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第33話

「オレ明日早いからもう寝るね。」 シャワーを済ませてパジャマに着替え、オレは寝室に行って内側のドアに物を沢山積んで人が入って来れないようにした。 ベッドで横になると大人の声が微かに聞こえてくる。 笑ってる声…楽しそうだな…何話してるのかな…桜二入って来れるかな… うとうとして眠りについた。 携帯が鳴ってる音がする… まだ眠いよ… 近くでドアがガンガン鳴る音がする。 煩いな…ドア壊れるよ… 「シロ!朝!」 まだ眠いのに… 遠くで笑い声がする…なんだよ、何がそんなに… ガバッと起き上がって携帯を見ると着信が10件以上桜二から来ている。 時間を確認すると9:45… またやっちゃった… 急いでベッドから降りるとシーツに足がもつれて落ちて派手な音がする。 「シロ?大丈夫!?」 ヨロヨロとドアの前に行くけど、モノを沢山置いたので退かさないと開かない… これを外から開けようとしてすごい音がしたのか…少し物が移動している。 ポタポタ血が垂れる。あ、オレ… 「鼻血、出た…」 え?とドアの外から声がして隙間から桜二の顔が見える。 手にティッシュを持って手渡される。 外では相変わらず大爆笑する笑い声がする… 鼻を押さえながら荷物を退かしてドアが開く。 「なんでこんな事したの?」 桜二がオレの鼻を見ながらドアの前のものの事を怒る。 だって入って来られそうで嫌だったんだ… 「勇吾が入って来ないようにした。」 押さえて、と言われて鼻をティッシュで押さえる。 目の前に笑い転げる夏子さんと勇吾… 「シロ…!シロ…!連れて帰りたい!面白すぎる!」 夏子さんにならお持ち帰りされたいよ… 「あははははは!お前は本当にばかだな~!桜ちゃんがシロのママになる理由がわかった!お前が底無しのバカだからだ!!」 そう言って床を叩く。 桜二はオレのパジャマを脱がせて服を着せる。 猫のトレーナーは肌触りが最高だった。 でもこっちのピンクは勇吾用のなのに… 「オレのは水色のやつなのに…」 色違いの違う方を着せられて文句を言うと、桜二がもうっ!と怒って水色の猫のトレーナーに変えてくれた。 いちいち笑い転げるこの人たちは笑いに飢えてるのかもしれない…異国で言葉も笑いのセンスも違う環境で過ごしたせいで、笑いに飢えているのかもしれない…笑い転げる2人を茫然と見ながらそう思った。 「シロ、鼻見せて?」 ティッシュを外して確認してもらう。 「もう血は止まったから、顔洗って来て!」 言われるままに歯を磨く…鏡で見るとほっぺに鼻血がついていた。 顔を洗って髪を濡らしてドライヤーで乾かす。 桜二が車の鍵を持って待ってる。 「お腹すいた…」 オレの一言一句に笑う…笑いの渇望者たち… お弁当のようなものを桜二に持たされ手を引かれる。 時間は10:15 車の中に何故か夏子さんも勇吾も載っている。 「こんなに面白いの見逃せない…!」 「シロ…俺と一緒に住もう。アニマルセラピーみたいに心が浄化されそうだ…」 「シロ車の中で食べちゃって?」 桜二に促されてお弁当を広げた。 「あ…卵焼き~」 兄ちゃんが作ってくれたお弁当を思い出した。 「お茶欲しいのに…」 オレが言うと夏子さんが水をくれた。 「わがままキッズ!」 そう言って蓋を開けてくれた、優しい。 今日は道路の流れも順調でぐんぐん進んでいく。 「お弁当食べ終わる前に着きそう…」 オレが卵焼きを食べてると桜二がリュックを指差して言った。 「シロ、荷物忘れ物ないか調べて!」 慌てて足元のリュックを見たら卵焼きを落としてしまった。 「あぁ!桜二が言うから!卵焼きが落ちちゃったじゃないか!ばか!ばか!」 オレは怒って桜二を叩いた。 弁当が揺れてウィンナーとブロッコリーも落ちた。 「あーーーーん!弁当が、弁当が!」 泣いてるオレを他所に、桜二はリュックを掴んで後ろにまわすと、勇吾に中を確認しろと言った。 「スウェットのズボンと半袖…書類と筆記用具。あと携帯とタオルかな?」 オレは落とした弁当の具を拾って蓋に乗せた。 「多分大丈夫…」 オレの頭を後ろから叩いて勇吾が怒った。 「お前は自分でちゃんとやれよ!赤ちゃんじゃ無いんだからさぁ~!」 ペシペシ叩かれてオレはヘソを曲げた。 10:30 会場について車を降りて走った。 だいぶ絞られて来た人数のはずだし、受付終わってたらどうしよう…! 受付に着くとまだギリギリやっていてホッとする。 書類を出そうとリュックを手繰り寄せようとした時やっと気づいた。 「あ、勇吾にリュック渡したまんまだ…」 そういえば車から降りた時、何か言っていた気がする…オレはてっきり頑張れよ~と言われたのかと思ってた… 後ろから頭を引っ叩かれて振り返ると、息を切らした勇吾がリュックを持って来てくれた。 「お前…本当に…ばかだな…はぁはぁ」 「これくらい走っただけで息が上がるなんて…お爺ちゃんみたいだ。」 リュックを受け取って書類を出しながらオレが言うと、また頭を引っ叩かれた。 お揃いのペアルックで漫才コンビみたいなオレたちを、受付の人が好奇の目で見ていた… 「シロ、行って来ますのチュウして?」 そう勇吾に言われてオレは何気なくチュッとした。 「あ…良い…」 受付のお姉さんが腐女子だと気付いた。 勇吾と別れ受付を済ませてもらった番号は17番。 オレが最後のはずだから…17人の中から選ばれるってことか… 「シロ、そのトレーナーすごいね…髪の毛と合わさって目立つね。」 一次審査で要チェックをしていた尚君がオレに話しかけて来た。 「あ、君も2次審査なんだ…」 意外だった…だってあの時アラベスク出来なかったから…オレは着替えをリュックから出して動きやすい格好に着替え始めた。 「ストリッパーしてるって聞いて、あの後YouTube見たんだ。君すごくエッチだね?君に興味出ちゃったよ…シロ君…」 オレの脇腹に指をつたわせてくる… こんな時にも発情するなんてすごいな… オレは尚君を無視して着替えるとストレッチを始めた。 オーディションの常連の橋本さんの姿はなかった…また次のオーディションで誰かにハウトゥーをご教授するのだろう… 「お前ストリッパーなんだって?オカマじゃん。」 陽介先生みたいな人に嫌な顔をされて言われる。 慣れてるから平気。気にしない。 オレは無視してストレッチを続ける。 「皆さん全員こちらに移動してください。」 スタッフの人に誘導されてゾロゾロと移動する。 「なぁ、お前枕営業とかすんの?」 偽陽介にしつこく付き纏われる。 「お前、さっきからやめろよ…」 イケメンが偽陽介を牽制した。 桜二が若かったらこんな雰囲気かも…そんな事を思いながら無言で歩いた。 案内された室内に入ると審査員が6人と、前回より多い人数だった。 椅子に座らされ番号順に呼ばれて前に行ってオーディションする形らしい。 「お前、脱ぎ出すの?」 小声で偽陽介がオレに聞く。 「お前、オレの裸見たいならそう言えよ…さっきからうるせぇな。店に来たら脱いでやるよ…」 オレはそう言ってあしらった。 若い桜二がオレの方を見て心配してる。 何これ…恋の予感なの? 番号を呼ばれた人が前に行って審査員に名前と年齢を言ってる。 そのあと音源が流され準備したダンスを踊ってる。 アイドルっぽいダンスだったりR&B系のダンスだったり、アクロバティックなブレイクダンスだったり毛色の違ったダンスが見れて楽しかった。 尚君が呼ばれて前に移動して名前と年齢を言った。 用意したダンスはコンテンポラリー要素の強いものだった。 夏子さんのを見ちゃうと幼稚で見劣りした。 その後偽陽介も呼ばれてダンスを披露したけど、厳ついブレイクダンスで力強くてオレは結構好きだった。 若い桜二が呼ばれて前に出た。 後ろ姿…カッコいい…若い桜二、かっこいい… 用意したダンスはR&B系のダンスでカッコよかった…何してもカッコよく見えるのはオレが恋に落ちたからだろうか…ウケる。 「次、17番」 オレの番号を呼ばれて前に出た。 名前を言って質問に答えていく。 「じゃあシロ君用意して来たの見せて?」 とうとう来たよ…陽介先生。 オレ頑張るね!ファイト! 音楽が流れてオレはいつものストリッパーからダンサーに変わる。 エロさは封印して力強さとキレの早さ、正確さ、柔軟性、リズム感を意識して踊る。 あぁ…陽介先生、オレ頑張った! 思い通りに踊ってありがとうございました。と言い席に戻る。 「お前、めちゃ上手いじゃん…」 偽陽介がオレに声をかけるけど無視した。 オレは若い桜二に夢中だから… 合格者がすぐに発表されるとのことで応募者たちは待合室に案内された。 オレは陽介先生にメールで今終わったと連絡した。あー面白かった。 若い桜二がオレの方を見て近づいてくる。 お前知ってるよ、あの優しさは多分ゲイだ。 「シロ君って呼んでも良い?」 オレの隣に座って聞いてくる雰囲気が桜二に似ていて落ち着く。 「良いよ。」 オレは笑顔で言った。 「ダンス上手だったね、どこで習ってるの?」 オレは陽介先生の話を若い桜二にした。 「そうなんだ、良い先生に会えてよかったね。」 「うん。そうなんだ。ラッキーだった。」 ねぇ、と切り出して若い桜二がオレの顔をのぞいて聞いてくる。 「シロ君の連絡先、教えてくれない…?」 え、恋が始まるの…? 「な、な、な、なんで?」 落ち着け!オレ! 「外でお茶したり一緒に遊びに行ったりしたいんだ。友達になってよ…ね?」 オレは結構濃い人間に囲まれているせいか、こういうソフトな誘いにしどろもどろになってしまう…オレが動揺してると若い桜二は紙に自分の番号とメールアドレスを書いてオレに手渡した。 「君のこともっと知りたいんだ…」 オレのこと知ったら多分引くと思うぞ。 オレはとりあえず若い桜二の渡した紙を受け取ってすぐポケットにしまった。 「合格者が決まりました。」 スタッフの人に声をかけられみんなで移動する。 若い桜二の背中ばかり目で追ってしまう。 大きい背中…気持ちよさそうだな… 一ヶ所に集められ、合格者は番号を呼ばれるみたいだ。 「6番、9番…」 あ、尚君が合格した。 「15番…」 あ、若い桜二も合格した。 「以上です。」 えぇーーーーっ!! 落ちた!落ちた!落ちた!! 周りの視線を集める…オレ絶対この中だと1番爆イケだったのに…何で…? 「シロ、コネだよ…」 偽陽介がオレの肩をポンと叩いて立ち去った。 コネ…? コネがないとダメなんだ… 知らなかった… 純粋に実力が選考基準だと思ってた… だからスタジオが何処かオーディションの常連の橋本さんが気にしていたのか… なんだ、つまらない… こんな出来レースに参加するなんて… 着替えを済ませてトボトボと会場を後にするオレを尻目に受かった尚君と若い桜二は楽しそうに戯れる。 オレはもらった連絡先を丸めて捨てた。 アラベスクすら出来ないのに…笑える 「シロ君、待って!帰らないで!」 スタッフの人に呼ばれて足を止める。 お前らもコネの手先だろ!フン! 「こっちに来てくれるかな?ある先生がシロ君に直々にお話ししたいって言ってね…」 語尾に嫌な予感を感じた。 案内された部屋に入ると依冬の父親みたいな小洒落た雰囲気の背の高いおっさんがいた。 「あぁ、君、シロ君。会いたかったよ!ここに座って!ね?ちょっと話そうよ」 間違いない、この流れ…危ない気がする。 「あの、お話ってなんですか?」 オレは促されたソファに座らずに聞いた。 「ん…?良いからこっちにおいで、座ってゆっくり話そうよ。」 おっさんはオレに座れと言う。 この体格差だと襲われたら逃げられないかもしれない…。 オレは踵を返して部屋から出ようとドアの前に行きドアノブを捻った。 あ…鍵が掛かってる! 「あ、ダメだよ。」 そう言うとおっさんはオレの後ろにくっ付いて来てオレの首に顔を埋めた。 「離してよ!なんだよ!」 オレの猫のトレーナーに手を入れて体を弄る。 ズボンのボタンに手をかけてチャックを下げる。 「良い子だから…すぐ終わるから…大人しくしてたら合格にしてあげるから…ね?」 オレの足が浮くくらい上に持ち上げてソファに腰かけるとオレのズボンを半分脱がせる。 「や、やめて!なんで!離せよ!おっさん!」 オレのモノを触って握って扱いてくる。 気持ち悪い… 「気持ち良くなるよ?ね?どんどん硬くなっていくから、ここ触られるの好きでしょ?」 最悪だ…!! 扱かれて勃ってくる自分のモノに腹が立つ。 「かわいい…シロかわいい…」 「やめろ!離せ!やだ!嫌だ!!」 顔を掴まれて知らないおっさんにキスされる。 最悪だ!! おっさんの顔を引っ叩いて離れてズボンを直す。 携帯を取って桜二に電話する。 すぐ電話をとる桜二に感情が込み上げる。 「桜二!おっさんがオレを犯すの、助けて!!」 オレのSOSはおっさんの腕力によって阻止され抱えて持ち上げられると携帯が転がって行くのが見えた。 「こんな事いつもしてるでしょ?嫌がらないで大人しくしたらすぐ終わるのに…それともそういうプレイなの?可愛いなぁ…シロ」 オレのズボンをまた引き下げて今度はオレの腰を脇に挟んで尻の穴をいじり始める。 「やめて!やだ!離して!やぁだ!触んな!!」 「どれどれ~?」 おっさんはそう言ってオレの中に指を入れる。 「んん~!やぁだ…!!離して!んっ…あっ!」 「シロ、よく締まるね?気持ちよさそうで僕我慢できないよ…早く挿れたい…エッチしたいな~!」 いやらしく指を動かしてオレのモノを反対の手で扱く。 「やぁだ…!んっ、やだぁ!!離せ…やめてぇ!んんぁっ!や、やらぁ!ん…ぁああっ!桜二、桜二!!」 おっさんの部屋の鍵が開くガチャンという音が聞こえ、扉が開いた。 「おっさん…俺のシロから離れろよ!」 「勇吾!助けて!」 勇吾がオレの腰を掴まえるおっさんを蹴飛ばした。オレはその隙にズボンを直して携帯と荷物を持って勇吾の後ろに行った。 「うわぁん…っ!あのおっさんが触った!気持ち悪い!勇吾が遅いから指挿れられた!勇吾のばか!ばか!」 オレは勇吾の頭をバシバシと叩いた。 勇吾の後から来た偉そうなおばさんがこのおっさんのした事を知り激怒してる。 コレってレイプ未遂じゃん! 「こんな事して許されると思うなよ!クズが!!」 そう言って勇吾はオレの手を引いて部屋を出た。 「気持ち悪い…気持ち悪い…!」 オレは体が汚れたと思って身震いした。早く綺麗にしたい…もうやだ…!! 「勇吾が来るのが遅いからっ!オレ気持ち悪いおっさんに弄られてキスされた!ばか!ばか!」 オレがへたり込んで顔を覆うと勇吾がしゃがんで言った。 「俺はお前のオーディションの審査員に知り合いがいたから別の部屋にたまたま居たんだよ。桜二から電話を受けてやりそうな奴の部屋を片っ端から見てってやっとたどり着いたんだぞ?遅いわけない!」 お前がのこのこ付いて行くから悪いんだ!と言い捨ててオレを横から蹴飛ばした。 「最悪だ…気持ち悪い…!」 体が震えて立ち上がれない… 「なんだ…お前、動転してんの?意外と弱いな…無理やりやられる事なんてしょっちゅうあるだろ?ほら立てよ!」 勇吾が容赦なくオレを横から蹴飛ばしてくる。 「…桜二は?」 「そのうち来るだろ?ほらぁ、立てって!」 オレは勇吾の足を掴んで言った。 「やだ、待てない。自分が気持ち悪くて死にそうだ…お前ので良いからオレに挿れろよ…」 しゃがんでオレの顔を覗いて勇吾が言った。 「お前本気で言ってんの?」 自分の体が汚くて嫌で死にたくなる… 「お前の事は知ってるからまだ良い…早く挿れてよ。どんどん汚いのが広がるから…!!早く綺麗にしてよっ!」 オレはそう言って自分のズボンを下げようとした。 「待って!分かった!じゃあ…この部屋入ろうか?」 適当に誰も使っていない控室に入る。 オレはヨロヨロ歩いて震える手でズボンを下げる。 「シロ…桜ちゃん来るまで待つ?」 「やだ…汚いから…んっ、なんで…気持ち悪い…!」 気が動転してるのか…それとも幼い頃の売春行為の後遺症なのか…体に纏わりついた匂いや感覚を取り払うように手で払う。 とにかく自分が汚く感じた。 あの顔…あの目つき…あの言葉…昔相手した奴らと同じだ…全てが気持ち悪くて虫唾が走る。 勇吾…お前の方が断然マシだ… 勇吾の上に跨って見下ろすとあいつの綺麗な顔にオレの涙がポタポタ落ちた。 「お前…大丈夫かよ…」 勇吾の口にキスしてオレの口を綺麗にする。 舌を絡めてあの気持ち悪い感覚が無くなるように、汚いものが消えて行くようにキスする。 キスしながら勇吾がオレの穴に指を入れる。 オレはソファの背もたれに手を置いて勇吾の指を感じる。 「んっ…はぁはぁ…ゆうご…全部綺麗にして…オレ死んじゃうから…ちゃんとやって…」 オレの脇腹にキスしてリクエスト通り綺麗に中に残った嫌な感覚を消していってくれる。 「ゆうご…挿れてよ…オレに挿れて…」 顔を掴んで舌を出し勇吾の唇を舐めて誘う。 早く挿れてくれ…死にそうだ。 「シロ…お前どうなってんだよ…」 そう言って勇吾はオレの中に大きくなったモノを挿れてきた。 「んっあ…ぁあ、ゆうご…ぁああ、きもちい…ねぇ、ゆうごのきもちいいよ…」 オレは腰を動かしてあいつのモノを中で扱く。 「シロ…はぁはぁ…やばい、気持ちいい…」 オレの中で出してよ…汚いのが完全に消えるようにしてよ…お前が遅いからいけないんだから…!! 「あぁ…ゆうご、んっ…ぁあ…はぁはぁ…んんぁ」 体を仰け反らせて腰を動かす。勇吾の手がオレの腰を掴んでいる。気持ちいい… オレの仰け反った体に舌を這わせて乳首を舐める。 オレは勇吾の頭を撫でて包む。 「あっ…!勇吾…イッちゃいそう!んっぁあ!…あっあ!!気持ちいい!」 オレは勇吾の唇に自分の唇をあてて喘ぐ…喘ぎ声がお前に入っていって興奮するように… 「シロ…お前って変だ…おかしい。」 そう言う勇吾の唇にオレは舌をあてて中にゆっくり入りあいつの舌を絡めて吸った。 何も話さないでやれば良いのに…やりたかったんだろ?オレと。 「ぁあっ!勇吾!イキそう!!オレイキそうだよ!」 腰を押しつけて痙攣する。気持ちいい… オレは勇吾の腹に出してイッた。 快感の余韻を感じていると勇吾がオレに言った。 「あぁ…お前ティッシュ持ってる?」 「え…多分リュックに桜二が入れてくれた…」 手を伸ばすけどリュックまで届きそうになかったからオレは立ち上がろうとした。 「お前自分だけイッて終わろうとか思ってないよな?」 そう言って勇吾がオレの腰を掴んで離さない。 「ティッシュ取りに行くんだよ、拭かないと猫のトレーナーに付くだろ!ばかじゃないの?」 オレは立ち上がる事を許可され、リュックまで行き桜二が入れてくれたティッシュを手に持ってソファに戻った。 「こんなのも入ってた」 一緒に入れてあったタオル生地のハンカチを見せた。優しいな…桜二。 「刺繍で猫でも描いてありそうな勢いだな。」 オレは勇吾の腹の上の自分の精液をティッシュで拭き取ってあげた。 オレの髪を触って頬を撫でてくる勇吾に視線を移してその手に頬擦りして笑いかけた。 「シロって病んでるよ…」 そう言って頬に添えた手の親指でオレの唇を撫でる。 「オレのこと嫌い?」 そう聞きながら挑発するような目つきで勇吾の親指を口に咥えて舌で舐める。 「ハマる。」 勇吾はそう答えてオレを押し倒すと自分のモノをオレに挿れてきた。 「あいつに指でやられて汚れたの?」 「…うん、あっ…ぁああ」 顔を覗き込みながらオレの返事を聞いてる勇吾に何故かすごく興奮する。 「俺にやられるのは汚れないの?」 「あっ…ああん…勇吾は…いい…ん、あっ…」 綺麗な顔で執拗に聞いてくる勇吾に興奮して顔が熱くなる。 オレの口の舌を見ながら腰を動かしてその動きが2人のどれとも違くて気持ちいい… 「それはシロが俺のこと好きってことだよ?」 「ん、好き…勇吾、好き…」 「たまんないな…シロ…かわいい…」 勇吾はそう言うと体を起こして腰を激しく動かした。 凄く激しくてオレの中がかき回される。 オレのモノからトロトロと液が溢れて垂れる。 「ぁあああっ!勇吾!んっ!あっ、あっぁああ!!」 オレのモノを扱いていやらしい音をさせる。 頭が真っ白になるくらい気持ち良くてイキそう… 「ゆうご!イッちゃう!オレまたイッちゃうからぁ!ゆっくりしてよ…!ねぇ!!」 オレが勇吾の胸板を叩いてもあいつは綺麗な顔を歪ませてオレに腰を振る。 額から流れる汗まで美しく見えるなんて…お前ってすごい…綺麗なんだな。 「シロ!イキそう…キスして?大好きな勇吾にキスして?」 そう言ってオレに覆いかぶさると舌を出してオレの唇を舐めるからオレはその舌を口に入れて絡める。 「ゆうご!好き…!大好き!」 「あっ…!んっぁあ…!」 勇吾の腰が止まってビクビク震える。 オレの中でドクドクと精液が吐き出されているのが分かる。 オレの首元に顔を埋めて息を整えてる。 しばらくして勇吾がのっそりと顔を上げる。 赤く紅潮した顔が綺麗でオレは手を伸ばして額から顎まで優しく撫でた。 オレの手を掴んで手の甲にキスすると勇吾が小さな声で言った。 「シロ…可愛くて好きになっちゃうよ…」 「もう好きだろ?」 オレがそう言うとオレの口にキスをして言った。 「愛してる…」 オレはそれがおかしくて声を出して笑った。 オレのレイプ未遂は示談で済ませてあのおっさんはオーディション会場並びにイベント全て出席停止処分になったようだ。 「どうせ喉元過ぎればケロっと復帰させんだろ?ふざけやがってクソババア!」 電話で誰かに話しながら勇吾が舌打ちしていた。 「柄悪い…」 オレは行き交う車に桜二の車を探しながらしゃがんで待っていた。 「シロ…あの事、桜二に言うの?」 「言われたくないなら言わない」 「いや、お前の好きにしな…」 そう言うと勇吾はしゃがむオレの背中に覆いかぶさってあっためて揺らした。 ペアルックの男2人が道端でそんな事してるから、車の運転手が二度見して行くのが面白くて、オレは立ち上がって勇吾にキスした。 背中にクラクションが聞こえて振り返ると、桜二の車がオレ達の前に止まった。 オレは勇吾の体を離れて桜二の方に駆けて行き抱きついた。 「落ちちゃった!せっかく練習したのに、落ちちゃった!先生になんて言おう?桜二!」 桜二がそう言うオレを抱きしめて勇吾に視線を送るのが分かった。 「オレ変なおっさんに指突っ込まれて勇吾に助けてもらった…その後パニックになって勇吾を襲っちゃった…桜二ごめんね。」 桜二の体に顔を埋めて小さく言った。 オレがやった…実際そうだから、そう言った… 「そのおっさんはどうなったの?」 知らない…と言って頬を埋めて彼の心臓の音を聞く。 桜二の声が強くて怖くて…彼が怒っているのが分かった。 「ノコノコ付いてったオレが悪いんだ…やな予感したのに…分かってたのに…」 桜二…落ち着いて、オレがいけなかったんだ…オーディションにコネがいるなんて知らなかった…あんな露骨に体を求められると思わなかった… オレが世間知らずで認識不足だったせいなんだ。 「桜二…帰りたい。」 オレの顔を両手で包んで自分の方に向ける。 桜二の顔がぼやけて見えて、手を伸ばすと抱きしめてキスしてくれた。 「お前どうする?」 後ろの勇吾に聞くと一緒に帰ると言った。 桜二は少し黙って…分かったと言うと、助手席のドアを開けてオレを乗せてくれた。 「あーあ、先生になんて言ったら良いの…」 シートを倒して手を上に上げて手をヒラヒラと動かして遊ぶ。 「コネに邪魔されて受からなかった。ダンサーやってたらこれで大体察しはつくだろ。」 勇吾がそう言ってオレの髪を撫でる。 「桜二も応援してくれたてのに…オレどうしたらいいの…」 悲しくないけど悔しかった… こんな出来レース、きっといろんな業界に沢山あるんだろうな…。 知らないだけで…世の中は汚い。 表面的に乱れた印象の歓楽街なんかよりもっと汚くて嘘ばっかりだ…。 本能よりも理性の方が汚くて野蛮だと思った。 オレの髪を撫でながらポンと頭を叩いて勇吾が言った。 「こんな事良くある。お前が悪い訳じゃない。」 その目が優しくて穏やかで綺麗で…見惚れた。 そっか勇吾や夏子さんはそういう世界で生きてきたんだもんな…悔しい思い沢山してるんだろうな…強いな。 オレは勇吾の綺麗な顔に触って指先で撫でた。 「肌…スベスベ…美しい…強い男。」 「なんだそれ。」 笑う顔も美しくてずっと見ていられる。 首を伸ばして顔を寄せる…勇吾はオレに覆いかぶさるように顔を落とす…キスして舌を絡める。 熱い息が漏れる本気のキス…きもちい… 「シロ、やめて」 桜二の声に我に帰る。 シートを戻して桜二を見ると明らかに怒った顔をしていた。 「ごめん…」 そう言って足を抱えると窓の外を眺めた。 頭の中に依冬のヘタクソな歌が流れて1人でクスッと笑う。 「この前桜二が意識不明の時、依冬がオレを宥めてる時に変な歌を歌ったんだよ。それが本当にヘタクソな歌で、オレ怖くて悲しくて死にたくなったけど、それ聞いて笑ったら元気になったんだ。依冬のヘタクソな歌って凄いと思わない?」 オレが桜二にそう話すと、うんと言っただけで心を伏せてしまった。 「桜二が機嫌悪いのなんで?」 「話したくない。」 「オレのせい?」 桜二の顔に顔を寄せて聞く。 「シロ危ないから座ってて。」 オレは桜二の顔を持って自分に向ける。 「オレが勇吾としたからムカついてんだろ?」 「シロ危ないから…後にして。」 「今知りたい。何で機嫌悪くなってんの?オレお前がそういう風にするの嫌だ。」 オレは桜二の顔が見えるように身を乗り出して運転席の桜二を正面から覗く。 「事故に遭う。」 「いいじゃん…一緒に死のうよ。」 路肩に駐車するとオレを見て桜二が抱きしめた。 「悪かった。ごめん、もうしないから。」 「嘘だ。」 「シロ…もうしない。」 「何で怒るの?」 「お前が勇吾としたから取られると思って。」 「オレが取られたらお前はどうなるの?」 「はっ…そんなの悲しくて死ぬよ。」 「ウサギは悲しくても死なないってテレビで言ってた。ウサギよりクソな人間は悲しくても死ぬ訳ない…」 「シロは?オレがあの時死んだらどうした?」 「人のいない所で死ぬ。」 「じゃあ俺も同じだ。」 「…そうか。それは…嫌だな…ごめん。」 納得して落ち着くと助手席に戻って膝を抱えて窓を見る。 「シロ、シートベルトして。」 桜二に言われてオレはシートベルトを付けた。 「桜二、魚も食べたいね。」 「じゃあ今日は魚にしようか。」 「うん…骨とってね。」 もうすぐ家に着く…帰ったら少し寝たい。 今日は疲れたから…

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