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第30話

「はい、はい、あ、分かりました、ありがとうございます。はい、分かりました。よろしくお願いします。」 オーディションの一次審査の連絡が来た。 合格 電話を切ってリビングに行ってソファに座ってる桜二の横に座って腹に頭を置いて報告した。 「桜二、オレ一次審査通った。」 え?と腹筋に力が入るのが分かる。体を起こしてオレの頭を包んでキスする。 「すごいね!シロ!アイドルになれるね!」 なんか間違えてる…オレが応募したのはアイドルの後ろのバックダンサーだよ… 「シロ、依冬にも教えてあげたら?」 そう言われてオレは携帯で電話をかけた。 「もしもし、オレオーディション一次審査通ったよ…」 耳が痛くなるくらい叫んで喜んでいる。 外に居るんだろ?心配になるよ。 周りがとても喜んでくれて気遅れする。 「次から本番みたいなモノだから…」 そう言ってプレッシャーを緩和させる。 陽介先生にも教えてあげよう… 「もしもし?先生?今大丈夫?」 電話の向こうの彼は息が荒い様子で筋トレ中かダンスの後かと思った。 「オレ一次審査通ったよ。」 そう言うと喜んで話し始めるんだけど、ちょっと…!と言う声が後ろから聞こえてオレは事の最中に電話してしまったことに気がついた。 「先生…今、朝の10:00なのに誰とエッチしてたの?女の子?男の子?」 オレがそう聞くとしどろもどろにになって誤魔化している。 「気持ちいいの邪魔してごめんね、続けていいよ?それともオレとテレフォンセックスしてみる?」 そう言って煽った。 桜二に小突かれて笑って電話を切る。 「シロ、先生の事、煽りすぎだよ…嫉妬する。お前が煽る相手は俺だろ?」 そう言ってオレを掴んで引き寄せると自分の上に跨がせた。 「先生、最近エロいんだよ…」 オレがそう言うと桜二はオレの頬に手を添えて自分の方に向かせてキスをした。 いつものねっとりとしたエロいキスにどんどん体が疼いていく。 「他の人としたくなったの?それとも先生としたいの?」 おでこをつけたままキスを外して聞いてくる。 桜二の手がオレの背中と腰に沿う様に這っていく。 ゾクゾクして桜二の首に腕を巻きつけた。 「先生が…この前、諦めるからって…ん、1回だけキスさせてって…あっ、桜二聞いてる?」 桜二はオレの服の中に手を入れて腰をさすって首元を舌で舐める。 「で、シロはそれを信じてさせたの?」 オレの顔を覗き見ながら両手を脇に添わせて乳首を親指で捏ねてくる。 「ん…んん…はぁはぁ、桜二…あっ、あぁ…ん」 「シロはエッチだから…」 そう言ってオレの服をまくり上げると顔を近づけた。 「刺激が少なくなると…すぐ他所に発情しちゃうんだよね…」 そう言ってオレの乳首を舐めあげて舌で転がす。 「あっ、あっ…んん、はぁはぁ…ぁあん…きもちい…桜二…したい…」 オレは桜二の頭を掴んで自分の方に向けるとキスをした。 舌を入れてきもちいい…先生も今してるのかな…。 オレも一緒に気持ちよくなりたい… 「シロは先生に発情してるから…俺やらない!」 ヘソを曲げた桜二は誘うだけ誘ってオレを置いてけぼりにした… 「…何で?なぁんで!こんなにして置いてくの?」 オレは駄々っ子の様にソファの上で暴れる。 「先生の代わりにシロを抱くのはごめんだよ!」 そう言ってフン!とそっぽを向かれてしまった… 「ちぇっ!なんだよ!ふん!」 オレもそっぽを向いてソファに座り直した。 でも、やっぱりしたくなってダイニングテーブルで携帯を見出した桜二を意識しながら自分のモノを触った。 「ん…あっ…んん、ぁあ…!はぁはぁ…ん、ん…」 だんだん気持ちよくなってソファから体がズレ落ちてくるから向きを変えて座って足を広げズボンの中に手を入れた。 その様子を見た桜二が近くに寄って来てソファに腰掛けニヤニヤしながらオレを見てくる。 「なんだよ…!見たかったら見物料払え!」 そう言って桜二を見ながら手を動かした。 「ぁあっ…!ん、桜二…きもちいよ?ねぇ…しようよ…オレ我慢できない…ん、んんっ…あぁ」 オレのズボンとパンツに手をかけて少しずり下げるとオレのモノとそれを扱くオレの手が露出した。桜二がジッとそこを見てくるから興奮して先っぽからトロトロした液が出てくる。オレは体を仰け反らせて下半身の快感を楽しんだ。 「シロ…いけない子だね?先生にもしたんでしょ?こんな事したらそりゃ抜きたくもなるよ…」 桜二はオレの目の前に携帯を出してYouTubeを再生させた。 「あ!また勝手に上がってる…!」 昨日のハニとの対決勝負がまた勝手にYouTubeに上がっていた。 「他の人が見たらただのストリップに見えるかもしれないけど、俺の目にはお前が先生でオナニーしてる様にしか見えないよ…」 「もう怒らないって約束したじゃん!」 怒った顔になりつつある桜二に牽制して言った。 桜二はオレに覆いかぶさると舌を入れてキスして来た。あ、してくれるの?やった! そう思ったのに頭がジンと痺れて来たところでキスをやめてしまった… 「悪い子にはお預けだな…」 「なんだよ、それ!バッカみたい!」 オレは桜二を無視して手を動かし続けた。 すぐ横にあいつが座ってるけど気にしない…! すっかり元気がなくなったモノをまた触って刺激を与えると大きくなってくる。 はぁはぁ…と息が荒くなって快感が奥の方から湧いてくる。 「あっ…ん、はぁはぁ…あ、ぁあ…んん…」 きもち良くて口から喘ぎ声が漏れる。 薄目を開けるとオレとは対照的にテレビの方を見て座る桜二が見える。 触りたい… オレは桜二の腰に人肌を感じるように顔を押しつけた。 「シロ…1人でしてもうこんなにきもち良くなっちゃったの?」 声をかけられて桜二を仰いで見ると上半身を捻ってオレに覆いかぶさり顔を見ながら自分のモノを扱いてる。 「あっ!ぁあん…桜二…そんなのするなら挿れてよ!なんで…あっ、ぁあ!んん…はぁはぁ」 「シロ…もっと気持ちよくなって?かわいい声出して、お前の顔見ながらイクから…ね?」 桜二のモノがどんどん大きくなっていくのを見ただけで体がビクビク過敏になっていく。 「あぁ…!桜二…触って…?ねぇ…オレに触ってよ…んん、あっ、あぁ…!桜二、ねぇ…!」 彼の名を呼んでしおらしくお願いしてるのに桜二はオレを見下ろしながらひとりでマスをかく。 あれ、挿れたい…。 オレは自分の穴を初めて触って指を入れる。 「んんっ!あっ!ぁあ…!はぁはぁ…ん!ぁあ…」 あれ挿れたい…! 何てプレイなの!?もうやだ! オレは起き上がって桜二に跨った。 「こら、ダメだって!」 桜二がオレの体を持ち上げ様とするのに抵抗してオレは自分で桜二のモノを中に挿れた。 「ぁあん!きもちい!桜二!気持ちいい!!」 あいつの肩を掴んで腰を動かし喘ぐ。 「…ん、シロ!ダメだって…離れて!」 絶対嫌だ!ばか!ばか! オレは桜二を見下ろしてキスする。 オレが舌を入れると素直に口を開けて受け入れた。 なんだよ、勿体振りやがって! あぁ、めっちゃ気持ちいい…頭があっという間に真っ白になる。 桜二を見下ろすとだらしない顔でオレを見てる。 半開きの口から見える舌がすごくいやらしい… オレは桜二の口に指を入れて舌を撫でて掴んだ。 そのまま口の外に出してオレの口で迎えにいった。 「シロ~!おめでとう!」 依冬がテイクアウトの袋を持って部屋に入って来た。 オレ達の隣に座るとオレの顔を持ってキスしてくる。 あぁ…3Pが始まるのかな…それでも良いや… オレは桜二に跨り腰を振りながら依冬の首に腕を巻きつけてキスした。 依冬がジャケットを脱いでネクタイを緩めシャツの上のボタンを外す。 「依冬…桜二がオレに意地悪したんだ…」 オレは言いつけるみたいに依冬に言った。 「シロが悪い子だからでしょ?」 桜二が腰を動かしてオレの中を突き上げてくる。 「あっ!ぁああ!や、やらぁ…はぁ…んんっ!」 「シロ…悪い子ちゃんだね」 オレの顔を掴んで自分に向けると片手でオレのモノを扱いた。 一気に快感が増して腰が砕けて震える。 オレの顔を見ながら依冬が自分のモノを扱く。 「なぁんで…あっ…あぁああん!違う…!してないもん…!オレ…せんせ…にしてないもん…!」 オレは依冬に首を振りながら訴える。 トロトロの液がオレのモノからどんどん出て、イッちゃってるのかと思うくらいまとわりついてるのがわかる。 依冬は、かわい…と言ってオレの口に舌を入れて熱いキスをする。 頭がボーッとなってクラクラする。 もう…イキそう…! 「んっ!んぁあ!んんっ!!」 体を仰け反らせビクビク腰が震える。 オレは依冬にキスされたままイッてしまった… 桜二がオレの首元にキスしてそのままオレをソファの上に四つん這いにさせた。 汗でベタベタになった服を脱がされて依冬の手がオレの腰を掴んだのが分かった。 「シロ…口でして?」 オレの顔を持ち上げて自分のモノの前に持ってくると桜二がそう言った。 オレは口を開けて桜二のモノを咥えた。 「シロ…かわい…」 依冬がオレの穴に自分のモノを当てる。 …怖い ズズズッと皮膚を引きずってあいつの大きいモノがオレの中に埋れていく。 「んんっ!んん~!!んぁっ!!」 間違って桜二のモノを噛みそうになる。 口を開けて力が抜けてるのをいい事に根本まで押し込んでくるから苦しい…!! 桜二がオレの頬を撫でて腰をゆっくり動かす。 オレの舌に擦り付ける様にモノを動かしていく。 依冬はオレの腰をガッチリ両手で掴んでねっとり腰を動かす。 お前…いつの間にそんな腰使いする様になったんだよ…まるで桜二みたいにエロく腰をうねらせてく。 この前3Pした時に学習したのか…依冬の野獣プレイがしっとりとした大人プレイに変わっていてこのまま暖簾分けでもするんじゃないかと思うくらい似て来た。 「ねぇシロ…アレやってよ」 桜二がオレに言うけど、すっかり依冬に気持ち良くされてしまい腑抜けの様に揺すられてる。 「依冬…一回止まって、ほらシロやってよ」 今日の桜二は依冬と逆に無茶振りしてくる… オレは桜二の腰を持ってあの秘儀を使った。 「あぁ、気持ちいい…シロ」 そう言ってオレの頭を押さえると腰を動かして来た。 やだ、苦しい! 依冬も後ろから腰を動かし始める。 片手でオレのモノを握って扱いてくる。 やばい…イッちゃいそう… 「んっ!んふっ!んんっん~!んんぁっ!!んっ、んんっ!ん…んん~!!」 オレの口の中で桜二がイッて、後を追う様にオレもイッた。 依冬がオレの背中に覆いかぶさって野獣ファックする。 「あっあああ!依冬!やらぁ!んっぁああ!!」 「シロ…、シロ!イキそ…んん、んっ!はぁはぁ」 あまりのラッシュにクラクラしてうつ伏せに突っ伏した。 桜二はパンツを履いてソファにうつ伏せるオレを眺めて髪を手で解かす。 「シロ…もう先生を煽らないでよ。妬いちゃう」 そう言ってオレの額にキスする。 「もし先生としたら俺怒ってシロとしばらくエッチしないからね…分かった?」 マジか… 「オレは誰のものでもないのに、そんなのおかしいよ…」 オレはそう言って顔を伏せた。 「シロ、先生としたくなっちゃったの?」 依冬がオレに聞くから、知らない!と答えると桜二が親切にYouTubeを見せてあげている。 「かわいい…この日行けば良かった…そしたら俺にしてくれたよね?このダンス?」 桜二の後ろからジト目でオレを見るからオレは顔を背けて知らない!と言った。 「2人してなんだよ!オレは我慢してあれで済ませたのに!何もしてないのに!頭にくる!!」 そう言ってオレはふてくされた。 下着と服を着ると依冬が持ってきたテイクアウトを持ってベランダに行って座って食べた。 「シロ…」 依冬が隣に座るけどオレは無視した。 桜二はご機嫌取りもしないでキッチンに行ってしまった!頭にくる!元はと言えばあいつがYouTubeなんて見つけるからいけないのに!! オレは依冬にテイクアウトの残りを渡すと荷物を持って外に出た。 「どこ行くの?」 桜二が聞いてきたけど無視した! オレは子供じゃないしお前の旦那でもない!いちいち言う必要あるかよっ! 頭に来てるからそのまま新宿の家に戻って来る。 久しぶりの部屋…狭っ…悲しいよ。 布団に突っ伏してテレビをつける。 「なんで浮気したの?酷い!」 「一時の気の迷いだったんだ!本当に愛してるのはお前だけだよ!」 こんなドラマばっかだな!下らん!! オレは先生にちょっかい出してないのに…ちょっと面白半分で煽ってるだけで触ってもないのに…疑われて心外だ!! フン! 今日の仕事までこのイライラを沈めないと!オレは布団に潜って寝た。 16:00 アラームの音で目を覚ます。 シャワーを浴びる。あれ、こんなにここ狭かったっけ…?すっかり贅沢が身に付いてオレは自分のアパートの狭さに気が引けてしまった… ドアも薄いし…なんだここは… 歯を磨いてドライヤーで髪を乾かし家を出た。 あんなドアで安全を守れるのかな… ボーッとそんな事を考えながら三叉路の店に着いた。 「おはよ~」 支配人に声をかけると、やはりハニとの対決が話題になってるとの事。 「オレ、あれが原因で彼女と喧嘩したんだけど…」 オレがふてくされて言うと笑って言い返した。 「そりゃ彼氏の間違いだろ?それに、うちの店でやったことは全てわたくしの権限下にあるので、甲は乙の従業員として店のだね、宣伝をした事になるから、問題ないんだよ」 ちょっと裁判してるからって難しい言葉使って、頭が悪いのが露呈するよ…全く! オレはフン!と顔を背けて地下へ向かった。 「シロおはよう!」 楓にすりすりして心を沈める。 「桜二はオレの彼女だよ」 オレがポツリと言うと彼氏でしょと言われて黙った。 なんだよみんなあいつの可愛さ知らないからそんな風に言って… オレは化粧ポーチを出して鏡の前に座った。 踊ればイライラはなくなるかな… 衣装がなかなか決まらずさらにイライラした。 19:00 店内に入る。 カウンターの席についてマスターにビールをもらった。 「桜二はオレの彼女だよ。」 オレが言うとマスターはどっちでも良いのでは?と返してきた。 そもそも男同士なのだから彼氏と彼氏なのでは?と続けて言う。 はぁ…小難しい哲学論は嫌いだよ。 女性客のグループやゲイのカップル、ノリで来ちゃったのんけの客グループが入店する中、知った顔を見つけて心が踊った。 「桜二…なんだよ…来てくれたんだ!」 心の声が口に出てしまいハッとする。 オレは許さないぞ!フン! すると桜二が隣に誰かを連れてる事に気付いた。 長身の綺麗な女性と一緒にステージ前の席に座った。 楽しそうに会話してる… 「誰?あれ…」 オレは戸惑った。 桜二に近づいて肩に触れ声をかける。 「桜二…」 オレの方を見て笑う他所行きの顔。 女の人の方を見て紹介してるみたいだけど、オレはお前の他所行きの顔が気になって目が離せないよ。 「シロ?どうしたの?」 不思議そうな顔で見るお前が不思議だよ。 オレは何も話さず桜二からそっと離れてカウンターに戻った。 「あぁ…シロ振られちゃったの?」 まさか… 「彼女、美人だね。」 確かに… マスターが煽る様に話すから若干苛ついた。 オレよりしなやかで艶っぽくて美人だ… でも桜二はオレ以外興味があるわけないよ…オレにゾッコンなんだから… 妬いちゃう!キーー!ってヒステリー起こした位なんだから… 桜二達を気にしない様に店の入り口をぼんやり見ていると1人客ですごく綺麗な男の人が現れた。店内に入った瞬間目を奪われるくらいの美形…楓よりももっと…綺麗で汚れていない…そんな完璧な美しさ。 目で追ってしまう… 桜二が彼を手で呼ぶ、桜二のテーブルに腰掛けて飲み物を注文する。 女よりもこっちの方がショックだ… 誰だよ…そいつ! オレは桜二の元に再び行って桜二にバックハグして美しの君を確認する。 「シロ…さっきからどうしたの?」 「だれ?」 オレは美しの君を指差して尋ねた。 「失礼だよ、やめて。」 指を包まれ下げられる。 「この人は俺の知り合いだよ、失礼しないで。」 そう言って相手に謝ってる。 「かわいいね、なんて言うの?」 女の人がオレに話しかける。 オレはふいっと顔を背けて桜二の背中にしがみついた。話したくない! その反応を笑われてムカついた…なんだよ。 「俺、この子好きだよ。桜ちゃんは変わらないね、いつも可愛い顔の子が好きなんだよね。」 何この会話めっちゃムカつく…いつもって何?前からの遍歴知ってますよ的な?マウントなの? 「オレ、あんたが嫌い。」 オレは桜二の背中でそう呟いた。 また笑われて子供扱いだ…フン!でも離れない。 「シロ…そろそろ」 支配人が声をかけるけど今離れたら桜二がフラっといっちゃいそうなんだ… お前にはオレがいるだろって捕まえておかないと… 「シロ、行っておいで。」 桜二に回した手をポンポンと叩いて促される。 入り口を出るまで目を離さずその場を去った。 なんだあの得体の知れないオーラは… ムカつくぜ… オレはDJの所に戻って曲を急遽変更した。 控え室に戻ると楓がオレに詰め寄った。 「シロの彼氏と一緒にいる人めっちゃ綺麗…女よりも男の方…やばい…天使だよ。」 知ってるよ…クソムカつくぜ。 先生に浮気心を抱いたオレへの当て付けか!? カーテンのこちらにも響く大音量で音楽が流れた。 今日はしっとり行こうと思ったけど予定変更だ…ムカつく思いを乗せてヘビメタでハードに行く! カーテンを開けてステージに出ると、まぁ近くにいるよね…桜二のばか!! 助走をつけてポールに軽やかに乗って上まで行く。 そこで腕の下と太ももにポールを挟んで体を仰け反らせで反らせた頭と足先を触れさせて回る。 そのまま頭の上でポールを逆手につかんで腹筋で両足を上に上げる。 天井に足が届く…逆さ吊りだ。 足首でポールを挟んでやっちゃいけない事をする。 桜二の方を見ると美しの君がオレの動きを見て口を開ける。 へぇ…お前、これが危ないって、わかるんだ… オレは足首を解いて逆さに落ちる。 命綱なんて無いよ…落ちたら死ぬか首が折れるよ。 「キャーッ!」 良いね、それ…最高に興奮する。 ギリギリで腕を逆手にポールに絡めて体を反転させて足を絡める。 すごい音がしてポールが揺れる。 反転した後の床までの距離…攻めたな、10㎝も無い。 オレ、今日キレてんな… でもこの曲に合ってる…狂ってる感じで。 そのまま仰け反ってみて心の中で笑った。 すげえ…こんなに床ギリギリだ。 髪の毛どころか頭が付く。 オレは体を起こして腕を伸ばし上の方を掴んだ。 反動を使って勢いよく両足の膝裏にポールを挟んで腕だけで回りながらポールを登る。太ももを絡めてポールに固定すると上の服を脱ぐ。 片足にポールを添わせて遠心力を使って回りながら降りる。 すごい回転で頭がクラクラする。 あぁ…桜二ムカつくぜ… オレは桜二を睨みつけながらズボンを脱ぐとあいつの方に蹴飛ばした。 チップを咥えて待つ客に口でチップを受け取っていく。 みんなハードなオレに満足してる様子でこんな個人的な感情を剥き出しにした事を少し悪く思った。 …美しの君が桜二の側で桜二からチップを挟んで貰い、口に咥えて寝転がった。 「オレの男に手ェ出してんじゃねぇよ…」 ポツリと小声で呟く。 ゆっくりあいつに近づいて行く。 桜二を見つめたまま仁王立ちする。 「お前、こいつに鼻の下伸ばしたろ?」 大音量の音楽でかき消されるとわかってるけど、小声で呟く。 オレが何か話しかけたのに気付いて、何?って言って笑いかける。 その他所行きの笑顔…見たくねぇんだよ…!! オレは美しの君の頭の両脇に膝をついた。 そのまま四つん這いになって体を前のめりに伸ばして桜二を睨みつけて低く言った。 「お前がよこせよ…」 桜二が口にチップを咥えてオレの方に顔を寄せる。 オレはそれを待たずに、桜二の後ろ髪を掴んで引き寄せて口から奪い取る。 そのまま腰を引いてこの美しい男の体を撫でて行く。 引き締まった体…柔らかい肌触り…細いのにバランスの取れた筋肉。 腰を上に上げて前屈の態勢へと向かいながらこの男の体を触る。 腹筋…胸筋…無駄な肉が全くない…マネキンの様な完璧な体…顔を近づけてオレは言った。 「あんた…ストリッパー?」 美しの君は目を輝かせて微笑む。 「早く取りなよ…俺の口から…」 そう言ってオレの頭を触る。 オレは舌でこいつの唇を舐めながらチップを咥えて取った。 そのまま立ち上がると、左足を思い切り後ろに振ってバク宙してこいつの頭のすぐ横に手を置いて足をゆっくり下ろした。 「シローー!カッコいい!シローーー!」 これでフィニッシュだ… カーテンの裏に戻って適当な服を着て飛び出して店内に戻る。 桜二の後ろに行ってまたバックハグする。 他の客がチップをオレに巻き付けたりズボンに入れたり桜二のテーブルに乗せて行ったりする。 オレは笑顔で受け取って、みんなが引けると真顔に戻った。 「シロ!すごいエキサイティングだった!でもアレはよくないよ!危ないよ!せっかくの可愛い顔が潰れちゃう!もうしちゃダメだ!」 美しの君がそう言ってオレに指を向けて横に振ってきた。 オレはフン!と顔を逸らして桜二にベタついた。 「シロ、ほらこっちに来て。ちゃんと紹介するから、誤解しないで話を聞いて!」 そう言ってオレを持ち上げるとステージの縁に座らせた。 ウェイターーにオレ用のビールを頼んで席に座る。 「この人達は俺の古くからの友達で海外で活躍してるダンサーなんだよ。シロの話をしたらぜひ見たいって言うから連れてきたの。」 よろしくね、と女の人が言う。 オレは視線を逸らして軽く頷いた。 「かわいい…何この子、ちっちゃい子みたい…。」 悪かったな!反応がガキで悪かったな!! 美しの君が桜二の背中に指先を滑らせながらオレの所に近づいてくる。 ムカつく… 「オレの男に触んな、ビッチ!」 オレがそう言うとオレの足の間に体を入れてステージに押し倒した。 そして覆い被さってオレの体に指を滑らせて行く。 「締まってるね…無駄のない体。綺麗な体。シロの体見たいな…俺とセックスしようよ…ね?良いでしょ?可愛すぎて勃起しちゃったから…ね?」 オレはフン!と言って顔を背けた。 美しの君が体を引いてオレの手を掴んで引っ張り起こした。 フワッと体が浮く。 なんだ…この力の使い方… まるで力の使い方が分かってるみたいに自然で無駄がない… 「今の…どうやったの?」 「何?」 「今、オレを起こしたのどうやったの?」 もう一回やってよ、そう言ってまた横になって手を伸ばした。 美しの君は笑いながらオレの手を掴んでクイッと起こした。 やっぱり普通じゃない、不思議な感覚… オレはまた横になって今度は体を脱力させて手を伸ばした。 「かわいい…」 美しの君はそう笑ってまた手を掴んだ。 オレの脱力に気付いて少し勢いをつけて引いて起こした。 「ねぇ、どうやってやったの?」 「シロはポールの上で誰かと一緒に回ったことある?」 オレの顔を撫でながら美しの君が聞いてくる。切れ長の奥二重…きめ細かい皮膚は陶器の様で触れてみたくなる。スッと通った鼻筋にちょうどいい厚さの唇…キスしたら気持ち良さそうな…唇… 「ポールの上でバランスを取りながら人を掴んで回ったりすると、こういう力の使い方が必要になってね、体で覚えて染み付いて行くんだよ…だから俺も説明はできないけど、それがお前は不思議だったんだね…。面白い。」 会話中唇を見続けるオレに気付いたのか、そっと口を寄せてキスしてきた。 柔らかくてプニっと音がしそう… そのまま舌で俺の唇を舐めて口の中に入ってくる。 いつも受け入れてる舌より小ぶりなのに良く絡みついて来て頭が痺れる。 オレの腰を抱き寄せて股間に押し付ける。 動作のひとつひとつが、手の動き全てが美しくて見惚れてしまう。 唇を外されてトロけた目になるオレにまたキスする。 桜二の方を見て笑いながら聞いてる。 「桜ちゃん、シロ欲しい…」 「ダメ…もう離して。」 「え~かわいいんだもん。」 オレ、この人好きかも…なんか、面白い… 桜二にもたれかかって2人の話を聞いた。 女の人はパリでバックダンサーの養成をしてるらしい。 名前は夏子さん。 パリ…?海外だ… 美しの君は勇吾という名前。ゆうご…見た目からは勇ましさのかけらも無いけど、名前負けしてるとは思わなかった。ロンドンで働いてて、夜はストリッパーとして活動しているけど、そろそろ養成する側に回ろうと思ってると話した。 「シロ…うちにおいでよ。衣食住面倒みてあげるから…ね?お前はすごい逸材だよ?」 「え…」 突然の誘いに言葉を失った。 オレの腰に回された桜二の腕をギュッと掴む。 オレの顔を覗き込む様に桜二の顔が傾いてくる。 「シロ?」 言葉が見つからなくて桜二に寄り添った。 「俺たち、あと1ヶ月以上はこっちにいるからまた会おうよ…シロ。ね?うんって言って?」 勇吾がオレを覗き込んで聞いて来た。 オレは桜二の腕の中で小さく頷いた。 「この甘えん坊は本当にさっき踊った暴れん坊なの?可愛すぎて私もこういう子欲しい!!」 夏子さんが叫んだ。 海外仕立てのシャウトは腹から声が出て怖かった。 店内が暗くなり楓のステージが始まる。 今日はオレの仕上げた構成で踊るはず。 オレの綺麗な楓を見せて! オレはステージの方を見上げて楓の登場を待った。 音楽が流れ始めたのにまだ出てこない…オレはステージの端からカーテンの奥に行った。 「シロ…コレどうしよう…。」 ニットの衣装を引っ掛けてしまった様で絡まって動けなくなっていた…おぉ…楓… オレは仕方なくTシャツ短パン、裸足で代わりにステージに立った。 「楓は~?」 客の声に笑いながら奥で絡まって出らんない、と伝えて爆笑を起こした。 素肌の方が断然ポールとの相性は良い。 オレはポールに捕まると軽々と上まで登った。 太ももで締めてポールに体を固定させるとそのまま体を仰け反らしたり腕を上げたり上半身に動きをつけて太ももの締め付けを緩めながらゆっくり回りながら滑り降りた。 あ、オレ今履いてる下着…私服の赤のシマシマボクサーパンツだ… ふと思い出したけど仕方ない…また部屋着を見せるしかない… ゆっくり逆立ちしてそのまま反対に足を下ろしてブリッジになる。そのままバク転して体を起こして足を広げながら膝をついて短パンを膝まで下げて四つん這いになる。オレのパンツを見て桜二が笑って夏子さんに耳打ちしてる…余計なこと言うなよ。 オレは桜二を睨んだ。 上のTシャツを捲り上げて口で咥えて腰を揺らす。 初めはゆっくり体をよじって激しくして上体を起こして自分の胸に指を這わせて誘う様に視線を送る。 「シローーー!オレの天使ーーー!」 あ。先生だ…!ウケる!! そのままTシャツを捲り上げて脱ぐ。 ほら、オレの部屋着パート2だ。 勇吾が支配人に何か話してる…何するの? 気にしながらも客のチップを集める。 ふとステージの横から勇吾が上がって来た。 驚いたけど勇吾の目がさっきと違うステージの目になってたからオレは適当に合わせてそれを許した。 容易くポールに登ると逆さになって両手を伸ばしている。 何あれ… 勇吾がオレの方を見てる。 目が来いって言ってる気がして…自然と体が動いてオレはタイミングを合わせてその手に飛びついた。 ゆっくりと回りながら勇吾がリードする様に体を動かす。 そのまま持ち上げられてポールの上で向かい合わせになる。 「シロいいね…じゃあオレに体預けてみる?」 オレは笑って頷いた。 勇吾が背中と足でポールを挟んで逆さになって手を伸ばすから、オレは片手でガッチリポールを掴んでから反対の手でその手に掴まってポールから離れた。 繋いだ勇吾の腕がクイっと回転する。 オレはその方向に体を捻ったり仰け反らせたりする。 上で支える彼の腕が心配で足をポールに絡めてしまっても、勇吾はオレを見ながら止まることなく一定の速度で回る。 最後にトントンと腕を指で叩くからオレは一瞬手をその場所にキープしながら離して身体のみ一回転させた。 腕と腕が離れていかないのは、オレが回転する前に勇吾が即座に上に引き上げたからだ…凄い… そのまま下に降りてポーズをとるけど、オレの心臓はめっちゃバクバクしてる。 何これ…凄い…凄い! フィニッシュを決めてお辞儀してカーテンの奥に向かおうとしたけど、ステージの下に降りて行く勇吾を見て我慢できずに駆け寄って抱きついた。 「凄い!凄かった!何あれ…!凄い!」 「凄いのはシロだよ…普通出来ないよ?君は何者なの?俺、君の事大好きになっちゃった…絶対連れて帰りたいよ。」 そう言ってオレの手を取って甲にキスした。 オレはあまりの興奮にフラフラとカーテンの奥に戻った。 そして頭をぼーっとさせながら目の前に佇む絡まった楓の毛糸を解いてあげた。 あの感覚が頭から離れない…初めて自分の体が他人と触れて感じた感覚…まるで無重力の様な不思議な感覚…。 下にぶら下がったオレはほぼ何の知識もなく踊るのに、手を離すことなく、速度を落とす事なく、同じ力で同じスピードでリードできる技術力…やばい…あの人、凄い。 オレのシフトの最終ステージは楓とチェンジになりオレは帰る準備をした。 メイクを落として私服に着替えて荷物を持って店内に戻った。 「勇吾は?」 「予定があるから2人で帰っていったよ…シロ凄く上手だって褒めてたよ。とっても綺麗だった。」 桜二の褒め言葉が嬉しくないわけじゃない…もういなくなってしまったことが寂しくてションボリした。 「シロ!あの人は誰?」 陽介先生が聞いて来た。 やっぱり来てた! 「あの人桜二の友達、ロンドンでストリッパーしてる人。めっちゃ凄い…オレまだドキドキしてる…。」 グルーピーの様に2人で驚異のダンサーに沸く。 「だってオレ結構勢いつけて飛んだんだよ?なのに全然ブレないの…凄くない?」 「どうやってリードしてたの?」 「腕の向きをクイっと変える時があって、それが客席側に来た時なんだよ。だからそう言うことかと思って…最後はトントンって指でオレの腕を叩くから、大技かなって思って回ったらさ、回る寸前にオレの腕をグッて持ち上げてから離すんだよ?凄くない?」 「まじか…」 オレはすっかり勇吾に夢中になってしまった… 早くまた会いたい… 勇吾のストリップが見てみたい… 「ねぇ、また会いたい…桜二、また会いたい。」 オレは桜二に抱きついておねだりした。 女連れの陽介先生とお別れして家に帰る。 「凄いよあの人…あんなに細いのに…信じられない…桜二の友達凄いよ…何であんな事出来るんだろう?不思議だよ…」 助手席でずっと興奮して話すオレを笑いながら見つめる桜二の目が優しかった。 なんだあれ。 またやりたい… オレは勇吾と握った手を見て感覚を忘れない様にした。

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