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第39話

夕方になってそろそろ依冬と約束の時間が迫ってきた。 オレはデブ猫の袋を勇吾に渡して言った。 「絶対乱暴にしないでね」 ん、と短く返事をして受け取って両手で持ってくれた。良かった。 「じゃあまた連絡するね!」 別れ際桜二がすごく寂しそうにしていたのでオレは抱きしめてキスしてあげた。 白昼堂々だ。しかし、これは猥褻物ではない。 愛だ… 桜二と勇吾と別れて依冬と約束したギャラリーに向かう。 展覧会なんて何するの? 金持ちが沢山居そうだな。 「お前が付いててくれるから怖くない…」 オレは袋の中の猫を覗いて小さく言って頷いた。 エレベーターで依冬と約束した階に向かう。 エレベーターが到着して扉が開くと高い天井の開けたフロアに着いた。 外壁は全部窓で高層階の為、オレは楽しむよりもビビってしまった。 …ここ台風の時絶対怖い… 「シロ!」 オレを呼ぶ声が聞こえて振り返ると依冬が嬉しそうに手を振っていた。 「あ、依冬!」 あいつの顔を見たら嬉しくって走って行って抱きついた。こんなに助走を付けても抱きついた時よろけないなんて…お前って最高にかっこいいな。 「依冬!会いたかった!会いたかったよ!」 「ん~シロ、会いたかった!嬉しい!」 依冬がオレの首に顔を寄せて匂いを嗅ぐ。 「あれ?何かいい匂いがする」 「さっき勇吾のホテルでシャワー浴びたからだ!見たことないシャンプーと石鹸で体を洗ったら勇吾みたいな匂いになったんだよ」 オレが匂いの経緯を話したら依冬が渋い顔をしてオレを見てきた。 「ん、なんだよ?」 「何してたの?そこで何してたの?」 「馬鹿だな、桜二も居たよ?」 「3人で何してたの?」 「レッスンしてもらって汗かいたから寄ったついでにシャワー借りただけだよ~」 説明しても納得いってない様子に自分の素行の悪さを実感した。 「展覧会って何するの?何時ごろ終わる?」 「有名な画家とか、これから売り出す画家の絵を売るとこだよ。うちの会社は父親の人脈でこういうイベントによく呼ばれるんだ。」 ふぅん…と言って依冬の腕に顔を埋めた。 「あぁ、依冬。お前ってあったかいな。」 「シロ、挨拶してくるから待ってて。」 すぐ終わるから~と言って行ってしまった。 オレはギャラリーには入らずエレベーター前のエントランス部分の豪華なソファにポツンと1人座った。 「ねぇ、君。綺麗だね?」 どこからか声をかけられたけど見渡しても誰もいない…怖い!お化けだ… 「上だよ、上!」 そう言われて上を見上げると中二階部分からこちらを見下ろす人がいた。 さっきの一部始終を見られて居たかと思うと少し恥ずかしい気持ちになった。 「あのおっきい子彼氏なの?良いね、すごく良い」 オレはその人を見上げて、はぁ…と言ってソファにまた座った。 何か変な人だ… 早く依冬戻ってこないかな… 「ねぇ、君モデルになってよ。」 その人が話しながら階段を降りてこちらに向かって歩いてくる。 桜二に似た体格のボサボサ頭。黒縁眼鏡をかけていて無精髭も生えている。 怪しい人…! 「え…ちょっと分かんないです…ごめんなさい。」 オレは体を引いて距離を取った。 「シロ?どうしたの?」 依冬!変な人が寄ってきた! オレはソファを立って依冬の側に行った。 「あ、大塚先生。こちらにいらしてたんですか?中でみなさんお待ちですよ?」 「君の大事な人、モデルにスカウトしてたの。君からも言って、怪しい人じゃないって言って…?」 十分怪しいよ… 「シロ、この方はね有名な油絵の先生で大塚アキオ先生って言うんだ。中で1番大きな絵を飾ってあるから見に行く?」 「行かない、帰ろう。」 オレを見るこの大先生の目つきが嫌で依冬の腕を引っ張ってそう言った。 「君ダンサーかな?綺麗な体してる。踊ってるところ描きたいな…だめかなぁ…何か儚さを感じるんだよね…描きたいなぁ~」 儚いって桜二もオレにそう言った… 何でそう思うんだろう… 「何で儚いの?」 依冬のちょっと後ろから大先生に聞いてみた。 「ん~何でかな…君を何枚かクロッキーしたら見えてくるかも…ね?良いでしょ?ちょっとだけ!」 この人が怪しく見えるのはこの言葉選びのセンスも影響してると思った。 「クロッキーって何?」 オレはちょっと興味が出て大先生に聞いた。 「ばばばっと描くやつだよ。君は何となく立ったり座ったり踊ったりしてて良いから…」 依冬が凄いことだよ?っとオレに促して、渋々大先生の前まで歩いて行った。 大先生は手に持ったスケッチブックみたいなものを開いて鉛筆でシャッシャッと描いてる。 2,3分そうしてるとページをめくって座ってみる?と聞いてきた。 オレは近くのソファに座って対面に座る依冬の顔を何となく眺めていた。 また2,3分してから立って何かポーズしてみて?と言われたのでアラベスクをした。 「おほ!綺麗だね!興奮しちゃう!」 ん~… また2,3分すると今度は顔を描きたいと言って大先生の前に座らされた。 「首長いね…すごく美しいシルエット…」 足りない…まだ足りない… ぶつぶつ大先生が言い始めてオレはちょっと怖くなって依冬の方を見た。 「先生もっとシロを描きたいんだって。」 「やだ、依冬と帰りたい。」 オレはこれ以上時間がかかるのが嫌だったので大先生に教えてあげた。 「あの…オレ新宿でストリップやってるからお店に来たらパンツまでなら見られるよ?」 「えっ!君!ストリップしてるの!?行く~!絶対見に行く~!! 」 場所と店名を伝えてショーの時間も教えてやった。 ここに書いて?と薄い茶色の紙のスケッチブックみたいなやつを差し出すから、オレは大先生の鉛筆を受け取って書いてあげた。 オレが書き終わるまでずっと顔を見つめてくるのに気付いて視線を上げて大先生を見た。 「伏し目がちな顔も綺麗だね。」 よくみると意外とイケメンの大先生に少し照れて鉛筆を返すと依冬の方に戻った。 「その子とエッチ出来るの良いな…」 大先生が依冬に向かって小さく呟いた。 お前の言った言葉聞こえたぞ…ゲイめ…! 依冬はその大先生に挨拶するとオレを連れてエレベーターに乗った。 「あの先生はすごく繊細で綺麗な絵を描くんだよ?シロも描いてもらったら、俺その絵を絶対買うのに。」 金持ちって絵にお金かけるんだな… 夜の銀座をプラプラ歩いて依冬の車に乗った。 袋から猫のぬいぐるみを出して依冬に見せると、うわ…っと言った…酷い。 オレは店に着くまでこのぬいぐるみの素晴らしさをトクトクとと語った。 「大塚先生なら理解してくれるかもね。」 やけに煽るから言ってやった。 「襲われでもしたら責任取ってくれるのかよ?」 ただでさえその気にさせやすいオレは用のないゲイとは関わりを持ちたくない。しかも、対面であんな風に何時間もなんて考えただけで恐ろしい。 「やだにゃ~!やだにゃ~!」 オレは猫のぬいぐるみを依冬に見せて腕を動かしながらそう言った。 「シロは子どもっぽいな!」 笑ってそういう依冬にお前に言われたくないよ!と思いながら猫のぬいぐるみを抱いた。 「シロ、おはよう~!いらっしゃい~」 今日は依冬と同伴出勤だ。 そのまま店内に入ってカウンターまで一緒に行く。 常連客に声をかけられて談笑しながら着替えてくるといって依冬のそばを離れた。 面倒くさいので本当はだめだけどステージに登りカーテンから控え室に入った。 「シロいけないんだ~!」 楓に怒られて笑ってごまかす。 「楓さん、今日は一段とドレッシーですね?」 いつもよりも二倍近くキラキラした衣装を身に纏って鏡のライトに反射して光ってる。 「今日は僕の本命ちゃんが来るから…」 マジか!それは面白い! 「来たら教えてよ!挨拶したい」 「やだよ!シロの方に行ったらムカつくもん!」 こんなに綺麗な人を放って行く訳ないのに… やれやれ、楓は自分の美しさに気づいていないんだな…罪だ。これは罪だよ… 「オレ今日何踊ろうかな…」 猫のぬいぐるみ…依冬の車に置いてきた…盗まれないか心配だ… 「あ!あれにしよう!」 オレはメイクをして衣装を選んだ。 「シロ、ロリコンコスプレみたい…」 「違うよ、オレは野良猫ちゃんだよ?」 コスプレ感が出るのは猫耳と尻尾のせいだ…でもこれ付けないとただのゴスロリ男になる。 やばいだろ…それはまずいだろ… 今日の衣装は太ももまでの黒い短パンにロング靴下の爪先を切ったやつ。上はブカブカのフリルの付いた白シャツに蝶ネクタイ…そしてサスペンダーだ。 「え!ロリコンぽいの?これ?」 「ロリコンだよ。特に靴下とかあざとすぎ。」 マジかよ… でも良い。あざといのが目的だ! 髪の毛を少し跳ねさせて店内に戻る。 「あ…シロ…」 「いいよ、どうせロリコンぽいって言うんだろ!」 オレは依冬の横に座ってフン!と顔を振った。 「違うよ…すごい可愛いから。特に尻尾と耳がエッチだね?」 フン!どうせ取り繕ってるだけだろ! 「にゃんにゃん!依冬とエッチしたいお!」 オレは依冬ににゃんにゃんして愛嬌を振りまいた。 「う…うん、にゃんにゃんだね…」 見ちゃいけないものの様に目を逸らして愛想笑いをする依冬にオレは愕然とした。 ダメだ!オレは立ち上がって振り返ると一目散に控え室に戻った。 「ダメだ!ロリコンすぎて引いてる!ダメだ!こんなの…!猫って…どんな服着てんだよ…!?」 鏡の前で絶望した!猫って服着てないじゃん! 「これだよ…これ」 楓がそう言って衣装の山の中からスッと1枚差し出した。 これ…? オレはガチロリの衣装を脱いでそれを着た。 楓がうまく尻尾をつけてくれて猫耳を装着した! 「これに、プラスこれだよ」 オレの首に鈴を通した赤いチョーカーをつける。 オレの出来を見て楓が満足そうに言った。 「悪いタマが出来上がった…」 オレは再び依冬の隣に行った。 「あっ!シロ、可愛い!」 これか…! オレは黒のボディスーツに赤い首輪、尻尾と猫耳の衣装に決まった。 「ここ開けるとどこまで開いちゃうの?」 そう言ってオレの衣装の全面にあるファスナーを下げようとする。 「ここ下げると足の先まで一気に脱げるよ?やってみたい?」 オレはさっきよりも反応のいい依冬に気を良くしてあいつの体にべったり抱きついて尻尾を振る様にお尻を振った。 「あぁっ!シロ!お尻フリフリはダメだよ!2人の時にして?ね?それはエッチすぎるから」 オレはそれを生業にしてるんだけど…? 「にゃん、にゃん」 ポーズを取って依冬に愛嬌を振りまくと、可愛い!可愛い!と喜んでくれた。 桜二だったらさっきのガチロリもかわいいって言ったに違いない… 「シロ…本当この服エッチだよ?」 依冬は片手でオレの腰を抱き寄せるともう片方の手でボディスーツを指でなぞった。 手を肩から下に体を撫でて人差し指でオレの乳首を掠めるように撫でる。 「あ…」 手を口に当てて声を抑える。 オレの足の間に自分の足を入れてそのまま持ち上げて股間を刺激してくる。 「依冬…やだぁ」 オレはめちゃくちゃエロく言った。 「シロ…かわいい…このままエッチな事しちゃダメ?」 「だめぇ、終わってから~」 「シロ、そろそろ」 後ろから支配人に声をかけられてオレは笑ってごまかしながら退席する。 この前やりすぎって怒られたの忘れてた。 控え室に戻りやや半立ちしたモノをそのままにカーテンの前に立った。 猫は柔軟だからストリップとは相性良さそうだ。 音楽が流れてカーテンが開いた。 ステージに向かうとちょうど桜二達が入店してきた。嬉しい、みんな集合だ。 オレはお尻を振りながら尻尾を揺らしてステージ中央に立つとにゃんにゃんしながら膝をついた。 動くたびにチリンチリンと首元の鈴が鳴ってかわいい。 そのまま四つん這いになって目の前の客にガオっと手を伸ばしてそのまま伸びをするみたいに尻を突き上げた。 「シローー!かわいい!こっちにおいで~!」 名前を呼ばれてピンと耳を澄ます猫みたいに姿勢を戻してそちらに顔を向けて止まると、立ち上がって走ってポールに向かい飛び乗ってスピンした。 ポールを上の方で掴んで両足を上げて上に伸ばしてから足で挟んで掴む。 体を捻らせながら腹筋で起き上がってポールの上の方をまた掴んだ。 ポールの上でチャックをヘソまで下ろしてボディスーツの開いた部分を掴んで広げて体を露出させる。 「シロー!エロいぞー!もっとやれー!」 ストレートだな…ウケる そのままの体勢でゆっくり回りながら体をのけぞらせて胸を露出させて乳首を撫でる様に両手を這わす。 勇吾の指笛が聞こえてくる。 肩を後ろに回して腕のスーツを脱いで行く。 真っ黒なボディスーツから上半身を露出させてポールの下までくると今度は立ち上がってポールを背中にして大股でしゃがんでファックするみたいに腰を何回か動かしてゆっくり立ち上がる。 ポールを片手で掴み上の方に片足を引っ掛けてチャックを最後まで開く。 ハラリとボディスーツが落ちていってオレは片足に残したまま大股開きになった。 「シロー‼︎触らせてー!」 そのまま鈴を鳴らしながら腰をいやらしく動かしてポールに股間をあてていく。 「シロ、おいで」 後ろの方で勇吾の声がして片足にスーツをつけたまま振り返ってポールに背をもたれさせた。 寝転がってチップを咥える客の間に勇吾を見つけて口元が緩む。 片足のスーツを前屈しながら脱ぐとそのまま客のチップを咥えて回収する。手で渡す客にはパンツに挟ませてあげる。オレの肌に触れて顔を赤くするお客が可愛くて面白い。 「シロ、今度遊ぼうよ」 「シロ触らせてよ」 チップをもらう時小声で言ってくる客を無視して最後の1人になった勇吾に覆いかぶさる。 「にゃんにゃん」 勇吾の目を見つめて真顔で言うとシックスナインの姿勢になって彼の股間を頬で撫でた。 「シロ猫~!お魚あげるからうちにおいで~!」 かわいい事言う人もいるんだな… そう思いながら腰をずらして勇吾の股間の上まで来るとそのまま体を逸らして両手を彼の顔の脇についてそのままのけ反る様に逆立ちした。足をゆっくり床に戻しながら勇吾の口のチップを口に咥える。 「お前ってマジで最高だな…」 オレの頬を撫でて勇吾がうっとりした顔で言うからオレは舌を出して彼の唇をペロリと舐めた。 立ち上がって振り返り、最後に開脚をしてポーズしてからフィニッシュした。 Tシャツと短パンに着替えて依冬たちのところに急いで向かう。 「桜二!」 ちょっと会わなかっただけなのに抱きついて頬擦りしてクンクン鳴く犬みたいにしがみつく。 依冬がオレを引き剥がして自分の足の間に入れる。 「桜二はずっとシロと居たじゃん」 そうだな…確かに 「依冬…ごめん」 オレはそう言って依冬に軽くキスする。 「殺気立ってるね~依冬くん!今日は激しくなりそうだね~シロ~!!」 夏子さんが、このこの~!とオレにしてくる。 この様子から結構既に酔ってる気がした。 「若いから…止まんないんだよ。」 勇吾が哀愁を漂わせて言うと桜二はオレを見て寂しそうにした。 そんな顔するなよ…依冬なんだから。 「ねぇ、シロ?提案があるんだけど!」 夏子さんが指を立ててオレに話しかける。 「なぁに?」 依冬にもたれながら顔を覗いて聞く。 「後1ヶ月くらい日本にいるんだけど、ホテル生活飽きちゃったから桜二の家にホームステイさせて欲しいなぁと思って!どう?嫌?」 え?本当?それって楽しそうだな… 桜二を見るとオレを見て黙ってる。オレの判断に任せるつもりかな… 「でも部屋どうするの?」 オレが聞くと夏子さんは桜二の書斎を陣取って勇吾はリビングの半分を使うらしい。 「桜二が良いなら…オレは良いよ。」 そう答えて桜二を見ると、ため息をついて生活費の支払い、光熱費の支払いを命じていた。 「お前も一緒に住めば良いのに…」 オレは依冬の顔に頭を擦らせて言った。依冬はオレを見て黙って髪を撫でてる。 体を回転させて彼の首元に顔を埋めて抱きつく。 「依冬…筋トレマシン多すぎて共同生活出来ないの?」 そう耳元で聞くと、ふふ…と笑ってオレの顔を持ち上げて軽くキスした。 「早く抱きたい…」 そう言ってオレの背中から腰にかけて手を滑らして抱き寄せる。腰を押しつけて来て勃起したモノをあててくる。耳元ではぁはぁ…と荒い息が漏れる。本当に発情してるみたいだ… 「苦しいの?」 顔を覗いて聞くと大丈夫…と言った。 「次終わったらオレ上がれるから、もう少し待ってて?」 そう言って軽くキスすると舌を押し込んできて熱いキスを始めた。 支配人が見てません様に… そう思いながらオレは依冬の舌を絡めてエッチな音を立てながらキスした。 「シロ…」 やばい!と思って後ろを振り返ると楓が立っていた。 隣に楓と同じくらいの背のイケメンが立ってる。 オレは依冬から離れてデロデロになった口元を拭うと向き合う様に立って楓に聞いた。 「どうした?」 「この人、僕の…彼氏」 わぁ…美形と美形のカップルだ…! オレはその人の手を取って言った。 「楓をよろしくお願いします!この子はずば抜けて綺麗で美人で可愛いけど、少し抜けてて危ないです。どうか泣かせたり、虐めたりしないで優しくしてあげて下さい。」 その人は顔を赤らめて頷くとオレから手を離した。 「シロ!優しい!ありがとう!」 楓はそう言ってオレにハグした。 この人が良い人でありますように…楓を悲しませない人でありますように…!! 腕を組みながら戻っていく2人を見送って依冬の足の間に戻る。 依冬の太ももを撫でて筋肉の感じを確かめてると依冬はオレのお腹で両手を繋いで穏やかに抱き寄せた。そのまま頭を後ろに逸らせて依冬の胸元にあてると足を伸ばして依冬に体を預けた。 「どっちもイケメンだったね。」 依冬を見上げて言うとオレの髪に顔を寄せて言った。 「俺たちもどっちもイケメンだよ?」 え?え?と何回も聞いて笑った。 お前は爆イケのイケメンだよ!かわいい依冬。 「シロ、そろそろ」 支配人の声がかかってオレは依冬から離れる。クーンと鳴きそうな悲しさを滲ませながらこちらを見るから、可愛くてお手…と言った。 「駄犬だ…駄犬。躾のなって無い駄犬だ。」 勇吾が小さく言うからオレは勇吾の背中を撫でて桜二に視線を合わせてその場から立ち去った。 さて、次は何をしようかな…? 楓のいない控え室で考える。 依冬の勃ってたな… そんなにオレとしたいのかな… もうあの令嬢とは会っていないみたいで安心した…。依冬も一緒に住めば良いのにな…。よく考えたらオレ今三股してるな…しかも同じ場所に座らせて結構やってること最低だな… まぁ良いか… 最低なオレにピッタリなステージを思いついた! 夏子さんの描いたオレがあの形なら、世間一般で認識されるオレをやってみようかな…? 開き直ってるわけじゃ無い、皮肉ってるわけでも無い。 やってみたいだけ。 オレは勇吾に吹っ飛ばされた猫のTシャツを着て下に短パンを履いて裸足になった。髪の毛はさっきのままで顔はベースを塗ってアイラインを引く、チークで顔を赤らめて唇はグロス付きのピンクにした。 首に極太の黒い皮のチョーカーを付けて手足にも黒い皮のベルトを巻いた。 軽いチェーンで手と手、足と足を繋いで奴隷みたいにした。これでポールの上まで行って激しくしてミスしたら死ぬな…ふふ 時計を確認してカーテンを開けてステージに出る。DJにステージの上から声をかける。 「上から4番目に変更する」 曲を急遽変えた。 「シロ、危なく無いの?それ心配だよ?」 常連客がオレのチェーンを見て怖がる。 「これ?大丈夫だよ…ほら、こことここに通して輪っかにして片手で握ってるだけだから」 オレはそう言ってウインクした。 足のチェーンは外れないけどな… 店内が暗くなってステージにライトが当たる。 音楽が始まる。 オレはステージ中央で足を開いてひざまづくとそのまま仰け反って両手を床につけて足を前方に出した。思い切り大股を広げてチェーンを鳴らすと喘ぎ顔をして腰を上下にいやらしく動かした。 浮かせていた背中を床にゆっくりと付けて両手を伸ばしたまま床をチェーンで打ち付けながら腰を動かして体を仰け反らせた。猫のTシャツが自然と胸元まで下がって乳首が見える。 「シロ!シロ!シロ!」 こういうの好きだよね… オレはそのままうつ伏せになると四つん這いになって気持ち良さそうな顔をしながら床ファックした。 ゆっくりと立ち上がってよろけたフリをしてから一気に走るとポールに飛びついて遠心力を使ってスピンして足をポールに絡めた。 足の間のチェーンがポールに当たってすごい音がする。 チェーン短くて挟めないじゃん! オレはそのまま足をポールから離して真上に伸ばして腹筋で起き上がってくる。キツイ!キツイ! 足を畳んで外側に絡めて1番上まで登る。 客が息を飲んで見ている緊張感が伝わる。 何てったってチェーンが思った以上に短くてオレはいつものように両足でポールを挟めなかったから足をポールの外側から入れて関節で固定するしかなかった。 想定外だ… でも、やるけどね。 オレは足を真上に向けて伸ばす 足が天井についた時、天井を蹴飛ばして勢いをつけながら足を下に下ろしてスピンをさせながら体を逸らして仰け反った。 秒にしたら5秒も無いこれの為に結構危険な事をしている…しかし、足で蹴飛ばして勢いをつけたから派手に回って気持ちいい。 きっとこんな手枷足枷つけたままこんな事したら勇吾は怒るだろうな… 絡めない足を外側から掴んで体をポールに添わせて縦に仰け反らせて回って降りる。 そのままポールを片手で掴んでしゃがみながら回り、立ち上がった。 ゆっくりとステージの中央に戻りしゃがみながら短パンを下げる。足から外して渡るチェーンに落として手の間のチェーンを張りながら猫Tシャツを下から持ち上げて胸元まであげて口でいやらしく咥える。まるで誰かに背中を押されたようにつんのめってチェーンの音を立てながら凄い勢いで両手をついて四つん這いになりファックされてるみたいに喘いで腰を動かす。 「シロ…きもちい?」 後ろからそんな桜二の声が聞こえそう… 腰を上げたまま腕を前に伸ばしてTシャツを落とし背中を見せる。そのまま手元に猫Tシャツを手繰り寄せて立ち上がる。 チップを貰いに行かないとな… 周りを見て依冬がいるのを確認した。 でも、待って。 桜二も居る…あぁ…桜二。お前が来てくれるなんていつぶりだろう…嬉しい。 でも今日は依冬の日だから…ごめんね オレは他の客達からチップを貰ったりパンツに挟んでもらったりする。 楓が彼氏から受け取ったチップを咥えて横になったのを見てオレはすかさず楓のところに行った。 「楓ちゃんそれ誰のお金なの?」 「秘密!」 前屈みになって覗き込むようにして更に聞く。 「楓ちゃん、誰のチップ?」 「…ん、彼氏の」 頬を赤らめて視線を外す楓に胸キュンしちゃう。 頭の両端に膝をついて楓をこしょぐって笑う。暴れる楓に顔を近づけてキスしながらチップを咥える。一歩間違えば鼻血ですよ。 でも、このスリルがたまらない… さあさ、次は桜二くんのをいただきますよっと、オレは立ち上がってスキップして桜二のところに行くと桜二の体にしな垂れかかってめっちゃくちゃ甘えた。 「何で、何できたの?いつも来てくれないのに!何で今日は来たの?依冬と張り合ってるの?ねぇ!何で!」 そう言って体を揺すると桜二が起き上がったからそのままキスするみたいに口から受け取った。 さぁ、依冬くんの番だよ。 とっくにステージの時間は過ぎてるけど、オレのチップ回収が面白いらしくいつまでも客が来る。 依冬のおっきい体…オレは依冬の頭の両端に膝をついてあいつに覆いかぶさって横に揺れた。クマみたい… もう今日はこれで仕事上がるし、この後エッチするなら多少やり過ぎても良いよね? オレは依冬の顔に跨ると彼の下半身をいやらしく撫であげた。依冬の両手が上がるのが見えたから両手で押さえて膝で踏ん付けて膝立ちした。後ろを見下ろして聞いてみる。 「痛い?」 「いや…」 本当は痛い癖に…かわいい 膝を退かして手を胸の前に置いてあげた。 頭を腿で挟んで指先でチップを取ると唇にキスしてあげる。 「依冬…早くエッチしたいね」 「今したい」 「ふふ、今はダメだろ?ばかだな。」 「もう勃っちゃった」 「依冬のエッチ!」 ステージの上でいつまでもイチャイチャしているオレ達を客が眺めている。 「シロー!帰ってからやれよ!」 勇吾の声に我に帰る。 慌てるオレに客が爆笑する。 やっちゃった…怒られる…! 思った通り控え室に支配人が来ていて注意された。この程度で済んだのはそれなりに客が楽しんでたからだそうだ… 私服に着替えて控室を出る。階段を登ると既に依冬がオレを待っていた。 支配人に見守られながらオレは依冬に抱きついてキスして甘える。 「本当に勃ってたの?」 「確認する?」 そう言われてズボンの上から触ると本当に勃っていて大爆笑した。 依冬がオレを抱えて店の外に出る。 そのまま車に乗せてシートベルトを付けてくれた。運転席に座る依冬の股間を撫でる。 「まだ勃ってるの?」 オレが笑いながら聞くと切羽詰まった顔で応えて言った。 「早くしたい…」 可哀想…早くしたくて怖い顔になるなんて… 煽るだけ煽って家に着いた後が少し不安だよ。お前は野獣になるのかな…

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