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第45話 父親に怒られる

 剣の家で遅めの昼食を食べ、もう夕方と言ってもいい時間に家へ戻ると、父さんが待ち構えていて、朝帰りならぬ夕方帰りをした俺はきつく怒られた。  俺は知らなかったけど、剣が父さんに連絡を入れておいてくれたらしく、もし、その連絡がなければ、警察に相談するところだったという。 「さすが剣。優秀な秘書だね」  俺がそう言うと、父さんは一段ときつく俺を叱った。そんな俺を剣は庇ってくれる。 「私が信一様をお引止めしたのです。申し訳ございません」 「ちがっ……俺が我儘言ったから。剣は悪くない」  互いに庇い合う俺と剣を見て、父さんは深々と溜息をついた。 「秘書と信頼関係を気づくのは大切だけど、信一、おまえはまだ高校生なんだぞ。そこらをよくわきまえておきなさい」  散々俺と剣に説教をしてから、父さんはまだ仕事が残っていると言って会社に戻ってしまった。 「剣、ごめんね。俺の所為で……」  流石に反省して剣に謝ると、彼は優しく俺の頭を撫でてくれる。 「いいよ。お互い様だ。俺だっておまえと一秒でも長く一緒にいたいんだから」 「ありがとう。……でもさ、剣、俺たちのこと父さんにバレたら、どうなるかなー?」 「そうだな、俺は秘書はクビ、絶対に別れさせられるだろうな……。男同士なうえ、おまえは会社の跡取り息子なんだから」 「えっ……?」  俺は絶句した。今まで剣と付き合える幸せさに有頂天で、現実を見て来なかった俺は一気に血の気が引く思いがした。  俺の髪を撫でていた剣の手が頬に移動する。 「そんな顔するなって。大丈夫。俺はおまえを離さない。いざとなったら、かっさらって逃げてやるよ」  剣は悪い表情をしていた。だけど、俺はその表情が嬉しかった。  社長の地位なんか要らない。  俺は剣といつまでも一緒にいたいんだ……。

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