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第38話

風呂から上がってパジャマを着ると、桜二が酔っ払い達に説教してる脇を通ってキッチンに行き冷蔵庫から水を出して飲んだ。 「夏子は悪酔しすぎだ!もういい年なんだから自重しろよ!」 「桜二、ごめん!でも、シロも喜んでたよ?」 「そういう問題じゃない!」 桜二ってこんなに怒るんだ… オレは桜二の背中に抱きついてすりすりした。 「シロ…」 振り返る桜二にキスして頭を撫でた。 「女の人の裸が見れて、オレ、挿れさせてくれると思って一緒にお風呂に入ったら、おっぱいしか触れなかった…」 オレが桜二に報告するとしゅんと反省していた夏子さんが吹き出して勇吾はソファに顔を埋めて笑った。 「シロそんなに挿れたかったの?」 「うん…」 「分かった。そこまで言うなら…俺が」 「桜二はやだ」 オレの即答に勇吾がブホッと吹いてソファを叩いて笑う。夏子さんは桜二を指差して大声で笑う。笑いの渇望者達… 「こいつがいい」 オレは勇吾を指差して桜二に言った。 「いっぱい酔わせてベッドに連れてきてよ。それまでオレ寝てるから…」 そう言って寝室に行こうとすると勇吾が立ち上がった。 「お前!酔わせてやろうなんてゲスな事すんじゃねぇよ!いっぱい笑わせてもらった礼に今からお前に掘られてやるよ!感謝しろ!」 勇吾はそう言うとオレの手を握って寝室に連れて行った。 寝室に入り勇吾はベッドに乗ってオレの方を見る。 オレは風呂場で散々やられて体が怠くなったのと寝室の匂いを嗅いで眠たくなってきた。 「勇吾…オレ眠い…後から来て…」 そのままベッドに突っ伏すと布団のフワフワが気持ち良くてあっという間に眠ってしまった。 「あ…後って、いつ?」 オレの体を揺すって勇吾が聞くけど、後がいつかなんて分からなくて、黙っていたら眠ってしまった。 勇吾はオレの体を布団の中に入れると部屋を出て行った。 遠くで夏子さんの爆笑が聞こえる… おっぱいしか…触れなかった… 早く桜二が隣に来てくれないかな… どのくらい寝ちゃったのかな…ベッドが軋む音がする。 「シロ…後になった?」 勇吾がオレを起こして聞いてくる。 酒臭くてむせ返る。 「酒臭い…」 オレはそう言って勇吾の顔を叩いた。 「ほら、シロ…俺に挿れてみなよ…」 勇吾はオレのモノを後ろから扱いてくる。 「ん…んっ…勇吾、眠い…後で…後にしてよ。」 酔っ払いの勇吾は布団の中に潜ってオレのモノを咥えて大きくする。 「ん、勇吾!ヤダってば!」 オレがそう言って布団をめくるとオレの猫のパジャマの下を脱がせてモノを咥えこむ勇吾が見える。 「シロ…ほら俺自分で穴…広げたから挿れてみろよ…お前挿れたいんだろ?酔ってるうちにやらねぇと今度いつ出来るか分からないよ?」 そうなの…? 「じゃあ…こっち来て…」 オレは勇吾を自分の横まで来させると後ろを向かせて尻にモノをあてがった。 「シロ…挿れてよ」 「うん」 女の子にするみたいにグッと力を入れて中に入る。 「あっ…勇吾…きもちい…」 中の暖かさと締め付けが気持ち良くて奥に入る前に腰が笑う。 「ん…シロ…最後まで挿れてみてよ」 「あっ…ん…気持ち良くて…ん、はぁはぁ…ん」 女の子よりキツくて締まる勇吾の中が気持ち良くて奥までなんとか入れても腰がびくついて上手く腰を動かせない。 ギシッとベッドがしなって振り返ると桜二がオレの後ろに寝転がってきた。 「桜二…きもちい…」 オレは後ろに体を捻って仰け反りながら桜二にキスする。 「桜ちゃん…シロ全然動けないから手伝ってあげてよ。俺まだ全然気持ちよくない…」 勇吾が桜二に言って、桜二がオレの尻を弄り始めた。 「シロあんなにしたがってたのに…もう満足しちゃったの?」 「桜二…んっ…あっ…指入れないで…もっと動けなくなるから…んっあっ、あっああ!」 桜二がオレの中に自分のモノを入れてきた。 「はぁはぁ…らめ!何で?今勇吾に挿れてるのに!桜二…!だめっ…ん、あっ、あっ!!」 桜二はオレの後ろからオレを勇吾と自分で挟むように体を密着させて腰を動かす。 オレの腰が桜二の腰の動きと重なって勇吾の中を行ったり来たりする…。 何これ…頭があっという間に真っ白になって気持ち良くておかしくなりそう… 仰け反って桜二の体に背中を預けるとあいつはオレのパジャマのボタンを外して乳首を触り始める。もう…気持ち良すぎて、何が何だか分からない… 「はぁ…はぁ…シロ…凄く上手に腰が動くようになったじゃん…ん、お前にされてると思うと…すぐイッちゃいそうになる…」 そう言って勇吾が腰を動かしてくる。 「あっぁあ…桜二…だめ…気持ち良すぎて…おかしくなっちゃう…!あっぁあん!桜二!!」 桜二の腰から下がオレの腰から下にくっついて離れない。ねちっこいあいつの腰の動きがオレに伝わって勇吾の中でオレのモノがビクビクしだす。 やばい…イッちゃう…!! 「あっ…ああん!勇吾…オレイッちゃう!ん、んっぁああ!!気持ちいい!!あっぁああ!!んっ!」 上半身を捩らせて襲ってくる止まらない快感に溺れる。もうイキそう…! そう思った時に動きが止まって快感が徐々に冷めていく。 「あっ…ぁあ…、桜二…きもちい…ぁあ…ん」 オレの様子を見ながら桜二は腰を止めたり動かしたりして快感のピークを持続させる。 体が震えて鳥肌が立つ。 「やぁ…桜二!あっ…!はぁん!や、やだ!勇吾の中きもちいからぁ!!イッちゃう!あっ!やぁだ!ん~!!」 桜二の腰の動きがエロくて勇吾の中がどんどんきつく締めてくる。 背中にうっすら汗をかいて喘ぐ勇吾がエロくて…堪らないから目を瞑って顔を背ける。オレは咄嗟に勇吾の腰を掴んで一回抜こうとした。 「…ん、シロ…やだ…あっあ…そのまま挿れてて…!きもちいから…お前の…抜かないで!」 そう言って勇吾はオレの手を掴んで離さない。 「あっ!だめ…ゆうご…きもちい…オレ変になっちゃう…!あっあっ…ぁああ!!」 腰が震える。 勇吾の背中に体をつけて口元にあてた指を噛む。 オレの様子を見て桜二の動きが変わって今度は止まる事なく絶頂まで行かせてくれる。 「はぁああん!ゆうご!ゆうご!!きもちい!!あっぁああ!!あっ…!んっ…!…はぁはぁ…ゆうご…」 オレは勇吾の中に精液を吐き出して腰を震わせてイッた。中にするのも…めっちゃ気持ちいい… 「シロ…気持ちよかった?」 勇吾が体勢を変えてオレに聞いてくるから手を伸ばして抱きつくと半開きの震える口でキスした。 オレの中の桜二のモノはまだねちっこく動いている。腰の動きに合わせて快感が押し寄せて短く喘ぐオレを勇吾が横に寝転がりながら見てる。 「シロの顔見てるだけでイケそう…」 そう言ってオレのモノと一緒に扱きはじめた。 「あっ!ぁあ…だめ…イッちゃう…!」 「シロイキたくないの?」 勇吾がオレの唇を舐めていやらしく聞いてくる。 「まだぁ…、もっと気持ちいいのしてたい…」 「お前ってほんと、かわい…」 そう言ってオレの頬を撫でながら一緒に扱き続きる。気持ちよくて腰を引くと後ろからオレを突く桜二の刺激が強くなって腰を前に出すと勇吾の刺激が強くなる… 「や、やぁ…らめぇ!んっ、ぁああ…らめ、あっ、きもちぃ…ん…あっ、らめ…ん」 「シロ…ダメって言いながら腰動かすの…?」 桜二の声が息と一緒に首にかかって仰け反る。もっとこのまま居たいのに…イッたら終わっちゃうのに…! 「あっ、あっ、あっぁああ!!きもちい!イッちゃう!あっ、あっ!あっ、あっぁああん!!」 オレの中で桜二のモノがドクドクと波打ってイク。精液がオレの中に吐き出されてお腹が熱くなる。オレのモノも勇吾に扱かれて既にイッてしまった…。 「次は俺が挿れてやる」 勇吾はオレをうつ伏せにすると腰を掴んで尻を上げさせる。自分の大きくなったモノをオレの中に挿れてくる。 「あっ…!勇吾…んっ、あっ…ぁああ…きもちい」 伏せて喘ぐオレの前に桜二が座ってオレの顔にモノを差し出す。 「シロ…お口でして?」 酔ってるの…?いつもはこんなに求めないのに… オレは言われるままに口で桜二のモノを咥えて舐めた。 「あ…シロ、きもちい…お前の中って何でこんな気持ちいいの?すぐイッちゃうよ…」 勇吾が後ろでオレの中を堪能する。 気持ちよくて喘ぎたいけど桜二のモノを口の中で扱き続ける。 「シロ…シロ…かわいい。かわいい口でオレのモノを咥えてるの…めっちゃエロい…」 桜二のモノがどんどん硬く大きくなってエロい…オレは勇吾に揺すられながら桜二のモノを咥えた口の中で喘いだ。 「あぁ…!!シロ…!んっ!…はぁはぁ…はぁ…」 勇吾がオレの中で激しくイッて腰を震わせる。 桜二はまだオレの口でゆっくり咥えさせてそれをうっとりと眺める。こいつって本当エロい… 勇吾がオレの背中で快感の余韻を味わう様に体を乗せる。重苦しくて桜二の方を見ると目があって口の中のモノがグッと硬く大きくなった。 口から出して舌で舐め上げながら桜二に言った。 「顎疲れた…も、やらない…」 言った途端に桜二のモノがイッて顔射された… 「あ…シロ…ごめん……」 オレの片足に脱ぎかけのパジャマとパンツが残ってる。 ボタンを外された上のパジャマが片方肩から下がって落ちる。 髪の毛はボサボサで顔に桜二の精液がついた状態でベッドに呆然と座るオレを見て勇吾が指差しながらまた大笑いした。 「早く拭いてあげて!…桜ちゃん!シロが…めっちゃかわいい事になってるから!早く拭いてあげて!ゲイの雑誌に載せたいくらい可愛い!」 桜二が素っ裸で濡れたタオルを持ってきてきれいに拭いた。そのままシャワーまで連れて行って体を流す。勇吾も一緒に流してた。オレは眠くて桜二に捕まって綺麗にしてもらった。 新しい下着に着替えてパジャマは洗濯に出された… 「勇吾のきもちよかった…」 オレはそう言ってまた眠りについた。 美人とイケメンに囲まれ2人の体のあったかさが伝わって布団の中は凄く気持ち良かった。 「シロ…可愛い」 誰かがそう言ってキスした。 「シロ、おはよう。起きて」 何で…いつもこんなに早いんだ… 目を開けると勇吾がベッドに座ってオレを覗いて見ている。 「勇吾…綺麗だ」 勇吾の顔に手を伸ばして指先でそっと触れる。 「そんなに綺麗だと人間じゃないみたい…」 そう言ってまた目を閉じて眠った。 「ふふ…人間じゃなかったら俺はなんなの?」 笑いを堪えるような声で勇吾がオレに聞いてくるから、オレは口元を緩めて言った。 「天使か妖精…」 途端に目の前で大笑いされて唾が飛ぶ。 笑いの渇望妖精だ… 「妖精がなんで人間界に居るんだよ?シロは本当にばかだな…」 オレの髪を撫でながら優しく手を動かす。 その感覚が心地良くてゴロゴロ喉を鳴らす猫みたいに体を伸ばした。 「天使も妖精も…人間の食べ物を食べたらこっちの人になっちゃうんだって…昔誰かが言ってた。」 体を伸ばした先に勇吾の腰があって頭が当たったからそのまま手を伸ばして触った。 「だから、勇吾は本当は天使か妖精なんだけど、悪いことをして追い出されちゃって、人間界の物を食べて今ここに勇吾として居るんだよ?」 目を開けて勇吾に言うと、あいつは小さく笑ってオレに軽くキスした。 「悪いことって…何したの?」 オレの顔に覆いかぶさるようにして勇吾が聞いてくるから言ってやった。 「無銭飲食」 オレの口にまたキスしながら笑う。 「お前って本当ばかだな…ばかでかわいい…」 「イチャイチャしないとシロは起きれないの?」 夏子さんの声がして視線を移すと薄着の夏子さんが寝室の入り口で歯磨きをしながらこちらを呆れた様子で見ていた。 「オレ、起きれるよ?」 そう言って起き上がると夏子さんに両手を広げてアピールした。 「甘ったれんな」 一言言われて撃沈し、オレはトボトボリビングに向かった。後ろから勇吾が笑いながら着いてくる。こいつっていつも笑ってるな… キッチンの桜二がちゃんと起きてきたオレを見て感動した目を向けてきた。 「ちゃんと起きれるんだ…」 悔しくて桜二の腰に纏わりついて甘えた。 「オレ1人だってちゃんと生活できるよ?いつも朝早すぎるから起きれないだけだよ?」 「シロ坊、こっちおいで」 勇吾に捕まってリビングのソファに座る。 テレビに映るアイドルがコンサートの宣伝をしている。 「あ、これ勇吾達の?」 オレが聞くと勇吾がうん、と短く答えた。 「アイドルってこのグループのことだったんだ~、で、勇吾はどの子と喧嘩したの?」 オレが聞くと夏子さんが脇から来て画面を指差した。 「へぇ、こんな大人しそうなのに…勇吾と喧嘩するんだ…なんで喧嘩したの?」 「俺が厳しすぎるって怒っちゃったの」 勇吾がオレにシクシク嘘泣きしながら抱きついてくる。 勇吾は厳しいかもしれないけど…プロなのに…そんな事で怒るんだ、と意外だった。 「オレ、オーディションで桜二みたいな子に会って、その子は合格したんだ。勇吾見た?背が高くてイケメンだった…」 「さぁ、みんなヘタクソばかりだから」 そうなんだ…尚くんも体出来てなかったしな… 「次回から本番と同じ会場で同線の確認したり微調整しながら作業するんだ。アイドルも来るって言っていたけど、タラタラやるのムカつくなぁ~」 伸びをしながら文句を言って伸びた手を下ろす時オレの頭に当てた。 「勇吾、手のアイソレーションして?」 オレがお願いすると手を出して動かし始めた。まぁ綺麗に動く動く。オレも真似してやるけど勇吾みたいに波打たない。 「ここの時は外側に向けちゃった方がスムーズに行くよ。」 「そうなの?こんな感じ?」 言われたとおりにやってみるとさっきより流れが良くなった。 「わぁ!凄い!本当だ!」 オレが喜んで笑うと勇吾も嬉しそうに笑った。 美人が笑うと可愛くなるんだ… 「ご飯できたよ」 桜二に呼ばれて席に着いた。 卵焼きが沢山ある! 「これ、全部食べて良いの?」 「シロのはこのお皿の上のだよ」 そうだよね…4つ。いつもの数だよね。 「実家に帰りたくなるわ~」 夏子さんが朝ごはんを食べながら言った。 「夏子さんの実家って朝ごはんこんな感じだったの?」 「うちは共働きの両親だったから、朝はお婆ちゃんが作ってくれてたんだよね~。味噌汁だけは必ず作ってくれて、しょっぱいんだよね、それが~」 そう言って桜二のお味噌汁を飲んでちょうど良い!と唸って言った。 「勇吾の家は?」 「うちはパン食だよ、パン!」 そう言うと勇吾は卵焼きを掴んでオレの口に運んだ。…美味しい… 「シロの家は?」 夏子さんに聞かれて思い出してみる。 「にいちゃんが朝早く起きてオレの弁当を作ってくれて、オレを起こして、支度を手伝ってくれて…朝ごはんに卵焼きが出て、味噌汁は油揚げが必ず入ってた。」 「今と変わんないじゃん!」 突っ込まれて笑う。確かに…今は桜二が兄ちゃんの代わりしてる。 「桜ちゃんは弁当は作ってないからなぁ~」 勇吾が言ってオレに聞く。 「中身何が入ってたの?」 オレは思い出しながら話す。 「ご飯が白いと食べたくないから、おかかと細かく切った海苔が乗ってて、卵焼きと葉っぱ。あとは昨日のおかずとか、なんか肉を巻いたやつとか入ってた」 「なにそれ…!私ビアンだけどお兄さんと結婚したいわ…今どこにいるの?」 夏子さんが体を乗り出して聞いてきた。 「もう…居ない」 オレは苦笑いして答えた。 「桜二の家は?」 勇吾が桜二に聞いた。 「うちは…朝ごはん食べたことないなぁ~!」 桜二がふざけてそう言うとみんな笑った。 ご馳走様して洗い物を流しに持っていくと今日は夏子さんが洗ってる。 オレは行き場をなくして夏子さんを後ろからバックハグして甘えた。 「なっちゃん洗い物して偉いね~?」 「シロが代わりにやる~?」 「やぁだ」 「あ~ん、手が荒れちゃうよ~、シロがやる?」 「やぁだ」 手についた水滴をピッピッとやられて離れた。 「目が~目が~!」 オレはそう言いながらまた夏子さんの後ろに抱きついた。 「シロ…ヒモ男みたいだ…」 通り過ぎた勇吾がそう言ったけど無視して夏子さんの髪の匂いを嗅いだ。良い匂い。 今日は土曜日…みんなは休み、オレは仕事。 明後日から桜二は仕事を再開する。 怪我も治って傷跡も痛々しさが薄れてきたように見える。 「桜二~今日は何するの~?」 桜二に抱きついて聞くと何がしたい?って聞いてくるから、オレは桜二を見上げて答えた。 「何もしたくない~」 そう言って背伸びして桜二に寄りかかる。 「シロのオーディションで踊ったやつみたいよ」 勇吾がそう言ってオレの背中に抱きついてくる。 「やだ~!落ちたもん!落ちたもん!」 オレはそう言って桜二にスリスリした。 「でも見たい~」 勇吾はそう言ってオレにスリスリする。 「だって、スタジオ借りるのめんどいもん…」 オレがそう言うと勇吾が簡単に借りれると言った。さすが人脈が凄いんだな… 「じゃあ、勇吾オレにレッスンしてよ~!」 「良いよ」 マジで?ラッキー!これは…普通に嬉しい! 「やったー!」 オレは両手を上げて喜ぶと顔を洗いに洗面所に向かった。 歯ブラシに歯磨き粉をつけて歯を磨く。鏡越しにいつも桜二しか行き来しない廊下を夏子さんや勇吾が歩いてるのが映る。 なんか変な感じ… 口を濯いで顔を洗う。 後ろに勇吾が歯ブラシを持って立っている。 「お前って髪あげるとデコっぱちだな…ガキみたい」 「それ…この前、夏子さんにも言われた。」 泡を流してタオルで拭くとおでこをペチペチ叩かれた。 「スタジオ近い?遠い?」 オレが聞くと歯を磨きながら遠いって言った。 パジャマを脱いで洗濯機に入れパン1になる。 勇吾が口を濯ぎながらオレを後ろから引き寄せる。 「何?」 振り返って聞くと凄く自然にキスしてきた。 初めは歯磨き粉の味がしたのに舌が絡むうちに気にならなくなって勇吾の抱き寄せる手がどんどん強くオレを締め付けていく。 「ん…んぁ…勇吾…やめて…!勃っちゃうから!」 オレが言うとそのまま寝室に直行してベッドにオレを押し倒してパンツを下げられた。 「勇吾…!」 オレの半立ちしたモノを口に咥えて扱いて勃たせる。穴の中に指を入れて中を刺激して動かす。 「ん…んん…勇吾!やだ…!や、やぁん…!」 勇吾はスウェットを下げて自分のモノを出すと有無を言わさずオレの中に入ってきた。 「あっ!あっああ…!んぁっ、あっ、あっああ…」 オレの頭を囲むように手で押さえて腰を細かく動かし気持ち良くさせる。 「勇吾…中に出さないで…」 「妊娠しちゃう?」 ばかだと思った… そのまま舌を絡めてキスしながらあっという間に絶頂に向かう。 「んんっ…勇吾…はぁはぁ…!イッちゃう…!」 「シロ…かわいい…たまんない…!」 オレが体をビクつかせながらイッてしまうと勇吾のモノが奥まで動いてドクンと波打った。 すぐその後に中から出してオレの腹の上に射精した。 せっかく顔を洗ったのに…また汗をかいてしまった…。おでこをつけて息を整えながら軽いキスを繰り返し落としてくる。 「シロ…可愛い。すんごく可愛い」 そう言うとまた何回もチュッチュッとキスしてくる。 ティッシュでオレの腹の上の2人分の精液を拭き取ってもらい起き上がるとまた長いキスが始まる。 「勇吾…着替えて外に行こうよ…」 「外で続きするの?」 本当にばかだと思った… 勇吾に腰を押さえられて跨るような格好になり、自分のモノと勇吾のモノと扱かれながら乳首を舐められて、気持ち良くて仰け反って喘いでいると桜二が寝室に入ってきてオレを引き剥がした。 「シロ、着替えて。」 「はぁ…はぁ…う、うん…はぁはぁ」 「邪魔すんなよ…桜ちゃん。もう少しでイキそうだったのに…」 確かに…オレのはビクビクして中途半端にイキかけてる。 「桜二…イキたい…」 オレが立ち上がって自分のイキかけのモノを桜二に見せると堪らない顔をしてしゃがんで口に咥え込んだ。 快感で足に力が入らなくて桜二の肩に手をつく。 オレの背中と腰をガッチリ掴んでラッシュの様に口で扱く。 「あっ、あっああ!桜二…イッちゃう…!んっ、んぁっ!あっあああ!!…んっ…はぁ…あっ…ん」 すぐにイッて力の抜けるオレを抱き寄せてパンツを履かせる。シャツを着せてズボンを履かせる。 「猫のトレーナー…」 「あれは洗濯に出した」 この前買ってもらったシャツを着せると桜二はオレを担いで寝室を出た。 「あーぁ、桜ちゃんに邪魔されて俺は不完全燃焼だよ!」 勇吾がぼやきながら着替えを済ませてリビングにやってきた。オレはダイニングテーブルで桜二の出してくれた紅茶を飲んでいる。 「朝からあんなに出来て羨ましいわ~」 夏子さんがそう言いながらオレの目の前で化粧を始める。手際良くベースメイクをしてどんどんいつもの夏子さんになっていく。 「アイライン綺麗だね、どこの使ってるの?」 オレが聞くと見せてくれた。 「これはすぐ落ちちゃうけど、舞台用の良いやつ知ってるよ?」 「ん、オレはステージごとに化粧変えるし、ずっと顔につけてるの嫌だから落ちやすくても良いの。これ同じの日本でも売ってる?」 「売ってるよ~!今日ちょうど買い出しに行くからシロの分も買ってきてあげる!」 「ありがとう~」 今日夏子さんはお友達とお出かけするらしい。 六本木で待ち合わせして、ランチしてショッピングだって。友達3人来るって、良いなぁ…女の人4人も集まるとわいわい楽しそう… 「シロ靴下履いて?そろそろ行くよ」 「そうだ、依冬が今日銀座の展覧会とかなんかに居るらしいからオレ、夕方会いに行くの。そのまま同伴出勤する予定だから、桜二お店まで送らなくても良いよ?」 オレが言い忘れたことを思い出して言うと、悲しそうな顔してオレを見て桜二がブツブツ言い始めた。 「もっと早く言ってくれたら良かったのに…今日の予定を今日言うのってなんでなの…」 「怒んないで…ごめん、でも夜ゆっくり過ごせるよ?たまには羽を伸ばしてみたら?」 「今日帰らないの?」 「依冬に全然会えてない…会いたいの。」 「……今日の予定を今日言うのって…」 あ~ぁ、へそ曲げちゃったよ… オレは桜二の背中にくっついて機嫌取りをしてる。でも多分今日は機嫌悪いままだと思って諦めた。これ以上悪くならない様に気をつけるしかない… 「じゃあ、みんなまたね~!」 キメキメの夏子さんが出かけた。 オレは夏子さんに買ってもらった派手なパーカーを羽織って靴下を履いた。 「じゃあ行くか~」 桜二と勇吾に続いて部屋を出た。 「高円寺って遠いの?」 「新宿からならそう遠くないけど…でもシロ、銀座に行くんでしょ?そこからなら遠いかもね!」 語尾に、フン!って気持ちを汲み取ってオレは笑って桜二の腕をプニプニした。 「シロ、後ろにおいでよ~ 助手席のオレの首を後ろからツンツン突いて勇吾が話しかけてくる。 「勇吾のお友達ってどんな人?」 オレが尋ねるとゲイって一言で終わった。 「他になんか無いの?例えばプレクダンスが好き~とか、R&B系の踊りが好き~とか?」 オレが重ねて聞くとうーんと悩んでまた一言言った。 「オレの元彼?元彼女っていうの?」 え? びっくりして桜二を見るとやっぱり桜二も驚いた顔して止まってる。 「お前って別れる時、交流が続く様な穏便な別れ方してたっけ?」 桜二がルームミラー越しに尋ねると、いいや!と答えた。 興味はあるけどちょっと不安… 車は渋滞もなく高円寺に向かって順調に進んでいた。 「ここ!久しぶりに来たなぁ~、よくスタジオだけ使いたくてきてたわ」 最低だ… 佇まいは年季の入ったビルのスタジオって感じで、入り口の案内のチラシは結構盛んにイベントなどをやっていて根付いた印象のダンススタジオだった。 オレ達の声に気づいて中からオレよりも背の低い小柄な子が出てきた。 「勇吾…なんで、今更来るの…やっと、やっと勇吾の事忘れ始めたのにぃっ!」 ばかぁん! と言って勇吾に抱きついて激しい抱擁をしているこの子が勇吾の元彼氏?元彼女?らしい。 「ねぇ、スタジオ貸して?」 小柄な彼を引き剥がし単刀直入に要件を言ってヘラヘラ笑う勇吾にそこはかとなく不信感が募る。 「最低だ…こいつ最低のクズ男じゃん…」 小声で桜二にいうと勇吾がオレを見て言った。 「桜ちゃんの方がもっとクズ男だよ」 まぁ…そうかも知れない… オレは小柄な彼に睨まれながら勇吾の後をついて行った。 「あの人何歳?」 桜二が尋ねると30歳って答えた。 「若く見えるね…学生かと思った」 オレが何となく言うと後ろから声をかけられた。 「本当?何歳に見えたの?ピンクの子!ねぇ、何歳に見えた?」 あ、めんどくさいやつだ… 「えっと…17歳とか?」 「それは無いだろう!シロ、サービスするなよ!」 オレの答えに被せて勇吾が言う。 「でも、まぁ25歳くらいかな~?チビなのがそう見せるのかもな。シロ坊がチビだったら小学生だよ!あはははは!」 そんなに笑うなよ…そんなにデコが出てると幼く見えるのか…やだな。 スタジオの扉を開けて中に入るとなんか昔の教室みたいな匂いがした。鏡は綺麗に磨かれていて丁寧に管理されてるのを感じた。 窓も開けっぱなしで、これ音源流しても大丈夫?と聞いたら平気、って答えた。 持ってきたスウェットに着替えてストレッチする。 「勇吾はオレにその服でレッスンするの?」 オレが開脚しながら聞くと隅っこで下だけ履き替えた。女子かよ… 「ピンクの子綺麗な体してるね?ダンサーなの?良いね、でももうちょっと顔が…カッコよかったら良いんだけど…」 しょぼいんだよ…悪かったな… 「シロの顔はめっちゃ可愛んだぞ!失礼なやつ!すぐ誰にでも抱かれる妄想抱くなよ!シロはオレの嫁だぞ!」 出たよ…陽介先生の残した軌跡。嫁問題だよ。 「シロは童顔で切れ長の目に目尻が上がって唇が可愛くて頬と顎の肉のバランスが最高に良い」 桜二が遅れてオレを褒め出した。 なんなんだよ…面白くてちょっと笑った。 「この音源流しても良い?」 30歳の小柄な彼に聞くとオレを睨んでフン!として居なくなってしまった。 「貸してみ!」 勇吾が持っていってスタンバイした。 「じゃあ…やりますね~」 オレはスタジオの中央に立ってスタンバイして勇吾に合図した。 スタジオで踊るの、久しぶりだけど、なんだかんだあの後もこの曲を練習してて踊ってるからあまり緊張はしなかった。 音楽が始まって鏡の前の自分を見ると陽介先生と練習した日々を思い出してきた。 先生の赤ちゃん…いつ生まれるのかな…? 冒頭からハードにかます振り付けにした為、音楽が始まったらすぐ爆イケモードになる。 これを踊る時はオレは爆イケのシロになるんだ!男っぽい振り付けと好きな韓流アイドルの曲… あ、あのポスター桜二の部屋に持ってこなくちゃ そんなことを考えながら体に染み付いた動きを丁寧に派手にキレ良く繰り出した。 踊り終わって広いスタジオに喜んでそのままバク宙の練習をした。 いつも公園とかでやってるから手が痛くなく練習できるのが嬉しい。 「カッコいいねぇ~!オレのシロはやっぱり1番上手だねぇ~惚れ惚れする~!!」 勇吾がオレを抱きしめて頬擦りしてチュッチュッとする。 「カッコいいね!シロ男の子だね!」 桜二…オレはずっと男の子だよ… 「ねぇ…勇吾がこの前オレと一緒に踊った時やってたステップって…あの、こんな感じの…」 「うん、あったね」 「あれの重心てどうしてるの?教えてほしい」 「シロ…ちゃんと見てて偉いね…!俺は嬉しいよ…!こんな細かいの覚えてるなんて…」 勇吾がそう言ってまたオレを抱きしめてチュッチュッとするから言った。 「オレあの時の勇吾の完コピしてんだ。でも、ここだけ上手くいかなくて…ずっと聞きたかった」 「シローー!!お前はダンサーの鏡だ!!」 勇吾に持ち上げられて振り回される。怖いよ… オレと体格がさほど変わらないのに、こいつは本当に力持ちだ。 「俺も覚えてるから、一緒に踊ってみようか?」 「はい」 鏡に向かって並んでカウントをとりながら踊ってみるとやっぱり細かく違う点が分かってくる。 1回見ただけじゃ真似できない…! 何でこんなに重心移動が上手なんだろう…途切れることなく繋げて動ける彼の体感と体重移動の技術の高さに感嘆した。 「勇吾…すごい!もう1回やって…ください」 「シロ…オレあの先生の気持ち分かってきちゃう…お前って本当かわいい…!」 鏡を見っぱなしのオレとは対照的に勇吾はたまにオレの足元を見たり体の傾きなどをチェックしながら教えてくれた。 オーディションに受かってたら…こんな指導を受けられたかと思うと残念だった。 ぶっ続けで2時間教えてもらったけど、まだまだ納得いかなくて残念だった。 「もっと上手になりたいのに…」 汗だくの服を着替えながらションボリすると勇吾がオレの替えのTシャツ(予備)を勝手に取ってオレの頭をポンポン叩いて言った。 「やっぱりお前は勿体ないよ…もっと伸びるのに…」 オレは勇吾を見上げて笑った。 「勇吾…そのTシャツ…猫柄なんだ。」 「あぁ、シロ…」 オレ達はスタジオを貸してくれた勇吾の元彼氏?元彼女?さんにお礼を言って使用料を払って高円寺を後にした。 「勇吾の元彼って変わってたね。」 桜二の車に乗ってオレが言うと桜二が大笑いし始めて驚いた。 「あの人…勇吾が…スタジオ使いたい為だけに付き合った人だ…!思い出した!あはははは!」 うわ、最低だ… 「自意識過剰で面倒くさい上にチビでカッコ悪かったからなぁ~、やっててもガキ相手にしてるみたいでキモかった。」 もう、最低すぎる… 「シロは童顔だけど175㎝はあるだろ?こういうのが良いんだよ!分かるだろ?」 勇吾が言うと桜二はめちゃくちゃ破顔しながら笑って頷いた。 こいつら、最低だな… 「シロの兄ちゃんは何歳で死んだの?」 車が動き始めてしばらく窓の外を眺めていた。静かな車内に勇吾の言葉が響いた。 「オレが16の時…兄ちゃんは27歳だった。」 窓の外を眺めながら勇吾に答えた。 「そうか…俺より若いな。」 「…うん」 「まだ好きなの…?」 「…大好き…早く会いたい。」 「そっか…」 「シロ…ご飯何食べる?」 場の雰囲気を変えるような桜二の声が聞こえて彼の方をハッと見る。 「えっと…うなぎ」 「じゃあこのまま銀座に行こうか?」 「俺、このTシャツだけど…」 勇吾は猫Tシャツが恥ずかしいみたいで1回ホテルに寄ることになった。 勇吾と夏子さんが連泊するホテルに着いた。 桜二と車で待ってようと思ったけど、つまらないので3人で勇吾の部屋に行くことにした。 「オレも1回シャワー浴びさせて」 さっきの練習で想像以上に汗をかいてしまったのでこのまま依冬に会いに行くのも気が引けてた。 部屋について鍵を開けるとシングルなのに結構広い部屋で驚いた。 「これ、広い~!豪華!なにこれ~!」 ベッドサイドの大きなスーツケースには衣類がグチャグチャになってて乱雑さを物語っていた。 オレはそれを見ないふりした。 「眺めが良い~!桜二来て!凄いよ!ここ夜景綺麗だろ?うわー!金持ってんな!」 眼下に広がる街並みから夜景を想像してさぞロマンティックなんだろうなと思った。 「1回見たら飽きるだろ?」 そう言ってゴチャゴチャのスーツケースの中から服を出した。 「あ、このTシャツカッコいいね」 何かのバンドのTシャツがカッコよくてオレは勇吾のスーツケースの中を古着屋の様に漁った。 「気に入ったならやるよ」 「本当?やったー!」 「アイドル事務所は儲かるんだな…ここに1ヶ月以上滞在させられるんだもんな。お前たちお客様だな」 桜二がそう言って勇吾に話しかけてた。 オレはシャワーを借りると伝えて風呂場に向かった。 「わぁ…オレの部屋のシャワーより広い」 自分の住んでるアパートは本当に人の住むところなんだろうか…落ち込む 見たことのないブランドのシャンプーと石鹸を使ったら勇吾みたいな匂いになった。 髪を乾かして部屋に戻ると勇吾もシャワーを浴びにいった。 「勇吾みたいな匂いになった…」 そう言って桜二に頭を向けるとクンクン嗅いで、本当だ…と言った。 オレは早速もらったTシャツを着てみた。少し大きいが大丈夫だろう。上に派手なパーカーを着て桜二に見せた。 「かわいいよ」 桜二はそれしか言わない…女子高生だ。 シャワーから出た勇吾がオレと同じ匂いになって服を漁る。 「お前が選んで」 そう言われてオレはさっきまで着ていた猫柄のTシャツを渡した。 ブンッとぶん投げられて、他の!って怒られた。 漁って探すとカッコいいのがあったのでそれにした。オレのもらったTシャツも黒、勇吾も黒。オレは黒のタイトなダメージジーンズ。勇吾も黒のタイトなズボン…双子コーデみたいだな…と見ながら話した。猫のトレーナーがソファに畳んで置いてあったのは気づかないフリをした。 「うなぎ!オレが奢ってやるよ~!」 溜まりに溜まったチップマネーで恩を着せてやる!1人1万円でも払えるぜ! ホテルを後にして銀座までやってきた。 土曜の銀座はホコ天になっていて外国人も多く賑わっている。 桜二の知ってる美味しい鰻屋さんに入ってうなぎを食べた。 勇吾が美味い美味いと喜んでて良かった。外国暮らしだとうなぎなんて美味しいもの食べられないんだろうな…可哀想なくらいガッついていた。 オレの奢りでうなぎを食べて銀座をプラプラ歩く…視線の先にあのお店が見えてソワソワする。 銀座のおもちゃ屋さんって認識なんだけど、ここのぬいぐるみ売り場に居る猫のぬいぐるみが好きなんだ…。会いたいな…でも、おもちゃ屋に入りたいなんて言ったら恥ずかしいかな… 「あ、あそこ、入ろうぜ!」 なんだ!勇吾もおもちゃ好きなの? 「え、おもちゃ屋さんだよ?」 オレは気のないそぶりでそう言った。 「お前めっちゃ入りたそうに見てたじゃん…」 即座に勇吾にそう言われて顔が赤くなった… お店に入って一目散に目的のところへ向かう。 まだいるかな…アイツ。 まだ売れ残ってるかな… 子供たちをかわしながら着いたその場所に目的の奴はまだ定位置に鎮座していた! 「あっ!いた!まだいた!」 オレはそう言って奴を抱き抱えると赤ちゃんみたいに揺らして遅れて来る2人に見せた。 目つきの悪い猫背の猫…かわいい! 「うえ、ブッサイク!」 「あー、あぁ…うん、野良猫かな?」 酷くない…? こんなに可愛いのに…酷くない? 大きさも見た目も抱き心地も良くて、しかもこの手足のつき方…普通のぬいぐるみじゃない…!それを表してるのは縫製だけじゃなく値段にも反映している… この高さ…生半可な気持ちでは手が出せない!! お前はこんなに可愛いのに… なんで理解されないんだろう… 「買わないの?」 桜二に言われて値札を見せた。 さっきのうなぎとこの前の今半がなかったら買えたかもしれない… 「コイツはとっても高いの…お前たちには分からないかもしれないけどなっ!」 オレはそう言って奴を見つめるとギュッと抱きしめた。一体今まで何回お前を抱きしめたことか… 次こそは、次のチップ消化ターンでは、忘れずに迎えにくるからね… 「シロ、他のは?他のはどれが可愛いの?」 勇吾がそう聞いてくる。 なんだ?今更可愛さに気づいたのか? 「えっとね…この子」 オレは太った猫を手に取って見せた。 「うえ、ブッサイク!」 「かわいいね」 桜二のかわいいは女子高生と同じだから信じない…! 勇吾はその太った猫とオレの抱いてる猫を掴むとさっさと歩いて行ってしまった。 なんで?なんで!連れてくんだよっ! 元の場所に戻してよーーーー!! 勇吾が黒いカードを出してオレの猫たちを買ってくれた。 ハイ、と手渡されてオレは呆気に取られた。 勇吾…勇吾…!!お前って…… すっげぇ金持ちなんだな!! オレは勇吾に抱きついてスリスリした。 「なんて良い人なんだ!勇吾はやっぱり天使か妖精だよ!なんて良い人なんだぁ!」 オレはホコ天を踊りたい気分だ!買ってもらった猫を袋越しに抱いて歩く。 今日一緒に寝よう…抱っこして寝よう… 「でも、なんで2匹買ったの?オレはコイツが目的だったのに…」 オレが勇吾に聞くと、勇吾が恥ずかしそうに言った。 「お前の選んだ奴は俺が持って帰るわ。」 え…離れ離れになるの…可哀想。 「シロだと思って撫でるよ。」 そう言ってデブ猫の袋を掴んできたけど、まだ心の準備ができなくて離せなかった。 2匹とも貰えると思ったのに… 桜二はよかったね!って言ってきたけどお前は値段を見てビビってたの知ってんだからな!フン! 2匹はあと1ヶ月で離れ離れになっちゃうけど…気前のいい勇吾とおもちゃ屋に来て良かった…

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