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第37話 人生初めてのデート

 日曜日で快晴なせいか遊園地はすごい人だった。  家族連れに恋人同士に友達同士のグループ。  たくさんの人人人。 「ねー、剣。俺あれに乗りたいっ」  俺は目についたジェットコースターを指差す。 「分かったから。信一、ちょっと走るな。はぐれちまうだろ」 「だって……」  超久しぶりの遊園地。それも初めてできた恋人と一緒に来ているということに俺のテンションはあがりっぱなしだった。  そんな落ち着きのない俺に剣が手を差し出して来る。 「ほら、信一」 「え?」 「手、繋ぐぞ」 「え? え? でも」  俺が躊躇っている間に剣が強引に手を繋いで来た。 「これではぐれずに済むだろ?」 「で、でも、男同士で手なんて繋いでたら目立っちゃうじゃん」 「みんな自分たちのことに夢中だから誰も他人のことなんて見てないって」  剣はそう言って繋いだ手を楽しそうに振って見せている。  いや、見てるって。  みんな見てるよ、剣の方。特に女の人が。  友達同士で来ている女の子たちは勿論、彼氏と一緒にいる女の子も、剣の容姿に見惚れるようにうっとりとしてから、俺たちが手を繋いでいるのを見て怪訝そうな顔になる。  そして俺の方を見て、『何? この子』という視線を送って来るのだ。  矢のような視線に縮こまっていると、剣が繋いだ手をグイと引っ張って来た。 「まずはあのジェットコースターに乗るんだろ? 行くぞ、信一」 「う、うん」  結局繋いだ手は離さないまま俺たちはジェットコースターの列に並んだのだった。  一つ目のジェットコースターを楽しんだ後、また別のジェットコースターに乗り、次に垂直落下。  俺と剣は絶叫マシーンのはしごをする。 「信一、メリーゴーランドとかは乗らなくていいのか?」 「あ、俺、ああいう回る系はダメなんだ。酔っちゃうから」 「じゃ観覧車は?」 「えー? 乗ったことないけど、あれもなんか酔いそうじゃない?」  動くスピードがゆっくりだから一番てっぺんで気持ち悪くなっちゃったら、目も当てられない。  俺が唇を尖らせて言うと、剣がにやりと笑う。 「大丈夫。気分が悪くなったら、俺が優しく介抱してやるし、その前に酔っている暇ないと思うよ。ほら、密室で二人きりだし」  その視線は意味深に俺を見つめて来る。 「……剣、観覧車でなんかヤラシイことしようとか考えてない?」 「そんなこと考えてないよ。何? 信一、ヤラシイことして欲しいの?」 「そ、そんなわけないだろっ」 「ほんとかな」  剣が楽しそうに笑い、俺もつられて笑う。  デートって楽しいな……俺がそんなふうにしみじみと感じ入っていると、突然後方から声が飛んできた。 「剣!?」  剣が振り返り、それにつられて俺も反射的に振り返った。  そこにいたのは女性のグループで、その中の一人が俺と剣の方を睨みつけるようにして立っている。  俺はその女性に見覚えがあった。

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