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第48話

「あ~!桜二、見て!飛行機だ!」 オレはこの年になるまで空港なんて来たことが無かった…祝、初空港だ! 桜二に車椅子を押してもらうんだけど、依冬に担いで貰った方がエスカレーターとかは楽に移動できた。 「シロ、もう車椅子に乗ってよ。」 依冬に言われてショックを受けた! 「お前体力落ちたの?オレ、前より痩せたのに疲れたの?」 そう聞くと、恥ずかしいから嫌だ…と言った。 オレは渋々桜二の車椅子に乗って移動した。 「あ、夏子さんいた!」 派手な格好のスレンダー美女を発見して指を差した。桜二も見つけたみたいで車椅子が夏子さんの方に向かっていく。 車椅子って楽だ… ベビーカーの赤ちゃんの気分だ… 「あ、シロ坊が退化してシロバブになった!」 そう言って赤ちゃん言葉を言いながら屈むとオレを抱きしめた。 「早く良くなってまた踊ってよ!私あんたの踊り大好きなんだから、分かった?約束してね!」 「うん、夏子さんも良い彼女作ってね!」 オレがふざけて言うと頭を叩かれた。 「やだ!あんたもその服着てんの?お揃いじゃん!恥ずかしいなぁ…」 夏子さんがオレの猫トレーナーを指差して言う。 と、言うことは…… そう思って勇吾を探すけど近くにいない。 「あれ?勇吾は?」 「あっち…」 夏子さんの指す指の向こうに勇吾がいた。 空港の大きな柱に隠れて顔だけ覗かせていた。 「何であそこに居るの?」 「シロにお別れ言うのが辛いんだって、ウケる」 「そっか…」 オレはそう言って笑い、息を大きく吸うと大声で名前を呼んだ。 「ゆうごーーーーーっ!!」 桜二に車椅子をロックしてもらって両手で踏ん張って立つ。 「桜二、もう言わないの?クララが立ったって言わないの?」 オレが笑って聞くとクララが…と言ったっきり心配そうに両手を広げてる。 オレは自分の足で歩いて行ける! フラフラと揺れながらも足を上げて勇吾に近づく。 オレに名前を呼ばれて、フラフラと1人で歩いてるオレを見た勇吾が、慌てた顔でこっちに駆け寄ってくる。なにそれ、変な顔! ふふ、オレが何するか分かったのかな? もう少し…もう少し近くに来たら… 今だっ!! オレは思いっきり踏ん張って、走ってくる勇吾に向かって笑いながら飛びついた! 「あはは! やっぱり来た!やっぱり受け止めてくれると思った!」 勇吾はオレを受け止めるとくるくる回ってオレを強く抱き上げた。本当に力持ちだ。 「勇ちゃん…オレ1人で歩けたよ?」 おでこをつけて彼の肩に抱きつきながらそう小さく囁くと、オレの胸でうん、うん、と涙声で言ってるのが聞こえた。 「顔、見して?」 そう言って勇吾の顔を自分に向かせると、オレの美しの君はブサイクになっていた。 「うぇ!ブッサイク!人違いかも…オレの探してる人は、もっと綺麗だもん。」 オレが言えば言うほど勇吾の顔はブスになっていく。頭を抱いて自分に寄せてあげる。 「勇ちゃん…オレ毎日言われた通り頑張るね…。また踊れる様になったら勇ちゃんの所に遊びにいくね?」 「絶対だぞ!シロ1人でこいよ!桜ちゃん抜きで!」 「うん。男の約束だ!」 オレがそう言うと、勇吾はオレを下に下ろして顔を近づけ、熱いキスをくれた。まだしみる舌が痛いけど、久しぶりの感覚に頭が痺れてクラクラした。 「シロ…愛してる」 「勇ちゃん、大好きだよ!」 手を振ってお別れだ… 見えなくなるまで手を振る。 オレの初恋の人… 桜二と依冬と3人で、夏子さんが乗った飛行機が飛ぶのを外で見る。あんな鉄の塊が空を飛ぶなんて…恐ろしい! 次は勇吾の乗った飛行機が飛んでった… 窓から見てる気がして、手を振った。 「桜二、ラーメン食べて帰ったら怒られるかな?」 後ろで車椅子を押す桜二に聞くと、バレなかったら良いと言った。悪いやつだ。 依冬は激辛が食べたいと言った。オレの舌に激辛を選ぶなんて、本当にドSだと思った。 病院に帰ったら押し花の紙を交換しよう… 勇吾、またね またすぐ会えそうな気がするから 寂しくない 「桜二、見て見て~!」 勇吾の言う通り毎日体を動かし続けたら、前みたいに動けるようになってきた。 アラベスクも、ほら…こんなに美しく保てる! 「気をつけて…」 桜二はそう言って車の鍵を探し回っている。 つれないな…全く! ちゃんとオレのアラベスクを見てないからいけないんだ。見てたら気づくはずなんだ。 オレの指先にある車の鍵に… 「シロ…」 見つかった…! 「ちゃんと見ないからいけないんだろ?」 笑って鍵を持って逃げる。 「シロ、先生の予約遅れちゃうよ?」 「ハイハイ、今、行きますよ~!」 そう言って桜二に抱きついて玄関まで運んでもらう。 「ほらこんなにしがみつける様になった!」 「え!これもリハビリなの?」 戯けて言う桜二が可愛い。 「ここから車まで行けたら仕事も復帰できるかな?」 「どうかなぁ…出来るかなぁ」 そう言って桜二がオレの頬を両手で包んでキスしてくる。 オレは傷の癒えた舌を桜二の口に入れて、あいつの舌を絡める。オレを掴む手がどんどん下に下がって腰を強く締め付ける。 片手でオレの髪を撫で下ろすとそのまま背中を抱いてくる。 「桜二…きもちい…したくなっちゃう」 「帰ったらしようね…今日は大塚先生のとこにも寄るから、ほらほら…!急いで!」 そう言ってオレを抱っこして玄関を出た。 「あっ!桜二!待って!本忘れてる!」 一階までエレベーターで降りた頃に気がついてまた戻る。鍵を受け取って走って部屋まで行って、急いで押し花の本を抱える。 そのまま部屋を出て鍵をかけて、一回握って確認してから走って戻る。 「ごめん!」 「思ったより早かった。」 嘘つけ! 今日は押し花を再構築して綺麗に飾るんだ。 楽しみだ… 病院に着いて受付する。 オレの場合は桜二も一緒の受診なんだって、共依存だからかな? 名前を呼ばれて部屋に入ると広い部屋に先生がいた。入院してた時と同じ先生だから、挨拶したらリラックスして話をした。 「今困ってることは何かな?」 先生がオレを見ながらペンを回して聞いてきた。 「舌がまだ少し痛い事。」 口の舌を出して先生に見せるとどれどれ、と見てから大丈夫!と言った。 「その他には?ほら発作が起きるとか…」 「あぁ…にいちゃんの…オレのにいちゃんが首を吊って自殺したんです。それで、そういう場面とか…にいちゃんを思い出す時に過呼吸になる…止まらない時は真っ暗になって倒れてしまう事。それが1番困ってます。」 オレがそう言うと、なるほどね…と先生が言った。続けて体の向きを変えてオレの隣の桜二に話しかける。 「桜二さんはどうですか?」 ん?桜二も何か困ってるの? オレは怪訝そうに隣に座る桜二を覗き見た。 「手をかけすぎてしまってる自覚があります。何よりも優先して先に先にと世話を焼きたがる事が、彼にとって良い事か悩む時があります。」 「え?桜二…そんな事、悩んでたの…?」 オレが口を挟むと先生がペンを回してオレに言った。 「シロくんにはまた後で話を聞くね。」 気を取り直して桜二がまた話始める。 「甘えられるのが好きで、どんどん甘やかしてしまいます。」 「それって悪い事なの?」 また口を挟んで桜二に聞くと先生がペンを回してオレに注意する。 こんな事を繰り返して1回目の診療が終わった。 帰り際に気になった事を先生に聞いてみた。 「先生はどうしてオレに話しかけるときだけペンを回すの?何かのおまじないなの?」 オレがそう言うと驚いた顔をして、本当?と聞くから頷いた。気付いてないんだ…あんなにしょっちゅう回してるのに…無意識なのかな? 「あ、水野さん!持ってきたよ!」 約束通り、水野さんがオレのために押し花を作る準備して待っててくれた! 「毎日交換したよ?偉い?」 「あら、今日はまた良い男の彼氏を連れてきたのね。おばさんはこっちの方がタイプだわ。」 「やめてよ~取らないでよ~」 水野さんのジャブをかわして挨拶した。 席について本を広げる。 「綺麗な色に乾いたよ?」 そう言って紙をペラッと外して見せた。 「あ!シロちゃん、上手にできたね!偉い偉い!」 水野さんはそれをオレの希望した型にピンセットで配置していく。 「この花びらはどこに置く?」 1枚1枚置き方を聞いてくれるから、オレの思った通りの仕上がりになった。 破れちゃった部分はあえて間を開けて置いてもらった。 オレが身を乗り出して押し花を作ってる間、桜二はコーヒーを飲みながら携帯を見ていた。 「はい、これをこうして…出来上がり!」 あっという間に可愛いサザンカの一輪挿しが出来た。勇吾が花の部分だけ摘んでしまったから、わざわざ水野さんが茎と葉っぱを用意してくれていて助かった。茎がなかったら浮いた花になっちゃう所だった。 「うわぁ!綺麗!ありがとう!水野さんありがとう!!」 オレは水野さんにハグしてほっぺにキスした。 「あ…シロちゃん!若返っちゃう!」 「若返らなくても水野さんはピチピチだよ!」 そう言ってお礼を言うとオレは桜二に見せに行った。 「見て見て!綺麗だろ?こうやって透かすと光が透けてもっと綺麗だ!」 両手に持って窓の方に向けてうっとりした。 花弁の筋、葉っぱの質感、全て見て取れるこれは…花の標本みたいだ!! 「まるで勇吾みたいだ…!」 オレはご機嫌で病院を後にした。 「次は大塚先生の所に向かうけど、疲れてない?」 運転席から手を伸ばしてオレの髪を撫でながら桜二が聞いてくる。 「平気!それに甘やかすことは悪い事じゃない!」 オレは桜二の方を向いて笑ってそう言った。 「全くもう…」 そう言って微笑むと、桜二は車をバックさせて駐車場から出した。 「大塚先生のアトリエはどこにあるの?」 オレが聞くと桜二が携帯をオレに渡した。 「依冬からのメールに書いてある所、ナビに入れて?」 「全く!全然甘やかしてないじゃないか!」 オレは桜二の携帯でメールを調べて、依冬のメールを開いて書かれた住所をナビに入れた。 ふと、気になってメールチェックした。 よくあるじゃん、知らない女とやり取りしてるとか…そういうの、何かないかなぁ~。と画面をスクロールさせる。 依冬と鬼の様にやり取りしてる所で手が止まる。 オレが入院した時のメールだ… 文面に要件しかなく殺伐とした雰囲気が伝わった。 件名なし、ばかりで内容もシロ寝てる…とか、シロ起きてご飯食べたとか…オレのことばかりだ。 胸が熱くなって桜二の腕を掴んだ。 「シロ…どしたの?」 「桜二…大好き」 「…かわいいね、俺も大好きだよ。」 携帯をロックさせて桜二のポケットに入れる。 足を抱えて潤んだ目から涙が落ちない様に窓の外を眺めた。 「シロ、着いたよ?」 気づくと眠ってしまっていて桜二に起こされて目を覚ました。 背の高い木が生茂るここは、本当に都内なの? 久しぶりにこんなに沢山の土の色を目にした。 「桜二、ここはどこ?」 「大塚先生のアトリエだよ」 「すげぇ!!」 オレは子供の様に手を伸ばして走り回った。 もちろんキーーン!と言いながら… 「シロくん!いらっしゃい…やっと本人に見てもらえると思うと…あぁ、胸がドキドキする…」 大塚先生が木の生い茂る小道から現れて妖怪かと思った。手招きされて後に続くけど、どんどん植物のパワーが強くなって、後ろから来る桜二を振り返って言った。 「あれ、妖怪じゃないよね?」 「シロ…失礼だよ」 「こっちだよ~シロく~ん!」 声のする方に向かうと開けた場所に出た。 さっきまでの鬱蒼とした雰囲気はなく、和洋折衷の作りのテラスまで付いたお洒落で上品な裏庭。 「ここに住みたい。」 オレが言うと大塚先生は良いよと言った。 だから指を立ててこう言った。 「先生と住んだらまず髭を剃らせて、美容室に連れてって、コンタクトレンズを付けさせて、いつもかっこいい服を着させる。」 それを聞いた大塚先生は、やだ…と言って逃げていって笑った。 「これ、これが君の絵だよ…どうかな…俺はすごく気に入ってる。」 明るい屋外から靴を脱いでアトリエに入る。 薄暗いアトリエは油絵具の匂いがして、たまにツンと鼻をつく匂いがした。あちこちにキャンバスが転がっててどれも綺麗な絵が描かれている。扱いの雑さに驚く。 案内された絵の前にきた。 「あぁ…」 後ろの桜二が感嘆の声を上げる。 玄関の扉2枚分くらいの大きさのキャンバス。 そこには椅子に座って足を抱える裸のオレが描かれていた。視線を外した物憂げな表情が悲しそうにも、つまんなそうにも…嬉しそうにも見えた。 気になる股間の部分は組んだ足によって隠されていて安心した。 背景の光が当たる部分ではなくて、暗く影を落としてる部分に絵の中のオレの視線がいってるのが気になった。 「この子はシロだ…」 桜二がポツリと言った。 「隠れてて安心した!」 そう言うオレとは対照的に桜二は食い入る様に絵を眺めて口元を緩ませる。 脇の方にもいくつか絵が無造作に置かれていて、そこにもオレがいくつも描かれていた。 ほっぺたの色…何色なんだろう… 1枚のオレを手に取って眺めてみる。 肌色…なんて単純な色ではなくいろんな色が混じった色なのに透明感があって綺麗だ。 「これ何色?」 オレは大塚先生の近くに寄って行って聞いた。 「これは…いろんな色」 今度は目の部分を指差して聞いた。 「じゃあこの目の色は?」 「これは……いろんな色」 「全部いろんな色なんだ…」 オレが大塚先生の顔を見て聞くと頷いて答えた。 「うん…全部いろんな色だよ。シロくんは特に目の中が難しかったよ。君は複雑だから…」 オレのおでこから髪を触りながら頬まで手を下ろしてオレの目をじっと見てきた。 「あれ…でも…毒気が少し抜けた気がするね。残念であり、喜ばしくもある。」 「この前、入院したでしょ?あれ、頭おかしくなってたんだよ…もともとその毛はあったんだけど…死にかけて…ほら、見て?舌噛んだんだよ?」 オレはそう言って舌を出して先生に見せた。 「生き返って良かった。もっとシロくんに会いたいから、死なれたら困るよ。」 まじまじとオレの舌を見て触る。 「あと、こっちも凄いよ?」 右手をまくって針の跡を見せる。 「これは…痛そう…舐めてあげる。」 やめてよ~とふざけて走り回りながら桜二を見ると、まだあの絵に夢中だ… 桜二の背中に抱きついて手を前でつなぐ。傍から顔を出して絵を見て聞いてみる。 「ねぇ…どこがそんなに惹かれるの?」 すると桜二は指を指して言った。 「全部…」 オレは振り返って大塚先生に言った。 「先生、凄いね。桜二はすっかりオレよりも絵の中のオレに夢中だよ。」 大塚先生は桜二の隣に立って絵を見ながらボソボソと話しかけてる。それを桜二がウンウンと頷いてる。なんだ、凄い仲良しじゃん。 オレはすっかり取り残されてしまい、テラスのハンモックに寝転がって片足で揺らした。 空が高くて冬の色をしてる…。 あれも先生が描くと色々な色になるのかな… 両手を上げてアイソレーションの練習をする。背景が青空で気持ち良い。勇吾に教えてもらってスムーズに行くようになった部分が気に入ってる。 もっと色々教えて欲しかったな… 「シロ!」 元気な声に驚いて体を起こすと、桜二が満面の笑顔で手にキャンバスを裏返しに抱えていた。 「どうしたの?」 オレが聞くと嬉しそうに手のキャンバスを表に返した。 勇吾にあげたクロッキーのオレの色付きを見つけたようだ。 「返さないとダメだよ。」 オレはそう言ってハンモックにまた寝転がった。 桜二がオレの隣に歩いてきて言った。 「大塚先生がくれた…俺にくれた…!」 すっかりフワフワした桜二は、ずっと絵のオレばかり眺めてやな感じだ。 「先生の絵のオレは凄い魔性だね…」 オレは不機嫌そうに言った。 「本物のシロくんは魔性どころじゃないからね、やっぱり全ては表現しきれてないと痛感した。また描き貯めないと…!まだ足りない…足りなかった!」 ブツブツ言い始めた先生と別れて家路に着く。 「あぁ…来て良かった!」 満足げな桜二にオレは聞いてみた。 「先生となんの話してたの?」 そう聞くと桜二は口元を緩めて言った。 「シロの表現したかった部分…の話」 「具体的に教えてよ…」 そう聞き直すと、ふふっと声を出して思い出し笑いをする。 「あの絵で言うと…足を抱える仕草とか視線の流し方とか…肩の落とし方とか…爪先を少し曲げたりするところとか…口元の表情とか…生写しのようだった…それに背景の光と影のコントラストとお前の心理的な光と影がリンクして表されていて…タッチのひとつひとつに愛が溢れてた!」 饒舌に語る桜二に驚いた…! こんなによく話すのは酔っ払って幼児番組の話をし出した時以来だ… 「ん…良かったね」 そう言って話を終わらせた。 凄い…意外な友情が芽生えたみたいだ。 絵のことはよく分からないけど、確かに綺麗だった。同時にそこはかとない闇と妖艶な雰囲気があって正直あまり見たくなかった…十分すぎる程オレの再現が出来たんではないか?と、オレ本人が目を背ける程思うのに、まだ足りないなんて言う… 大塚先生はそんなオレの反応も見ていたのかな… まるで綺麗な顔した悪魔の様だった… 薄暗い寝室。 オレはせっせと桜二の部屋着を脱がせている。 Tシャツを途中まで脱がせて肘のところで留める。腕が上がって縛られてるみたいだ。 体に跨って桜二の体を手で撫でる。 依冬の父親に刺された傷は、バッチリ痕に残って鍛えられた体に刻み込まれた。 まるで戦いで負った傷の様で武士みたいだ。 「ここ、まだ痛いの?」 「ん、たまに…」 眠たそうにする顔が可愛くて、そのまま屈んでキスをした。 彼の胸板に手を置いて執拗にキスする。 どんどん息が荒くなっていって、いやらしく腰を疼かせる。 オレを触ろうと手を下ろすから、だめ!と言って上にまた上げる。 「なんのプレイなの?」 そう聞いてくる桜二の胸板に顔をつけて言う。 「捕まった武士が…拷問を受けてるの。」 桜二が派手に笑うから体が跳ねる。 オレは胸元に頬をあてて桜二の肋骨の膨らみを感じる。この中に肺と心臓と入ってるんだ…。 古傷を指で撫でて触る。 「シロ、触りたい。」 「だめ。このままが良い…」 オレは体を起こしながら両手で桜二の鎖骨から肩まで手を滑らせる。綺麗な鎖骨…逞しい肩… その手を胸元に滑らせて乳首を触る。 「シロ…」 「その気になるなよ、拷問なんだから…」 オレは笑って言って、腰を浮かせて桜二の太ももに移動して座り直した。 両手を腹に当ててそのまま上に滑らせながら腰を浮かせ覆い被さって行く。桜二の腹の古傷を舌で舐める。 感じたのか鳥肌を立てる。 両手で乳首を掠めて脇腹を撫でて腰元を撫でる。 体を擦り付けながら舌を這わせて乳首を舐める。 「あぁ…シロ…触らせてよ…もう我慢できない。」 「ふふ、我慢する、しないじゃないんだよ。これは拷問なんだから…」 笑いながら乳首を舐めて片手でもう片方の乳首を押してずらして跳ねさせる。 体を起こして桜二のガン勃ちしたモノをズボンの上から撫でると、グンと返事するみたいに反応するのが面白かった。 「拷問なのに…こんなに勃たせたらだめだろ?」 そう言って桜二のズボンの膨らみに自分の勃ったモノを手で押しつけて腰を振る。 「はぁはぁ…桜二?…何で…そんなにエロい顔してんの?…ん、あっ…だめなのに…はぁはぁ…ぁあ…ん」 桜二を見ながら腰を振って体を捩らせて喘ぐ。 「シロ…念のため出して…ズボンから出して!」 そんな事するかよ…パンツの中でイケよ… 「あはは!だめ!ほらぁ…拷問なんだから、気安く話しかけてくんなよ…」 オレはパジャマのボタンを外して片方だけ肩から落とすと、エロい顔をして桜二を見ながら擦り続ける。 こんなに大きくなってる…挿れたい… 喘ぎながら体を仰け反らせて、空いてる手で自分の体を触っていく。 「桜二…!きもちい!…あっああ…イッちゃう!」 そう言いながら、桜二のモノを撫でていた手をぎゅっと握って、服の上から扱き出す。 「あぁっ!シロ…だめだって…!はぁはぁ…んっ…はぁはぁ…シロ…!」 我慢してないで、イッちゃえよ… 「あは…きもちい…桜二のおっきくなってるよ?我慢してるの…?…あっ、あっ…オレイッちゃいそうだよ…ん、んぁあっ…きもちい…」 オレはそう言って、扱く手を止めて離すと桜二の腹に自分のはだけた素肌を合わせて抱きついて喘いだ。 「あっ!シロ…!んっああ…!…はぁはぁ…あぁ、あ…もう……最悪だ…」 やった…!パンツの中でイカせてやった…!! 「あははは!わー!お漏らしした!お漏らしした!あほは!桜二やばい~!」 体を起こして桜二の顔を見下ろしふざけて笑うと、片手でオレをベッドに薙ぎ払って文句を言いながら風呂場に歩いていった。 桜二の寝ていたベッドはあったかくて、オレは薙ぎ払われた格好のまま目を閉じた。 桜二が戻ってきて目を閉じるオレのすぐ横に座った。オレは寝たふりしてやり過ごす。 おもむろに開いたままのパジャマのボタンを留め始めた。 優しいかよ!笑うな…我慢しろ! オレの体を横に移動させて、仰向けに直され、優しく布団を掛けてくれた。 なに?凄い優しい! そのまま隣に添い寝して、オレの髪をかき上げてる。息がかかるから多分こっちを見てる…今目を開けたらだめだ…笑っちゃダメだ…! すると、今度はオレの足を持ち上げて自分の立てた足に引っ掛けた。 やるな…こいつ絶対やる! 予想通り桜二はオレのパジャマの短パンに手を突っ込んで、オレの半立ちしてるモノを触り始めた。 「やだ…」 オレが目を開けて言うと、桜二が覆いかぶさる様にしてキスしてくる。 やめろよ!めっちゃ気持ちいいじゃんか… 「今度はシロが捕まった武士ごっこする?」 「しない!オレは眠いからそんな事に付き合わない!」 「そうなの?でも…こうしてたらしたくなるかもよ?」 そう言ってオレのモノを両手で扱き始めた。 めっちゃきもちい…頭がクラクラする。 「んっ…あっ…桜二…口で、口でしてよ…」 「シロ…もう、したくなったの?」 オレの顔を見て煽ってくるからムカついて嘘をついた。 「したくない…でも、口でしたらしたくなるかも…」 桜二はそうか、と言うとオレの短パンを脱がせて足の間に体を入れた。 オレは体を起こして座ってそれを見ている。 「じゃあ咥えるよ?」 そう言うとオレの目を見つめたままオレのモノを下から上にねっとりと舐めた。 「あっあん…!…はぁはぁ…桜二…エロい」 背中に快感が立ち上って腰が震える。 指を口元にあてて噛みながら悶える。 桜二の口の中にオレのモノが収まってゆっくり扱かれると、体がビクビク跳ねて耐えきれず後ろに倒れた。 「あっあっああ!んっ…桜二…きもちい…きもちいよ…ぁああっ…もっと…もっとしてよ…」 オレは気持ち良くて腰を動かしておねだりした。 「したくなって来た?」 まだ聞くの…?見りゃ分かんじゃん!! 「はぁはぁ…まだぁ!もっとしないと…あっ!分かんないからっ!…ぁああっ!や、やだぁ…!」 桜二がオレのモノを口で扱きながら、両手をオレの足の下から回して両方の乳首を弄り出した。 これ、逃げられないし、すごく気持ち良くて…いつもこれでイカされる… 「あっあっ!や、やん!だめ…!これはだめぇ!あっああ!きもちい…!はぁはぁ…イッちゃう!桜二…!イッちゃうよっ!!ぁっあああっだめぇっ!!」 オレは腰を震わせてイッた… 頭がボーッとする。快感が抜けないうちに桜二がオレの中に指を入れて来た。 「シロ…俺の欲しくなった?」 「ん…まだ…分かんない…あっあっん!はぁはぁ…ああっ!や、やだぁ!だめっ!あん…っ!!」 まだ粘るオレに、桜二は指で中の敏感な部分を擦る様に触って刺激する。指先で乳首を捏ねながらもう片方の乳首を舌で舐めて吸う。 おかしくなりそうなくらい気持ちよくなる。 多分またイッちゃう… 「シロ…自分でおちんちん扱いてごらん?もっと気持ちよくなるよ?」 悪魔の囁きの様にそう言うと、仰け反ってビクビクするオレの胸板に舌を這わせてまた乳首を舐める。 オレは助言に従って自分のビクつくモノを触った。気持ち良くて触ったまま動かせなくなるオレの手に、自分の手を重ねて桜二が扱き出した。 「あっあああ!桜二!だめぇっ!!イッちゃう!イッちゃう!!っああぁあ!!あっああ…!!…はぁはぁ」 桜二の体にしがみついてまたイッてしまった… フワフワして気持ちいい…腰が震えて足が重い。 足を倒して横向きに寝転がって息を整えていると後ろに桜二がくっついて来てオレの中にモノを押し込んできた。 「まだしたいって言ってないのに!」 オレがそう言って体を返そうとするとガッチリと腰を掴んでいやらしく腰を動かし始めた。 やばい…桜二のめっちゃ気持ち良いんだよ。腰の動かし方からモノの硬さまでちょうど良くてすごく気持ちいい…たまんない。 「あっあっあっ!桜二…きもちい…!!桜二!」 下から突き上げる快感と、体を後ろから抱きしめられてる気持ち良さが混ざって、快感に満たされる。 「はぁはぁ……シロ…キスして?」 後ろから桜二がオレに言うから、オレは肘を着いて体を捩らせると後ろの桜二に舌を出してキスした。オレの体の下から桜二の腕が伸びて来て、オレの胸全体に掌をあてて指先で乳首を触る。 こんなのだめに決まってる… もう片方の手でオレのモノを扱きながら、腰を突き上げるタイミングと合わせてオレの腰を後傾に傾ける。 こんなのだめに決まってる… あっという間に限界まで快感が上り詰めて、背中で桜二の息が当たるだけで体が震えて鳥肌が立つ。 「あっあああ…だめぇ…イッちゃう~!!おうじイッちゃう!きもちい!あっ、あっ、あっああん!!」 腰が震えてガタガタ言う。オレの中で桜二のモノもドクドクと精液を吐き出していた。 2人でシャワーを浴びる。 桜二の背中に流れる水を眺めながら言った。 「桜二のテクニックは何なの…やばいよ…」 「なにがやばいの?」 とぼけた顔で振り返って聞いてくるから膝カックンをお見舞いしてやった。 「久しぶりの仕事で興奮して寝れないって言うから付き合ったのに…もう朝になっちゃったよ?シロ、起きてよ!自分だけ寝るなんてズルいぞ!」 そんな声が聞こえても、オレはこの気持ちいいベッドで寝るよ…2時になったら起きるから… ご飯を作っておいといてよ… 「おやすみ、行ってらっしゃい。オレの桜二さま」 オレは爆睡して本当に2時まで起きなかった。

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