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第7話 日曜日の出来事

 剣の方をガン見していると、隣の義もそちらを見て、声を上げる。 「うわ。すげーイケメン。何? 信一、知り合いか?」 「知り合いなんかじゃない。全く全然ちっとも見知らぬ他人。それより行くぞ、義」 「行くって……この先のファストフードで昼飯食うんじゃ……」 「気が変わった。あっちのファミレスにしよ」 「えー? あそこまずいうえに高いじゃん。俺今月こづかいピンチなんだよ」 「いいから」 「もー、信一てばマジ我儘なんだから」  俺はぶつぶつ文句を言う義を無視して踵を返し、歩き出す。  そのとき、前方から歩いて来た人の肩にぶつかってしまった。 「あ、すいません」  俺は軽く頭を下げて謝ったのだが、ぶつかった相手が悪かった。  なんていうかいかにも『うぇーいな奴』というのか、少々素行が悪そうな奴というのか……。  その多分俺と義と同年代くらいの相手は三人組のグループで、こっちがきちんと謝っているというのに因縁をつけてくる。 「いってー。肩いってー。折れたかもしんねぇ。治療費払ってもらわなきゃ」  その言い草に俺の方もムッと来る。 「はあ? 軽くぶつかっただけだろ? あれで折れるなんてどれだけひ弱なんだよ、おまえ」 「よせよ。信一。相手にしないで行くぞ」  冷静に対処する義にいさめられ、俺が渋々牙を引っ込めると、その三人組の一人が思い出したとばかりに手を打った。 「ちょー、こいつ、F校の高井田信一じゃね?」 「あ。そうだ、高井田グループの御曹司じゃん」  もう一人の男も反応する。 「あー、なんかうちの学校にまでファンクラブがあるっていうウザい奴って、こいつなの?」  ぶつかった相手が二人に続く。 「ふうん……なんか女みたいな面してんじゃん。こんな奴のどこがいいんだか。でも、まあ大会社の息子なら金持ってんだろ? 肩の治療費出してもらおうか」  そして俺の手をつかんで来る。 「離せよっ!」  つかまれた手を振りほどこうとしたとき、運悪くというべきか、俺の拳が相手の鼻を直撃してしまった。

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