みたいなもんだし」
「だったらこれからは毎晩俺の胸の中で寝てくれ。一緒にいるのに抱きしめられないのはやだから」
「ど、努力するから。でも、いっぺんには無理」
さらに恥ずかしがるように顔を伏せる陽斗の顎に手を添えて上を向かせてそっとキスをした。
重なった唇が離れてまっすぐに目があう。
「俺たちの夢、絶対に叶えような」
改めて自分の目標を再確認して、また明日からも頑張ろうと思う。
まぁ、当面の課題はというと、この控えめな恋人がどうしたらもっと我儘を言ってくれるようになるかというところ。
「なぁ、俺にもっと我儘とか言って欲しいんだけど」
「え、我儘?」
「うん。要望とかでもいいけど。なんでも聞くから」
「別にそんなのない」
思った通り控え目な答えが帰ってきてクスりと笑った。
2回目のセックスをするまでも長かったが、こちらもなかなか難攻不落だ。
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