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第5話 反発しあう二人?2

「それじゃどうして、この数学の問題、間違いだらけなのかな? 五問中四問不正解。いったいどういうこと?」  剣がにっこりと微笑みながら言う。  やっぱり笑っているのは口元だけで目は笑っていない。すごくイケメンの剣がこういう表情をすると迫力が半端ない。  でも、あっさりと白旗を上げるのは嫌だった。 「もう数学飽きたし。剣が解いておいてよ。俺はそれをノートに写すから。言っとくけどこれは上司命令だから」  そう。俺はこいつの上司。  こいつだって金のために引き受けたって言ってるんだから、これくらい命令してもいいよな。  俺が精いっぱいの威圧感を込めて言葉を放ったが、剣には通じなかった。 「信一様。宿題は自分で解かないと意味がありません。分からないところがあればお教えは致しますが、丸投げはいただけませんね」  丁寧な言葉遣いだが、俺の威圧なんか比べ物にならないくらいの凄まじい威圧感だった。 「……ケチ……」 「は? 何かおっしゃいましたか? 信一様」 「……そのしゃべり方、なんかウザいからやめろよ」 「そうは申しましても私は信一様の部下ですから」  心の中ではクソガキ呼ばわりしているのがはっきりと分かるような顔で剣がシャアシャアと言う。 「あ、それから信一様、明日からは学校の勉強に加えて、会社の経営についての勉強もしていただきますので、そのつもりでいらっしゃってください」 「え? やだ」 「……言うこと聞いた方が身のためだぞ、クソガキ」  いきなり素に戻った剣の話し方に、俺は反射的にうなずいてしまう。  だって怖いのだ。綺麗な顔で冷ややかに恫喝されると、それはそれは迫力がある。 「それでは今日はまず数学の問題を解いてください」  一転、剣が笑う。  今度は満面の笑みだったが、どう見ても平和的なものじゃなかった。  俺は仕方なく数学の問題に取り組んだ。  俺の我儘が通じなかったのは剣が初めてだった。  すっげー悔しい。  きっとこいつSだぞ。  そんな思いで剣を見上げると、鼻で笑われてしまい、悔しさが増した。

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