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第36話
「ねぇ、桜二?にいちゃん、かっこいいでしょ?」
オレはそう言って資料の中から見つかった生前の兄ちゃんの写真をソファに寝転がる桜二に見せた。
確かに見た目は依冬に似てるのかもしれない…この時は26歳くらいかな…
兄ちゃんが死んだ時からそう遠くない時期。
兄ちゃんの顔をはっきりと思い出せて嬉しい。
そうだ、この顔…この表情…良くしてたな…
桜二の胸板に頭を置いて兄ちゃんの写真を眺める。
この体が兄ちゃんなら良いのに…
「ねぇ、キスして」
そう言って体の向きを変えると桜二の胸板に手を置いてキスする。
あぁ気持ちいい…
「シロ、お店に送るから準備して!」
依冬の声が後ろからする。
でも桜二とのキスが気持ち良くてやめられない…
「桜二…エッチしたい…」
オレが桜二の体の上で疼いていると、依冬がオレの体を持ち上げてそのままソファに座った。オレを後ろから抱き抱え座った状態でズボンのチャックを下げる。
「シロ、かわい…オレにちょうだい」
そう言ってオレの半立ちのモノをズボンから出して扱く。
「ん…あっ、ぁあ…きもちい…依冬…んん…」
オレは気持ち良くて依冬の胸元に体を預けて顔を埋めた。
桜二がオレのズボンを掴んで引っ張り下ろすとオレの中を指で弄る。
「シロ…こっちもしたいの?」
「あっ!あぁあん…したい…そっちもしたい…」
依冬がオレの顔を自分に向けてキスする。
快感があちこち駆け回って体がおかしくなる…
「ぁあ…きもちい…んん…ぁああ…桜二…挿れて…オレの中に早く挿れて…!」
桜二のモノがオレの中に押し込まれる。
「んっ!ぁああ!桜二…!あっ、あっ…ぁああ!きもちい!」
依冬の手がオレの服を捲り上げて乳首を触ると、体が跳ねて快感がどんどん高まる。
オレは依冬の手首を掴んであいつに喘ぐ。
「んぁああ…ん、んっ!依冬…依冬…!」
あっという間にイキそうになってオレのモノがビクビク痙攣してる。
「シロ…きもちい?…ん、イキそうなの…?」
桜二が優しくオレの腰を撫でながら尋ねてくるから、オレは頷いて言った。
「うん…イッちゃう…オレ、イッちゃう…!」
「かわい…シロ、愛してるよ…」
依冬がそう言っておれの頭を撫でてくる。
きもちいい…ぁあ…イッちゃう…!!
「んっ!んぁああっ!…はぁはぁ…ん、あっ…」
オレは1人でイッて腰を痙攣させた。
快感の余韻が引くまで依冬の胸元に顔を埋める。依冬の匂いがして落ち着く。
「シロ、お店まで送るからもう行くよ。」
オレの頭を撫でて依冬が言う。
もうちょっと…もうちょっとだけこうしてたい…
桜二がオレのパンツを履かせてズボンを直す。オレの腹の上に顔を置いて体を抱きしめてくる。
「あったかい…」
オレはぼんやりと呟いてまどろみを楽しんだ。
「もう来週から桜二は仕事始めるからそうやってのんびり出来るのも少なくなるね。」
家を出る時依冬が言った言葉にがっかりする。
そうか…そうだよな…
休職も終わりなのか…オレの嫁さん…
もう帰ってきてもご飯用意されてないんだ…
悲しい
「やだ~!桜二はオレの嫁!家庭に入ってオレを支えるんだ!」
そう言って桜二に抱きついてスリスリした。
桜二の匂い…大好き
「ほら、遅れちゃうから…」
オレを体に付けたまま玄関まで歩いていく。
「今日も頑張って稼いできてね!あなた、いってらっしゃい!」
そう言うと体を斜めにしてセクシーに見送ってくれた。
18:50 ギリギリお店の開店に間に合って依冬にお礼を言って走って店に向かう。
三叉路の店、エントランスに入ると支配人が時計を指差しチッチッチと舌を鳴らす。
「ごめん、すぐ支度するから!」
オレは階段を降りて控え室の扉を開けた。
「シロ~!これ!これ着て!僕もお揃いだから!」
いきなり楓がオレに衣装を手渡す。
あ、これ
「学校の制服じゃん…」
「いいでしょ?アオハルでしょ?学園モノだよ?コレは…ある意味マニアックな設定だよ?」
楓の学生服姿は様になっていてカッコよかった…モテそう、絶対喋らなかったらモテる!
素体がいいとなんでも似合うのがまじで羨ましいよ…。
「オレ、いきなり普通になるからやだ。」
オレは鏡の前に座ると急いでメイクをする。ベースを塗って時計を確認する。
あと6分…やばい。
学生服ならメイク…そんなにしなくてもいいかな…
オレはアイラインとチーク、アイシャドーをポイントに入れてズボンを履いてシャツを羽織った。そしてブレザーを被って、最後に半端にネクタイを締める。あぁ、なんかそこらへんにいそうなガキになった…
「だから言ったじゃん…」
「リアルで逆に良いかもよ…」
ゴクリと生唾を飲む楓の反応に満更でもないのか?と少し期待する。
リアルで逆に良い…ね、ふぅん。
19:00 オレと楓はリュックを背負って一緒に店に登校…?した。
「かわいい…やばい…」
すごいぞ!反応良さげだ!
「かっこいい…めっちゃ美形の男子高生…惚れるわ…あんなん同じクラスにいたら1日たりとも学校休まない!」
楓に女性客が群がる…良いな。
オレの周りにはガチのゲイしか集まらない…
「シロ…ちょっとボタン開けてみる?」
「もうちょっとネクタイ緩める?」
オレはリクエストに応えてリュックを持って走った。なんなんだよ、これ…
「ダンス部キャプテンのシロくん!おはよう!遅刻するよ?」
へんな小芝居まで始まってそろそろしんどくなってきた。
「ごめん!朝練あるからまたね!」
そう言って走って逃げた。
「シロ!シロ坊!かわいいじゃん!高校生!」
夏子さんの声を聞いて尻尾を振って走って行った…あ、勇吾がむすくれている。
「何で怒ってんの?」
オレが聞くとフン!と顔を背けた。
「仕事の事で勇吾とバトったの。気にしないで!それにしてもかわいいわね?悪戯したくなっちゃう!」
夏子さんはオレの空いた胸元に指を入れて肌を撫でてくる。
「やらしいよ…お姉さん。」
そう言うと夏子さんは一瞬顔を赤くして照れた。
マジか!?高校生ってすげぇな!!
「俺にもサービスしろよ!」
怒った勇吾がこっちを睨んできた。
「勇吾…怒んなよ、もう夏子と遊ばねぇから…お前と一緒に帰るから、怒んなって!」
オレは爽やかに笑いながら言った。
「…!!何だよっ!別に…別に怒ってねぇし…お前が夏子と帰りたいなら勝手にすれば良いし…俺関係ねぇし…」
しどろもどろになる勇吾の肩を掴んで抱き寄せた。
「お前が関係なくても、オレはお前の悲しむ顔なんて見たくねぇよ…好きだから!」
決まった…!オレ決まった…
「つまんねぇ芝居すんな!」
頭をペシっと叩かれて勇吾から離れた。
「高校生って男女共にイノセントだな…」
椅子に座りながらオレが頬杖をついてそう言うと夏子さんが顔を赤らめて目をそらす。
「なぁに?夏子さん制服に弱いの?ねぇ?ねぇ?」
オレは立ち上がって夏子さんに抱きついてスリスリした。
「やめて!ちょっとかわいいから、興奮してるだけ!」
「オレ、お姉さんとエッチな事したい…」
そう言ってネクタイを外すと夏子さんはまた顔を赤くして目を逸らした。
「俺にもサービスしろよ!」
また勇吾が怒る。
「勇吾はそんなにプリプリして…オレに何して欲しいの?」
勇吾の足の間に入ってあいつの顔を仰ぎ見る。指で体を撫でて顔に持っていきあいつの頬を包んでオレの方に向かせる。
「…夏子ばっかり優しくするなよ…」
マジかよ…赤ちゃんだな
「勇吾?優しくしないと優しくされないよ?オレに優しくして欲しいなら、お前がオレに優しくしろよ…ね?」
そう言って舌を出してあいつの唇を舐めていく。
「俺、シロに優しくしてる…」
勇吾は赤ちゃん…
「もっと、優しくして…ね?」
舌を口の中に入れてあいつの舌を撫でて離した。
「…分かった」
そう言ってオレの体を抱きしめると首に顔を埋めて吸い付いた。
こいつすぐキスマーク付けたがる…
オレはネクタイを勇吾の手首に巻いて縛ってみた。大人しくしてるから簡単に縛れた。
それを持ち上げて出来た腕の輪の中に入って勇吾に向き合う。勇吾の腰を掴んで自分の股間をあててグイグイと押し付ける。仰け反る首筋に舌を這わせてキスする。
うっとりした顔でオレをみるあいつに聞いた。
「オレの挿れて欲しいの?」
「…ん、俺が挿れる…」
腰を掴んでファックするみたいに動かすと小さく喘ぐ癖に…
「無理すんなよ…して欲しいんだろ?」
荒い息であいつの耳元で囁くと顔を横に振るから勃起したモノをあいつのモノに擦り付ける。
大きく硬くなってて可愛いじゃん…勇吾。
「シロ…やり過ぎ」
夏子さんと支配人から教育的指導が入ってオレは勇吾から離れた。
オレに抱かれたいのかな…挿れてみたいな…
「シロ?お客さんの前で発情するの良くないよ…最近ねイチャイチャし過ぎて、それ目当てのお客さんも増えるからダメ!ダメだよ?うちはゴーゴーバーじゃなくて格式高いストリップバーなんだからね!分かった?プンプンだよ?」
こってり絞られて控え室へ戻った。
「シロ怒られた~!」
楓がオレの頬をプニプニ指で押してくる。
「なぁ、楓は男に挿れたことある?」
オレは初めての体験なので事前調査をした。
「ん、とね、ある。」
ほほ!すごいな、楓。詳しく!
「あれは僕がまだ10代の頃…~略~お尻の穴に指を入れて広げないと入らないんだよ。だからこの指をこうやって…」
「楓、そろそろ」
いい所で支配人から声がかかり楓はカーテンの向こうに行ってしまった。
いつもやられる側だから考えてなかったけど、そうやってやるのか…なるほどね…
オレは頭の中でいくつかシミュレーションをして特訓した。
カーテンの向こうで爆笑が起きている…
あ、楓やっちゃったんだ…
「シロ、なんとかして!」
苛ついた支配人から回収を頼まれる。
オレはカーテンの外に出て状況を確認した。
まず勇吾がすごい顔でオレを睨んでいるのを確認した。やばい、何で怒ってんの…?
次に楓がポールの上で…ポールの上で降りられなくなっている…?
オレは靴を脱いでポールをよじ登り楓に話しかけた。
「楓、どうしたの?」
「ネクタイ絡まった…!」
ネクタイが…あ…首を締めてる…!
楓ののけ反った細い首をネクタイが絞めて皮膚にシワがよる。楓の顔が赤くなっていく…早く助けないと…ネクタイの絡まった部分を見ると体を逆回転に回さないと緩みそうに無いくらいギチギチに絡まってる。
「楓…落ち着いて…まず足をもっと上に掛けて…はぁはぁ…」
呼吸が息苦しくなって目の前がどんどん暗くなっていく。あの発作が襲ってくる…!
やばい…踏ん張れ!今はダメだ!
楓の細い首、白い肌…絞められている部分が赤く滲んで…
今日見た写真の兄ちゃんが頭の中に浮かんで、次に霊安室の兄ちゃんの死に顔が浮かんだ…。
首に残った紫の首輪の様なアザ…楓の首と重なって胸がドクンと大きく跳ねた。
「ん…っ!…に…ちゃん……」
苦しくて前屈みになって堪えるけど手が震えて力が入らなくなりポールを挟む足が緩む。一気に下に落ちて頑張って踏ん張るけど、手が思うように動かない…!
ポールからどんどん離れていくのがスローモーションで見える。
自分の手の指が暴れてるみたいに動いて奥に天井が見えた。
「シロ!」
勇吾の声が耳の奥に響く
キャーーー!
悲鳴…何で?
天井の排気パイプを眺める。
落ちた…
オレの顔を勇吾が覗くから楓を目で見た。
「あの…子を…助けて…」
背中から落ちた…息が出来ない…
支配人が駆けつけてオレを起こす。
「シロ…大丈夫?痛いとこないか?」
「はぁはぁ…」
過呼吸なのか背中から落ちた時の苦しさなのか分からない息苦しさ
取り敢えず手と足を動かす。
大丈夫…動く…
勇吾が楓を下ろしてオレに駆け寄るとカーテンの奥に引っ張っていく。
「背中打った?」
「うった…苦しい…」
オレを横に寝かせて手を握る。
「握り返して?」
すごい剣幕で言うから握り返すと次は足をさするように触って動かせと言う。
オレは言われた通りに動かした。
「大丈夫、頸椎損傷してない…」
オレがそう言っても勇吾の顔は必死だ…
どこか怪我してないか確認しまくる。
客席の方に落ちなくて良かった…あっちは段差になってるからきっと背骨折ったかもしれない…
「息が苦しいのまだ残ってる?」
「これは…多分…トラウマの過呼吸…はぁはぁ…兄ちゃんが…首…吊ったから…はぁはぁ…」
勇吾の体を掴んで体を起こす。
「まだ動かすな!」
「大丈夫だって…」
カーテンの向こうから号泣の楓が戻ってきた。途端に勇吾が楓をぶん殴った。
「勇吾!」
「お前!何でそんなのブラブラさせてポール回るんだよ!絡まるに決まってんだろ?お前が馬鹿なせいでシロが落ちたんだぞ!ふざけんなっ!踊れなくなったらどうすんだよ…おいっ!どうすんだよっ!」
そう言って倒れた楓を蹴る。
「やめて…勇吾、勇吾…優しくして…」
オレは勇吾の腕を掴んで自分の方に手繰り寄せる。
自分の耳をあいつの胸に当てて呼吸する。
「息、整えたい…お前の…呼吸、聞かせて…」
勇吾はオレの肩と頭を抱いて静かに荒れた息を整えてゆっくりと呼吸する。
「シロ…ごめん…」
楓の悲しそうな声が聞こえる。
「大丈夫…すぐ落ち着くから…」
忘れろ…
楓の首が締め付けられて皮膚にシワがよる…顔が赤くなって……
あぁ、忘れろ!!
勇吾の呼吸に集中する。
吸って吐いて…吸って吐いて…
頭に酸素が回ってきて視界が戻る。
手足の動きも問題ない…大丈夫だけど、怖かった…勇吾の腰に手を回して口で大きく息を吐く。
「怖かった…」
ポツリとオレが言うと楓がもっと号泣する。
勇吾はオレの頭を撫でて何回もキスした。
「ダメだ!絶対ダメ!」
次のステージに立とうとするオレを勇吾がうるさく騒いで止める。
「今登らないと怖くなるから…オレはやりたいの。お前も分かるだろ?今やらないとダメなの」
オレはメイクをし直してパン1になって衣装を選ぶ。背中にアザもなく呼吸も戻ったんだ。やらない訳ないだろ?
「じゃあ俺も一緒に出る。」
「勇吾が?」
「お前が落ちそうになったら俺が必ず手を取るから、安心して落ちろ。」
「もう落ちないよ…」
でも勇吾と踊れるのは楽しそう…
構成を練らないとな…
俺は支配人に交渉し勇吾と踊る許可を得た。
くれぐれも無理をするなと念を押されて…
「どんな感じにする?」
勇吾が俺に聞いてくる。
「オレとお前って背格好は似てるからさ、ジキルとハイドしようぜ。」
オレがそう提案するとあいつは嬉しそうに目を輝かせて頷いて言った。
「ふふ…それ面白いね、シロ…本当、お前好き。」
「ポールは客のショックも考えると先に対処しておきたい。一番最初に一回上まで昇らせて?慎重に降りるから…ね?」
オレはどうしてもポールを早めに克服しておきたかった。あれを目撃した客の為にも大丈夫ということをアピールしたい。
「分かった。次、発作が来たら手は離しても足だけは離さないで絡めろ。いいね?」
コンセプトを決めるとどんな踊りを入れるかスムーズに決まる。
あっという間に構成が終わった。
「合わせてみる」
オレと勇吾と背中合わせにしてオレが勇吾の横に上げた手に添わして手を動かす動きを合わせる。
「最後恋人つなぎする?それで反転する?」
オレが聞くといいね、そうしようと言う。
「シロ、衣装はどうする?」
勇吾が聞くからオレは言った。
「オレはハイドやるから黒お前ジキルで白」
「お前がジキルで俺がハイドだろ?」
「違う!オレがハイドでお前がジキルなの!」
どうでもいいことで喧嘩が始まる。
「お前はジキルで俺がハイドの方が良い!」
どちらも譲らない状況に泣きべそをかいてた楓が少し笑った。
「じゃあジャンケンで決めようぜ…」
オレが言うと勇吾は気合いを込め始めた。ばか。
「じゃんけん、ぽん!」
オレの勝ちでオレがハイドで決まった。当然!
「こんな感じの白いの探して?」
オレは黒い衣装を選んで勇吾に見せた。
「でも、お前初めにポール行きたいって言ってたじゃん…ハイドが行ったらおかしいじゃん」
確かに…確かに。
頭を抱えて悩む…
「じゃあオレ、ジキルで良い…」
ジキルとハイドとは多重人格をモチーフにしたお話で、いつもは穏やかなジキル博士がハイドという暴力的な一面を持ち合わせてそれぞれ別の人物のように話が展開される。話のオチとして実は同一人物だった…って話。ざっくりとこんな感じ。
「お二人さんいいかな?」
こんな文学的なテーマ…分かり辛いかもしれないけど、みんな持ってんだろ…ペルソナをさ…
オレと勇吾はなんだか似てる…くだらない事で喧嘩をする度にそう思うんだ。そんな事言ったら、きっとあいつは怒ると思うから言わない。でも、あいつと一緒に踊るって決めた時にそんな気持ちを表現したいって思った。
音楽が流れてカーテンが開く。
オレは勇吾を背中に隠してステージに向かった。
「シローー!」
「シロ!シロ!」
泣いてるお客さん、どうしたの…?オレのこと心配してんの?馬鹿だな…オレは元気なのに…
あんなの見て怖かったよね…
大丈夫、だってほら見ててね!
オレは思い切り走ってポールに飛び乗って上まで登った。
「シローーー!ギャーーー!カッコいいーー!!」
そのまま逆さになって回ると1番安全な方法で途中まで降りて、下で待つ勇吾と目があったので反動をつけてスピンさせて派手に降りた。
「シロ!」
小声で注意される。ウケる。
だって楽しいんだもん!
お客が湧く。
あんな事があっても完璧に魅せてやる。
今日は勇吾が一緒だからもっと良い。
オレと勇吾はさっき練習した背中合わせの振りをする。綺麗だろオレのハイド。
見てよ…もっと見てよ!
勇吾が踊るの見るの初めて…綺麗で見惚れる。
オレは勇吾の背面に回って上の服を脱がしていく…あぁ綺麗だ…指の先まで美しい
反転して今度はオレの服を勇吾が脱がしていく…完璧な導線、完璧な魅せる振り付け。
なんで素晴らしいの?勇吾お前って最高だ。
次はハイド役の勇吾がポールに登る。
役柄、荒く激しく登り力強く回る姿に魅了される。
上手い…すごく上手いんだ…
オレの時と対照的に見せるため、回るのも程々に粗暴な様子を演出しながら降りてくる。
カッコいい…完璧なタイミングとオレ好みの演出。
お前はすごく洗練されてる。
ステージの縁がチップを咥えて寝転がる客で埋まる。
両端に立って順に咥えてチップを受け取る。
中央で勇吾と合流して下の服をまずオレが脱がせてそのまま勇吾に覆いかぶさりエアファックする。
その後勇吾がオレの下の服を脱がせて後ろからエアファックする。
最後は背中を合わせてうっふんポーズでフィニッシュだ。
ステージが終わると観客が一斉に湧いた。
それよりもオレは勇吾の美しさに頭がクラクラしていた。
カーテンの裏に戻るとオレはあいつを抱きしめてキスした。
熱くてねっとりと興奮を伝えるようなキス。
激しくキスして口と口の隙間から息が漏れる。
あいつを後ろに向かせてお尻をさすると、すかさずオレの後ろに回ってオレの尻に自分のモノを擦り付ける。
「オレがやるのに!」
「俺がやるんだよ」
「やだ!離せ!」
「ほら、気持ち良くしてあげるから」
そう言ってオレの中に指を入れてくる。
「あぁ!やだぁ…!オレがするのに…んっ、」
そのままねっとりオレの中を触ると自分の大きくなったモノをオレに挿れて来た。
「あっ!勇吾…やだ…!オレが…オレがするのにぃ!ばか!ばか!」
オレの体にピッタリくっついて腰を突き上げるように動かしてくる。
「はぁはぁ…シロ…きもちい…お前の中めっちゃ熱い…可愛い…俺のシロ。」
頭の後ろに勇吾の熱い息がかかってゾクゾクする。
オレのモノを後ろから手を回して握って扱く。
襲ってくる快感に足が震えてソファを掴んで堪える。
「ゆうご…きもちい…イッちゃう…!オレ…イッちゃうよ…!」
「シロ…イッていいよ…はぁはぁ…俺もイキそうだから…ね?」
そう言って激しく腰を動かすからオレはあっという間に絶頂を迎えて体が痙攣する。
やばい、めっちゃきもちいい…イッちゃう!!
「あっああ!ゆうご!んぁああっ!……あっ、ん」
オレが腰を震わせてイクと、オレの中で勇吾のモノがドクンドクンと脈打ってドクドクと熱い液がオレの中に満たされるのが分かった。
荒い息遣いだけ聞こえる控え室…
快感の余韻をお互い感じながら息を整えてる。
「はい…ティッシュ…」
オレ達の情事を一部始終目撃してしまった楓が顔を赤くしてティッシュを渡してくれた…
「ごめん…気付かなかった…」
オレは楓に謝ると勇吾のモノを抜こうと体を動かした。
「まだ…シロ…まだしたい…」
「やだ、離して…!」
「後1回だけ…お願い…」
そう言ってオレの中でまた勇吾のモノが硬くなって動き始める。
グチュグチュと音を立ててオレの中を堪能するようにねっとり腰を動かす。
「あっ…ゆうご…また気持ち良くなっちゃうから…やめてよ…ねぇ、ゆうご…あっ…あっああ…」
楓は退室するタイミングをまた逃してしまい、次のタイミングが訪れるまで強制的に観覧者となるしか無かった。
ごめんね、楓。
気が済んで体を拭いて私服に着替える。
楓は今日は色んなダメージが大きすぎたので家に帰った。
階段を上がると支配人が話しかけて来た。
「シロとお友達さん凄かった!芸術性が高くてまさに私のストリップの美学に合ってて胸が熱くなったよ!いや、2人は良いコンビだ!」
支配人がベタ褒めする。主に勇吾を。分かるよ、こいつは完璧だ…でも、やらせてくれなかった…
店内に戻ると客が沢山チップをくれた。
勇吾も貰っていたので後で回収しないと…と記憶に残した。
夏子さんのいる席に戻り、観客の波が去って一息ついてビールを飲んだ。
「あんたら息合ってたよ。良いコンビだと思った。桜二が居なくて良かったよ…」
夏子さんがそう言ってオレの頭を撫でる。
「頑張ったね、ポール乗るの怖くなかった?」
オレはその手に頭を擦り付けて言った。
「全然!」
オレの背中を撫でる手つきが優しい。心配してくれてたんだ…
「何で桜二が居たらダメなの?きっと綺麗だったって喜ぶのにさ…」
オレが言うと勇吾がオレにキスして言った。
「桜ちゃん…やきもち焼きだから…」
そんな事ないのに…変なの。
「勇吾、仕事ちゃんとやってね!」
オレは勇吾の顔を持って優しく言った。
「もっと優しく言ってくれないとやだ…!」
勇吾は赤ちゃん…
「ゆうご…オレの為に仕事頑張って!」
オレはそう言って勇吾の胸板に顔を寄せてすりすりした。
「分かった…頑張る。」
「言ったな!明日、夏子さんに聞くからな!」
「ん、聞け!聞け!」
こんなふざけたやりとりして、オレと下らない口喧嘩してもお前って凄いよ…尊敬する。
オレは勇吾の顔を見ながらこいつの技術と才能にうっとりした。
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