「信一……信一……」 　剣はうわごとのように俺の名前を呼びながら服を脱がせていく。 　上半身裸になった俺の素肌に剣の唇がいやらしく這い、同時に右手がズボンを下着ごと剥ぎとっていく。性急な剣の愛撫に俺はただただ喘ぐしかできない。 　剣の唇が俺の乳首に吸い付き、舐め、転がし、甘噛みを繰り帰す。 「あっん……剣……」 　すっごく気持ちいい……。乳首なんて女の子しか感じない場所だと俺は勝手に想像していたんだけど、そうではないって自らの体で思い知らされる。 　俺が乳首が弱いことを知ってる剣は、執拗にそこを攻めて来る。唇で、舌で、指先で。 　その度に俺の腰はピクピク跳ねて、下半身はもう完全に勃ち上がってる。 　俺の勃起した性器を見て、剣がクスリと笑う。 「もう勃ってる？　やっぱりおまえの体ってエロイな」 「……っ……」 　恋人の言葉に耳まで犯されて、俺の体がもっともっとと強い刺激を欲しがる。 　早く剣が欲しい。 　早く一つになりたい。 　やはり心のどこかでコトミさんのことを不安に思っているのだろうか。いつもなら絶対に恥ずかしくて口にできないことを俺は言葉にして懇願した。「 　きつく剣に抱きつき、喘ぎながら。 「挿れて……早く。も、我慢できない」 「信一……」 　剣の声も上擦り掠れている。 　剣も興奮してくれてる？ 　セックスに関しては俺は完全に受け身だから心配になるんだ。ちゃんと剣も気持ちよくなってくれてるんだろうかって。 　剣がパーカーを脱ぎ捨て、ジーンズのジッパーを降ろすと、勃起した雄が飛びだした。 　俺はもともとゲイでもバイでもなかったので、同性の性器なんかグロテスクなだけなはずなんだけど、剣のそれはとてもかっこいいって言うか綺麗って言うか。 　とにかくあれが自分の中に入って来ると思っただけで体の奥底がジンと疼く。 「挿れるよ……？」 　耳元で囁かれてぞくりと体が震え、 「ん……早く……」 　自分のものとは思えないくらい甘ったるい声が出る。 　俺の後孔に剣の性器があてがわれたかと思うと、ゆっくりと俺の中に入って来た。 「あっ……ああ……剣……もっともっと、早く挿れて……早く」 　もどかしいほどの優しい挿入に俺の腰が淫らにくねり、もっと激しいのが欲しいと訴えている。 　なのに、剣は。 「だめだよ。指で慣らしてないんだから、おまえ壊しちゃうかもしんないだろ」 「壊れてもいいから……剣……」 　ううん。いっそ壊して欲しい。 　もっと激しくもっと深く。 「信一……」 　それでも剣はゆっくりと俺の中に自身をを埋めて行き、付け根まで入った、次の瞬間。 　ものすごいスピードで動いた。 　俺の中を突いて突いて。 　激しく、これ以上はないくらいに激しく。 「ああっ……あっ……あっ……」 　爪先から頭のてっぺんにまで電流が走ったように痙攣する。 　気持ちよくて、気持ちよくて、どうにかなってしまいそう。 「信一……信一……」 　耳元で俺の名を呼ぶ剣の色っぽく掠れた声が快感を助長して。 　今、このひととき俺の頭は真っ白で、ただ剣のくれる快楽だけを貪っていた。 「あっ……だめ……イク……イッちゃう……剣っ……」 　目の前で光がスパークしたかと思うと俺はたっぷりと射精した。 　イッたばかりでぐったりしてる体を剣は横抱きにすると、尚も激しく揺さぶり突いて来た。 　これ以上されたら、気が狂ってしまうかもしれない……。 　マジでそんなことを考えたくらいその快感は深く長く続き、 「も、やめ……、剣……変になっちゃう……剣……ああっ……！」 　俺の悲鳴に近い善がり声が部屋中に響く中。 「愛してる……信一……っ……」 　押し殺したような呻き声とともに熱い精液が俺の中へと放たれた。 　ばたりと伸し掛かって来る恋人の重みを感じながら、俺は射精を伴わない絶頂を迎え、そのまま気を失った。