「剣、も、やめ……お願いだから……」 　声は甘く掠れて、言葉とは裏腹に、もっともっと行為を強請っているようで。 　剣が一旦俺の性器から口を離すと、上目遣いで囁いた。 「どうして？　信一の体はやめて欲しくないって言ってるよ？　気持ち良くない？」 「……っ……」 　羞恥心は完全にキャパオーバーで、俺は幼い子供がいやいやをするように首を横に振った。 　剣は平気なのだろうか？　同性のそこを口に含んだりすることが。 　そんな俺の問いに答えるように剣が甘く囁いた。 「好きな人が気持ちよくなるなら、何でもしてあげたくなる……」 　そしてまた俺の性器を口に含んで、強く吸い上げる。 「だめ、だめ。出ちゃう……や……やっ……」 　剣の口の中でイくなんて絶対できない。 　そう思った俺は必死に我慢したけれど。 　ついさっき剣の手の中で果てたばかりなのに、俺は思い人の暖かな口内で高みへと昇りつめてしまった。 「……っふ……」 　イッたあと特有の浮遊感に体はたゆたうけれど、感情は追いつかなくて。俺はもう泣きそうだった。 　けれども剣は俺と視線を合わせて来て、その形のいい唇を開くと、舌の上に乗った俺の精をわざと見せつけるようにして来た。 　そしてそのまま俺が放ったものを、喉を鳴らして飲み干した。 「け、剣っ……」 「なーに？」 　俺は恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないというのに、剣は艶めかしい笑みとともにキスをして来る。 　しっとりと合わさる唇。 　剣が口を開けろと俺の上唇を突いて来た。 　おずおずと唇を開けると、剣の舌が途端に入って来て、俺の口内を蹂躙していく。 　剣から送られてくる唾液に俺の精液の味が残っている気がして、またもや恥ずかしさが増す。 　頭の芯がジンとするようなキスを交わしているとき、俺の太ももにそれが当たった。 　剣の勃起だ。 　スーツのスラックス越しにも剣のそれが硬く大きくなっているのが分かる。 　……剣も俺との行為で興奮してくれてる？ 「……何、きょとんとした顔してるの？　信一」 　ひとしきり深い口づけを終えた剣は、濡れた唇をそっと長い指で拭いながら、聞いて来る。